厄災の中心人物
「それで、魔人三人嫁にする男が、うちの孫娘でも貰いにきたのかね」
ルナの祖父、ディグは目を細める。笑ってるかどうかの判断がつきづらい。
「私は関係ないですよ」
ルナに否定されるたび、少し寂しいのは少なからず俺が好意を抱いてるからだろうな。
節操なしにも思えるが、魅力的には見えるのはしょうがない。
「それは残念だ、強い者に囲まれればさらなる強さを」
「セトさんは強くなってませんよ」
「なぜ最強を目指さない!」
戦闘好きはなぜみんな最強を目指すのかね。
「戦うより道具いじってた方が楽しいからですかね」
「セトさん、強くなる気は?」
「ないよ」
「ある日突然、理由もなく強くなる気配は?」
「そんなことあったりするのか?」
「困ったやつだ」
ディグは肩をすくめる。
「俺はいいから、モナの武器と防具の相談!俺はヒモでいいよ」
「ヒモ使って戦う方法もあるぞ」
「ややこしいから、ヘンテコ武術を勧めないで」
「ではまたトンファーの稽古でもつけてやろう」
以前、トンファーを預かったままだったな。
あれも使えるようになるとは思えないが、ちょっとした防具にも武器にもなるし、また教えを乞おう。
場所を稽古場の小部屋に移して、ようやく本題が始まる。
「バスターソードも良かったが、獣化するなら邪魔か」
「ダガーとか小型の方がいいかな。トンファーも手の延長で使える」
「その二つならダガーかな」
「殺す覚悟があるなら刃物の方が良い」
「小手改造すればダガーくらいならしまえるだろ。あとは獣化しても外れない小手作りか」
ディグが色々な防具を引っ張り出してくる。
結果、薄い胸当てとブラウス、スカートが有力候補だな。
魔人と言われると、仰々しいが、実際はレンも軽装だし、ヴェルに至ってはメイド服だしな。
人の嫁さんを魔人扱いとは、いや魔人を嫁にしたのか。まぁいい。
稽古場の若者達からの視線が痛い。
「セラお嬢とルナ様まで手にかける気らしい」
そんなことを言ってるのが耳に入るが、それは誤解だよ。あとセラよりルナの方が様付けなのね。
手を出したらあとが怖いな。
その後ディグにバックラーとトンファーで身を守る術を教わりつつ、レンにもしごかれた。
モナも軽装にダガーで参戦してくる。相変わらずすぐ使いこなす。さすが、魔人候補いや、神獣か。
セラの仕事が終わったか、合流し。ヴェルとアッシュも顔を出してきた。
強くなる気はないが、ある程度身を守れないと、ここの若者にも襲われそうだ。
嫁さんたちの戦闘についていって、流れ弾で死ぬのも避けたいしな。
アッシュさん、このバックラー、魔法防御らしいけど……俺に炎、向けないで?
無理だから。
この人に、魔王の称号がついても、たぶん驚かない。




