【ヴェル挿絵】ベッドの狭さは幸せの証
念願のレンの姿が完成し、一方では俺の嫁が一人増えた。
姉妹で人外狩りをしているバンパイアハーフ姉妹の妹、ヴェルである。
急なプロポーズを受け、嫁二人の了承は俺の知らないところですでにされいた。
「おはようセト」
もうすでに住んでいる。
当然のように俺のベッドで寝て、当然のように俺の隣で伸びをしている。
当然のように、キャミソール姿だ。寒くないのか?
「……いや、早くない?」
「何が?」
「その……生活に馴染むのが。昨日来たばかりだろ」
「おとといだよ」
「それでも早いよ!」
「それでも、ってことは遅かれ早かれOKってことだよね?」
そう言ってニコッと笑うヴェルは、可愛い。
嫁たちは交代で俺のベッドに寝るようだ。二人来て俺が真ん中になる場合もある。
幸せだが、正直狭い。
今は4人で生活。
元々家族が増えてもいいよう作った店なので、そこまで狭くはない。
だが、嫁3人は予想外。手狭にも思えるので、改装も頭に入れておこう。
「レンとモナがいないな?」
俺が尋ねる。
「昨日アッシュが、三人でダンジョンの様子見に行くって言ってた。私には“のんびりしてて”って言ってさ」
「……ヴェルはなんで誘われなかった?俺もか」
「新婚生活を楽しめってさ」
「やめろ怖い」
ヴェルはベッドから立ち上がる。
そのまま俺のシャツを勝手に持ち出して、身に着け始めた。
「おい、それ俺の……」
「サイズ感がちょうどいいからいいでしょ?こないだ一枚ダメにしちゃったし」
「それにしたって、下がホットパンツだと履いてないように見えるから」
「履いてない方が嬉しい?」
「他人に見られるのが嫌なの!」
その言葉に満足したのか、ヴェルは嬉しそうに着替える。
いやパンツ見えてるからね。
こうして我が家の朝は、今日も騒がしく始まる。
嫁が三人。さらに増える気配もある。
……色々怖い。
「準備できたら、俺たちもダンジョン行くか?」
「私達はフィーナに報告聞いてきてほしいって、アッシュが言ってた」
「なるほどな。ってことは、俺とお前でお使いってわけか」
「うん。初めての共同作業だね」
「やめろ、その言い方はなんかむず痒い……!」
ヴェルは楽しそうに笑う。それに釣られて、俺の口元も緩む。
そうして、俺たちは軽く朝の準備を済ませて店を出た。
嫁が増えるたび、俺の平穏は遠のいていく。
でも、不思議と――それが嫌じゃないと思うあたり、俺も相当“染まって”きたのかもしれない。
道具屋のはずが、道を踏み外してる気もする。
それでも、今の生活が悪いとは思わない。
……むしろ、ちょっと楽しいと思ってる自分がいる。
今日もまた、賑やかな一日が始まる。




