【レン挿絵】そして俺の精神は崩壊する
自分が思ったより危険な状況なのはわかった。
だが今、別の意味の危険が迫っているような気がする。
「浮かれてるところ悪いんだけどセトくん」
「浮かれてないぞ」
金髪3人がうちに泊まる。ルナも巻き添えをくらってる。
嫁2名は里帰り中。
うむ、よろしくない。よろしくないよ。
「だからね、そもそもセトくんズレてるのだよ」
「何が」
「これが普通の人間だったり、教会の人間なら、恐れる」
「あー」
言われて気がつくが、ヴェルとアッシュは人外を狩る人外で
制御不能と言われてる存在。
恐れる対象なのだろう。
「私達を普通の女の子として見てくれてるんだもんな」
お風呂から上がってきたヴェルが髪を拭きながら笑う。
キャミソールにホットパンツ姿。
拭き方が甘いのか、まだほんのり濡れた体に服が貼り付いている。
「もう少しまともな格好になってから出てこいよ」
「おっ私の体に興味あるのか」
興味というか、視線はいくだろ。
ルナ指を2本立てるな。不可抗力だろ。てかコイツのせいだろ。
「人の家で無作法ですよ」
アッシュがナイトガウンに身を包んで出てくる。
「セラ、着替えを用意してくれてありがとう」
「何、私たちの分取りに行くついでだよ」
「待て、本気でお前も泊まるのか」
「なんだい不服なのかい」
セラがジト目で詰め寄ってくる。
「いや、なんていうか……俺の精神がもたない気がするんだが」
「大丈夫。すぐ慣れる」
――慣れたらダメなんだよな、これ。
「よしわかった。私と一緒に風呂に入る許可を与えよう」
「黙って入ってこい」
「私だけヒロイン枠から外れてないか?金髪枠が埋まったのかい?」
風呂が終わるまで俺の気が持つのか心配だ。
ルナ、俺の目を狙う指をしまいなさい。
セラが渋々風呂に行くとヴェルが隣にくる。
「セトはセラに厳しいんだな。今日初めて会ったけどいい奴だぞ」
「いいやつではあるよ。遠慮がない間柄ってやつだ」
「そうか、それも面白そうだな」
ヴェルの元にルナがリンゴを切って持ってくる。
「ありがとルナ」
「いいえ、セラお嬢もヴェルさんと仲良くなれて楽しそうですよ」
ヴェルも対等に会話できる相手がいないようだが、セラも読み合いなく話せる場所は少ない。
そう言った意味で金髪娘たちは気が合うのだろう。俺のことを話のネタにする以外は微笑ましい。
しばらくすると、セラが戻ってくる。
キャミソール姿で髪を拭きながら。
「お前、着替え取りに帰ったならそれ以外もあったろ」
「なんだい、私の色香に参っちゃうのか」
髪を下ろし湯気を出しながら、いつもの丸メガネのセラが微笑む。
まだ濡れているロングの髪と肌が、いやでも視線を奪う。
「目のやり場に困るからなんか羽織れ」
「おっと、正直に言われると照れるな」
――お前はもうちょっと自覚しろ。いろんな意味で。
いつもならルナが指を立ててるが、今は風呂か。
戻ってきた、ルナは普通の部屋着だった。
良かったお前までナイトガウンとかキャミソールだったら、俺は精神は持たなかったよ。
見つめる俺の視線に少し戸惑ってる。
「……そんなに見られると、少し困ります」
このあと、俺は風呂で心の整理に時間をかけた。
いつもより騒がしい夜。
俺は持つのだろうか。
髪を洗い終え、湯に沈もうとした瞬間――風呂の扉が、音もなく開いた。
モナと、レン。
何も言わず、湯気の中を歩いてくる。
――おいおい、俺の精神が持たないって言ったろ。
このあとめっちゃガン見した。