川の字と天井の住人
普段ならモナとレンが一緒に寝て、俺は一人で寝るのだが、今日はモナが積極的だ。
ナイトガウンを着たモナとレンが寝室に入ってきた。
フェルに何か吹き込まれたのだろう。
そしてモナに続いてレンも俺の布団に潜ってくる。
そもそもナイトガウンなんて洒落たものはうちにはなかったが、コッチはセラの仕業だろう。
モナとレンが、左右にぴたりと寄り添ってくる。手は繋いでいないが、腕や肩が触れるくらいの距離だ。
なんだこれ。色々とやばいぞ。
「今日ね、フェルに嫁だって紹介してくれたでしょ」
「したな」
「あれね。嬉しかったんだ」
モナの囁き声が耳元で揺れる。
「お父さんがいなくなってから、心細かったけど、セトとレンがいるから寂しくないよ」
モナは俺の腕にそっと頭をのせてきた。
レンは反対側から俺の服の裾をきゅっとつまんだ。
幸せだと思った。
ただ、何かを与えるだけじゃなく、こうして求められることが。
そして、二人がこの場所で安らいでくれることが。
夜は更けていく。 眠るまでの時間、誰も言葉は発しない。
けれど温もりだけは、確かに繋がっていた。
……コツ、コツッ。 天井裏から、かすかな足音がした。
ネズミだろう。たぶん、きっと、間違いなくネズミ。
そう思い込みながら、俺は目を閉じる。
だが――もし、アイツだったら?
あの眼鏡女が、天井裏を這いずっていたとしたら?
本気で友人を辞める。というか、出禁だ。物理的に。
「……セト、こわい夢見てる?」
モナが心配そうにのぞき込んでくる。
「いや、大丈夫。ちょっと、ネズミのことを考えてただけ」
レンは、うつ伏せで、ボードに一言だけ書いていた。
【セラ いる?】
――やめてくれ。
どっちにしろ、問題は山積みだ。教会の件だって。あのフィーナの証言だけで諦めるとも思えない。
いなくなったモナの父親や、ルナの葛藤。レンの体もまだまだだかかる。
店の借金は、セラの仕事をこなしていればなんとかなるだろう。
頼りになるやつだが、早く返さないと不法侵入が怖い。大家権限を早めに取り上げよう。
レンの体のこと、モナの父親の件が片付くまでは添い寝までだ。
おっぱじまらないからな。




