旅の装い
女性陣たちは風呂へ行く。絶対覗くやつだろっと思ったのだが、ルナが2本指で俺を牽制する。
さてどうしたものかと思っていたら。
「セト君とやら、少し付き合いなさい」
ディグに連れられまたあの小部屋に、小部屋に松明を灯すと。ますますあのダンジョン内を思い起こす。
「ほれこれを持っていきな」
ディグがトンファーを1本渡してくる。
「いや俺は戦えないよ?しかも、こんな特殊なの」
「女3人戦わせて居心地が悪かろう」
「適材適所だと思ってるからそれほどでも」
「ははっよくそれで最強の婿になったな。いやそれだからこそか」
ディグは棍を手に取りながら笑う。
軽く俺の腕に棍を向ける。
「トンファーは難しく考えなくていい。手の延長で持っておきなさい」
見よう見まねで構えてみるが、しっくりこない。
ディグがトンファーを軽く叩く。俺の手が痺れる。
「手にピッタリくっつける肘とトンファーがくっつくくらいだ」
またトンファーを棍で叩く。さっきよりはマシだ。籠手をつけてる感覚だろうか。
「防具にもなるし、拳で戦うよりは幾分マシだ。そのまま殴るもよし、棒のように持ち直してもいい」
数度素振りをしてみる。確かにナイフよりはしっくりくるかもしれない。
何より精神的に楽だ。
モナに繰り出した回転を試してみるがしっくりこない。ただ回ってる。
その様子をディグは見ている。最初のような口出しはしてこない。
「戦いばかり見てきたから、君のような人間に興味を持ったのかもな」
ディグはぽつりと言ったあと、俺に背を向けて小部屋を出ていく。
小部屋から戻ると、女性陣はもう風呂から上がり身支度を整えていた。
ルナを見るといつものメイド服だ。さっき戦闘メイドは否定してたはずだが?
「護衛任務ではメイド姿で戦うこともありますので、ほんの少し考えを改めました」
「胸の開いた方は?」
「あっちは着ません。さっきも騙されかけました」
あら気づいちゃったか。
夜も更け。ダンジョンへ向かう。
荷物のほとんどを俺が背負う。戦うことを任せてるのだ、荷物運びくらいはする。
ディグがくれたトンファーは腰のベルトに下げていく。薮を払うのにもちょうどいい。
セラとは途中で別れ、俺たちの道具屋を遠目に見ながら街を去ろうとすると。
道具屋の前に緑色の髪でメガネの女性が一人佇んでいる。
見かけない顔だ。ブラウスにカーディガン姿。遠くながらも観察を始める。
危険な感じはしないが、教会の関係者なのかもしれない。セラと似たような背丈と年齢だ。
今は、関わらないようにしておこう。
胸がでかいな。
モナが振り返ってその女性を見つめる。
「……誰?」
「いや、知らない人だ。教会関係者かもな。今はスルーだ」
「ふうん……でも、なんか見てた」レンがちらりと頷く。
俺たちは黙って街を後にした。背後に視線を感じた気もするが、たぶん気のせいだ。
月明かりだけを頼りに、再び、あのダンジョンを目指す。




