【ルナ挿絵】レンとモナと、ルナ先生
朝。今日はルナが文字を教えている。ルナ先生。
「ハーレム」「浮気者」「花婿」……昨日教えた単語を、レンが真剣な顔で板に書いている。
モナは、間違えた文字を必死に消している。耳がぴくぴく動いていて、ちょっと面白い。
セラは朝からいない。まだ買い手とやらと商談中らしい。
レンが書いた文字に、ルナが小声で添削する。「“鬼畜”は、こう書くんだよ」
さっきから言葉のチョイスおかしくない?
いつ使うのそれ?
昼はルナが作ってくれるようだ。何から何までありがたい。
豚を延々朝から煮てたのは知ってるが、あれは、角煮か?
「甘く煮ました」出された皿の湯気から、ふわりとスパイスも香る。
ああ、これは本気のやつだ。
レンは食べられないけど、ちょこんと座ってモナのお世話をしている。
よく見れば、フォークの持ち方を教えているようだ。
いつもより少し背筋を伸ばして、“おねーさん”ぶってるのが、なんだかかわいい。
モナはまだフォークに不慣れだ。というか、人型の動作そのものに不慣れなのかもしれない。
「獣に戻れないのか?」と聞いたら、髪を切った影響でまだ無理らしい。
初めての変身影響か、あるいは体に負担がかかってるのか。
それに、傷もまだ癒えていない。焦らなくていい。無理だけはしないでくれ――そう思う。
それにしても、角煮が旨い。セラの分も食べたいくらいだ。
セラが帰ってきたのは、昼の皿を片付け終えたころだった。
「ふぅ、なんとか話は終わらせたよ」
口調は軽いが、いつもは見せない疲労を隠さない、相当もめたことは察せられる。
「……毛の売り先だけでそんなに揉めたのか?」
セトの言葉に、セラは小さく肩をすくめた。
「提供者に合わせろって教会が少しね」
「めんどくさそうだな」
「めんどくさいよ実際。あそこは最近いい噂を聞かないからね」
「売ったのか?」
「いや保留。でも心配しなくていいセト君の取り分は先に渡しておく」
「それは助かる。と言っても借金が減って終わりかな」
「それでもいいが、半分はレンの人工スキンに使わないかい?まだ理想系じゃないんだろ」
すでに人工スキンの在庫を持ってきてるようだ。
こいつ、自分が完成系見たいだけじゃないのか?
まぁ乗るけどな。
挿絵の文字が漢字なのはご容赦ください。
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