骨と白虎と変態と
目を覚ました白虎は少し驚いた顔をしたが、落ち着いていた。
傷の様子もそこまではひどくなさそうだ。会話ができるか試してみるか。
そもそも人型?獣人?色々謎が多すぎる。
「……モーナフェルムって、」
セトが語りかけようとすると、白虎がぴくりと動く
「モナーク」
白虎がぽつりと言うと、スケルトンが突然顔を上げ、腕を伸ばす。
ぴしっと指差す。
「……“モナーク”……それが君の名前か?」
「では……もっちゃん?」
口にした瞬間、レンの頭がぐらりと揺れた。どんな反応だ、かと思えば――
「おいきやちゅいぞ!」
半分噛みながらも、食ってかかるようなモナの声。
けれどそのすぐあと、レンは満面の笑みで親指を立てた。
「……気に入った、のかよ」
白虎は半ば呆れたように、けれど口元には笑みを浮かべていた。
「せめてモナと呼んでくれ」
上二つの耳は少し動き、人の耳の方は真っ赤だった。
「てか、なんで耳が4つなんだ」
「しょうがないだろ変身なんて初めてなんだ、人の形作ったらこうなったの」
「初めて?他のモーナフェルムは変身できるのか?」
「里の大半は獣のままだ、獣人になれるのは少ない。私の父も獣人でそれは立派だった」
最後は少し目を伏せながら話し出す。
「父が消えたんだ、父の匂いを辿っていたら。襲われた」
「お前たちも私を狩りにきたんだと思ったが、止めを刺さないどころか、手当までする」
「それになんだそいつは、中身がないじゃないか」
当然の疑問だが、ちと情報量が多い。整理させてくれ。
「まず、俺たちは調査で行った。だが、捕獲できたらいいくらいで、実のところ君のタテガミ狙いだった」
「立て髪?」
モナは顔を赤くする。何か不味かっただろうか?
「そう、依頼主が欲しがってたのでね。だが、先に交戦があって、見た時にはすでに君は傷だらけ」
一呼吸おきレンを見ると、モナの耳ばかり見てる。聞いてる?
「突然戦いになってしまって、俺も興奮していたのか。止めないでレン。この子ね、レンをけしかけたことはすまない」
モナに深々と頭を下げる。お互い様とはいえ、こっちはモナを討伐まで考えていたのだ。
「弱いものが狩られるのは当然だ。お前が謝ることじゃーーにゃい」
「……最後に噛まなければかっこいい言葉だったな。だがすまない。それに手加減してくれてたろ」
「胸傷つけても、引かない。胴体噛んでも止まらない。化け物かと思ったら、あれはなんだ?」
「スケルトンだ。ダンジョン最強のスケルトン」
「なんだそれ、なんでそれが人の皮をかぶってる」
「俺が惚れて、人に見えるようにしてる」
「……変態だぁああ。やばい剥製にされぇぇる!!」
「やめろ。人聞きの悪い」
どうやら話はまだ続きそうだ。不意にドアを確認するが、セラの影はない。
二度見する。大丈夫だよな?
白虎と言いながら尻尾が狼チックですが流してください。耳が4つなのはAIが理解してくれないので、そのまま使います。