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最強スケルトンに恋をした ~嫁達が強すぎて魔王認定されました~  作者: HK技研
最強スケルトン出会い

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落ちるもの

落ちたのは体だけじゃなかった。心もあの時落としていた。


ダンジョンでの出会いが、俺の人生を一変させた。



俺はセト。城塞都市ノアで道具屋をやっている。


孤児だったが、鍛冶屋の親方に拾われどうにか生きてきた。

そして、道具屋として独立することができたのだ。


道具屋といっても河川敷で店を広げるような生活を続け、

時には、ダンジョンで拾った武具を直しては駆け出し冒険者に売る。


口の悪い奴らは「死体はぎ」なんて呼んだりする。


別に構わない。死んだらそれまでだ。


基本ダンジョンでの拾得物は見つけたものにある。

遺族がいるなら申し訳ないが、そんな世の中だ。



その甲斐あって、城壁内にも小さいながら小屋も買えた。

親方にはまだ早いと言われたが、欲しいものは欲しいのだ。


己の欲望には蓋はできない。


幸い、割りのいい仕事も入ってくるようになったところだ。

もう少し設備を整えたいから一稼ぎしてこよう。


そう思っていた。


だが、人生設計は足元から崩れた。


文字通りダンジョンの床が崩れて盛大に落ちた。


落ちた先で水に沈む。



ついてない、いやついてたか。


沈まなければ、落下の衝撃で死んでいた。


不思議な空間だ、湖面とちょっとの陸地。さらにはダンジョンの外になるのか。星が頭上に見える。


何度か通ったダンジョンだが、初めての空間だ。


一階層と二階層以外は足を踏み入れたことはないから当然か。


「どこまで落ちたんだ?」


陸地に手をかけ、上がろうとすると、そいつはいた。


全身が骨。ショートソード二刀流に、黒光りするバックラー装備。


静かに、堂々と立っている。


スケルトン?


鍛冶屋の親方から聞いた事がある。

多くの冒険者が挑むも返り討ちにされる。


最強スケルトン



百年無敗とか、全ての武器を使えるとか、死んだはずの冒険者の技を使うとか。


とにかく、強い!以上!


せいぜい武具の皮ベルトを切ったりするナイフしか装備していない俺に、勝ち目などない!


はい、詰んだ!貴族風に言うと、チェックメイト!


ポーンじゃなくボーンにやられるわけだ。


あたりを見ても逃げる場所が見当たらない。



逃げ場ナシ。武器ナシ。勝ち目なんてあるわけない。

俺は諦めて、大の字に寝転がった。


「戦っても無理。せめて苦しまない感じで頼むよ……」


……が、スケルトンは動かない。見下ろしてるだけ。武器も構えず、ただそこに立ってる。


ダメだ。緊張の糸が切れたのか、陸にどうにか上がると。俺は倒れ込む。


そのまま寝落ち。


今思うと、どうかしている。



◇◆◆


首が無くてもおかしくなかった状況だ。


だが、幸い首は繋がっていた。


それどころか、枯れ草に包まれて起きた。


なんじゃこれ。


これスケルトンが? 布団のつもりか?

意味がわからない。


だが、俺が起きた様子を見てるのかスケルトンの目?眼球ないけど。

見られてる気はする。


スケルトンは、俺を気にするわけでもなく、壁を蹴り上がる。

上の方に横穴があり、器用にそこへ入っていく。


なんだあれ?あそこから出られるのか?


しばらく待ってもスケルトンが戻る気配はない。

代わりに剣戟が聞こえる。


戦ってる?


日の光は入ってこないが、空は明るい。角度的にずっと影だな。

暑くないのはいいけど、さて、持ち物を確認。


ナイフと携帯食くらいしかない。


あと枯れ草……なんとかなるな。





草があるならヒモが作れる。


細いヒモでも合わせれば丈夫な縄になる。




高い部分に横穴が見える。


上手くいけばあそこから出られるだろう。



黙々と草を編み続ける。

夢中になってると、いつの間にかスケルトンが目の前にいた。


「うわっ。びっくりするわ」


スケルトンは黙って見ていた。俺の声に微動だにせず、マジで静かな監視。看守?


なぜ殺されないのかわからない。

気が変わっていきなりグサリとかされるのかな。


さっきの剣戟はコイツだろうし。


戦いはするんだよな。


手を止めてスケルトンをじっと見てみる。

スケルトンが、顔を上げた。



目が合う。いやただの空洞で目などない、出会いは怖かったが、今は不思議と見ていられる。

しばらくすると、スケルトンが顔を背ける。


気に障ったかな。俺はまた縄を作る。スケルトンはまた俺を見ている。マジ看守。


枯れ草が少なくなってきた頃。スケルトンはいきなり飛び上がる。

襲われる。いや、壁を何度も蹴り上げ、横穴に入っていた。


俺はまた、一人で穴に取り残された。


あいつに背負って貰えば出れるな。無理か。



しばらくするとスケルトンは枯れ草の束をも抱え戻ってきた。


そして俺の前におく。


なんだ優しいなコイツ。


その夜、月明かりが少しだけ差し込む。


俺たちは無言のまま、生活を続ける。


いや、骨と人の二人暮らしって何事。


なんとなくわかってきた。


こいつ、無差別に襲ってはこない。

挑まれるから応じてただけ。




戦いに飽きたのか

それとも……優しい性格なのかもしれない。

月明かりがスケルトンを照らす。

百年無敗と言われるのに綺麗な骨。


それとは対照的に古びた革のアーマー。

冒険者が欲しがると噂のバックラー。


ただの古い小盾にしか見えん。しかも革製でボロい。



さらには腰にぶら下げたボロボロの剣の柄。

刃はなく、飾りの彫刻もほとんど擦り切れてる。

何より下げているヒモがボロい。


でも、それをスケルトンは大事そうに腰に下げている。


「それ、触ってもいいか?」


俺の問いにスケルトンは剣の柄を手に取る。


朽ちたヒモを解くと、少しスケルトンが動く。

まずったかな。


だが、俺は新しいヒモを結び直しスケルトンに手渡す。


少しだけスケルトンがそれを見つめ。また腰にそれをかけた。


良かったようだ。


さて、仕上がった縄におもりをつけて、横穴めがけて投げてみた……届かない。


何度も試して、ダメだった。


そのとき。


スケルトンが、俺の縄を持って、上に登っていった。そして、穴の外から俺を引っ張ってくれた。


少しずつ、少しずつ。力はそれほどない。でも、必死だった。



ダンジョンの抜け道をスケルトンは教えてくれる。

やがてダンジョンの入り口が見え、朝日が差し込んでくる。

世界が少し明るくなる。


スケルトンは、背を向けて帰ろうとした。


「……待ってくれ!」


俺は声をかけた。思わず、伸ばした。

スケルトンは、ゆっくりと振り返る。


暗い中で共に過ごしたスケルトンを光の下で見てみたい。

単純にそう思いスケルトンを説得した。


言葉が通じてるかわからないが、渋々歩く。

もう少しで光が届く場所で立ち止まる。


骨の手が、前に伸びる。まだ光には届かない。


さらに指を伸ばす。


そのとき。


光に触れたスケルトンの指がポロリと、落ちた。


あまりに静かな喪失だった。


スケルトンは、明らかにがっかりしていた。

 

俺は、落ちた指を拾って、スケルトンに返した。


スケルトンは、それを奥で、丁寧に付け直していた。


くっつくことに、俺は妙に安堵していた。


…あれ?


そこし離れて見た。

スケルトンは手をグーパーさせていた。

なんだか、それが……可愛く見えた。


待て……勘違いしてたんじゃないか?


あの体格。

あの仕草。


俺があれを修理した場合。完成形は…


そして何より、あの腰。


ちょっと……肉付けしたら……あれ、美少女じゃね……?


修理の際は完成形を思い描く俺の心がざわついた。


スケルトンは……女の子だ!


それも


美少女で【希望】

ちょうどいい肉付きで【願望】

そして……おっぱい【欲望】



修理の魂か恩返しか、欲望か、俺の心が動く。


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