第8新卒:『たったひとりの三姉妹』その1
【青山未羽/マジカルギャル】
――その日、ウチは城東大学付属病院に来ていた。
この病院は千葉県でも田舎の方にあるからなのか、あんまり若い患者がいない。
廊下を歩いていて見かけたのは、おじいちゃん、おばあちゃんばかり。
ウチらは、こっちを見ているそんな人たちに軽くエシャクしつつも、ある女の子の病室へと急いでいる。
この前お世話になったデュマ幼稚園を卒園した小学生で、病気で手術する女の子がいるらしいと、久保田先生から聞いたのは数日前。
なんでも、手術の前にどうしても「マジカルギャル」に会いたいって言ってる。
その子のお母さんのSNSで先にその子の顔は見てるけど、直接会うのは今日が初めてだ。
ウチらに治せるわけじゃないし、元気づけられるかなんてわかんないけど。
……まあ、とにかく、ウチは、その子の為にせめて何かできる事をしようと思う。
何ができるかは置いといて、たぶんウチは行かなきゃならない。子供の為に何かできない先生って嫌でしょ?
そんなわけで、番長と委員長にもその話を伝えて、ウチら三人は、ちょっと変身してその子のところに行く事になった。
二人がついてきてくれないわけがない。
女の子の名前は、星川あさみちゃん。今は小学四年生になっている。
なんでも、ある時の健康診断で、珍しい心臓の病気が見つかったらしい。それで、この子はこの病院に入院する事になったんだ。
なんとか治療できるお医者さんやお金の都合がついて、この子を治す手術はもう来週にまで控えている。
……ちなみにだけど、ウチは、今まで手術なんて一度もした事ない。
自分がそうなったら、と思うとちょっと怖いくらい。こんな小さい女の子が、そんな孤独な闘いをしてるんだと思って、ゾッとする。
でも、きっと、ウチみたいに苦しい目に遭わずにのんびり生きてられたぼんくらと違って、運悪く苦しんでいる人が世界中にたくさんいるんだと思う。
運良かったウチが慰めるのも変だし、何も知らないのにほんとにゴメンって思うけど、とにかく、呼んでるなら行く。
きっと何もしないっていうのが、一番、その子が寂しがると思ったから。
「――こちらがあさみちゃんの病室です」
看護師さんと、あさみちゃんのお母さんの指示に従って、あさみちゃんの病室へと入った。
彼女はいま、ひとりで、その病室で暮らしているんだ。
「こんにちは、あさみちゃん!」
ドアを開けて、奥の見晴らしの良いベッドに向かう。
あさみちゃんは、ずっとそこに横になって、一日を送り続けているらしい。
凄く大きくて新しい窓の光が、ウチらを迎えた。
あさみちゃんは、写真の通り、ウチみたいなぱっつん髪の女の子だ。
あさみちゃんは、ずっと物憂げに外を見ていたみたいなんだけど、来た瞬間にこっちを見てくれた。
「あっ……マジカルギャル! 本当に来てくれたんだ!」
「――うん。えへへ」
色んな不安がある中で絞り出した声で、あさみちゃんはウチに真っ先に声をかける。
心底元気になれるっていうわけでもなく、まだ頭の中には怖さだとか寂しさだとかが渦巻いてるのかな。そんな中で、ただちょっとその日だけ起きた嬉しい出来事だと思って、ウチらに声をかけたんだと思う。
ウチら三人は、彼女の方を見ながら、答える。
「あさみちゃん、こんにちは!
マジカル女番長とマジカル委員長も連れてきたよ!」
とりあえず、ウチらも元気に挨拶。
こっちも色々と悩んでるけど、まずはとにかく笑顔と元気。
でないと、ホラ、向こうも不安がっちゃうから!
「よろしく、あさみちゃん。マジカル女番長だ!」
「マジカル委員長です。よろしくお願いします、あさみちゃん」
「そして、ぼくはワニワニン。魔法の妖精だよ」
誰も聞いてないんだけど、ワニワニンまで挨拶してる。
うーん……まあ、魔法の妖精っていうのも夢があっていいと思うけど。
ワニっていう動物に対して、悪役のイメージ持ってないかな……。
「うん……。
あさみの為に、来てくれて、えっと……ありがとうございます」
驚いてか口を開けながら、礼儀正しく挨拶するあさみちゃん。
ベッドに横になったままで、とりあえず今は安静にしているみたいだからウチらはそこまで歩いていく。
ウチから順番に握手して、最後はワニワニンと握手。
「変なの……」
最後にワニワニンにボソッと言った一言を、ウチら三人は聞き取っちゃった。
まあ、人間界にはいない動物だから、こうして会ったらゾッとするよね。病気とか移す事はないみたいだけど。
ワニのくせに喋るし。
「えーっと、あさみちゃん、来週手術なんだよね?」
「はい」
「今日はあさみちゃんを励ましに来たんだよ。
お話したり、遊んだり、何しよっか」
「うーん……」
「あさみちゃんが元気出るように、出来る事ならなんでもするけど……。
何かウチらにやってほしい事とかある?」
とりあえず、ウチらはあさみちゃんにそう言ってみた。
出来る事って、ほんと、何があるんだか全然わからないけど。
わかんなきゃ聞いてみるしかない。
あさみちゃんは不安そうな顔で一つ訊く。
「――えっと、魔法で、病気治したりはできますか……?」
やっぱり、そうだよね……。
それが一番の望みなのは当たり前だって思った。何となく除外して言ってくれるかなと思ったけど、そうはいかない。
怖い現実と戦う為の魔法が、彼女に必要なんだ。
「――」
……子供の時、ウチはなんとなくテレビのヒーローは信じてなかった。
いるかもっていう想いと、作り物だっていう想いとが、ちょっと複雑に両方あったと思う。
でも、それに比べて、ウチらはちゃんとここにいて、普段魔法で戦ってしまっている。
ウチらの持つ魔法に、「希望」だけじゃなくて、具体的な「結果」を期待している人だって当然いるんだ。
ウチらに代わって答えるのは、専門家のワニワニンだ。
厳密には、魔法じゃなくて、「魔法」っていう名前の魔法のような科学技術らしいけど、それを教えられるのはワニワニンしかいない。
「ごめんね、あさみちゃん。
確かに魔法は色んな力を与える事ができるけど、
何でもできるように作られているわけじゃないんだ……。
今の彼女たちの魔法で、あさみちゃんの病気を治す事はできないよ」
嘘は言えないもん。
そりゃあ、魔法で作ったメスとかで手術は出来るかもしれないけど、ウチらが人間の体の構造まで理解してないと、たぶん、治すなんてできないし。
その魔法が使えるのは、お医者さんか、あるいは相当高い魔法を発揮できた時だけだ。
「魔法って、役に立たないんですね……」
うっ。
これは、まったく、あさみちゃんの言う通り。
ウチらの今の魔法で出来るのは、戦いくらい。
あさみちゃんは、ウチら三人をじっと見る。
最初はウチに目を合わせた後で、あとの二人をじっくり見た。
さっきの不安そうな表情が大きく膨れ上がったみたいで、彼女の目には小さく涙が浮かんでいた。
「――やっぱり手術って嫌だな。
こんな時に、あさみだけ一人なんて……」
「ひ、一人じゃないよ……ほら、ウチらも応援するから」
「……でも、マジカルギャルたちは、いつも三人。
あさみ、一人で手術受けないといけない。
一緒に痛い想いする人、誰もいないし……」
「えっと……」
「うちはマジカルギャルを呼んだのに、二人も連れてきたし……。
三人いるって、なんかずるい」
あっ……そっか。
そうだったんだ。
――でも、この子はマジカルギャルに、ウチだけに会いたかったんだ。
「……ああ、うん……ごめんね」
なのに、良かれと思って、ウチは二人まで連れてきて……。
二人はすごく居心地が悪そうな顔を見合わせて、ウチは心の中で二人に謝る。
すごく正直な言葉に聞こえるんだけど、たぶん悪い子じゃないんだろうなって思うのは、彼女が不安を告げる時、どことなく小さな声になるからだ。
ウチは、それになんとか返すしかない。元気になってもらえるように。
「――でもほら、あさみちゃんもお母さんやお医者さんや、
色んな人のお陰でこうやって、
病気と最後の戦いをできるんだよ!
それに勝てたらきっと、友達のみんなと遊べるから!」
……彼女にとっていま一番怖いのは、もしかしたら「病気」じゃなくて、その「最後の戦い」の方なのかもしれないって、言ってから少し思った。
病気を治してほしいのも、手術で体を切るのが怖いからなのかもしれない。
そうだよ、いまはそれが一番怖いから、原因になってる病気を、魔法で自然に治してほしいって思ってるんだ。
でも、あさみちゃんは、ちょっと言い間違えた気がするウチの言葉に、丁寧に返してくれる。
「――うん。そうですね。
ごめんなさい……」
なんだか、良い子だから、ウチらに失礼な事を言ったのを後悔して取り繕ったみたいな、そんな言葉。
本当の気持ちがどこか乗っていなくて、たぶん、やっぱり本当は手術がすごく怖いんだと思う。
彼女が期待してるのは魔法。
だけど、それがウチらにはできない。
……だったら、ウチらに出来る事ってなんもないのかな。
ウチら三人の励ましは、一人で手術と戦うこの子に、あんまりうまく結び付かないのかな。
ウチの――青山未羽の魔法って、一体何の役に立つのかな。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
【青山未羽】
「――ごめんなさい、いつもは三人の活躍を楽しく見てたんですけど、
なんだか最近、手術が近づいて不安みたいで。
最初お見舞いに来てたお友達も、
最近来なくなってしまったのが大きかったんでしょうか……。
きっと、あの子も、いま後悔してると思うんですけど……」
病室の外で、あさみちゃんのお母さんは、ウチらに頭を下げている。
あさみちゃんをフォローしつつも、やっぱり、わざわざ来てくれたお客さんに失礼を働いて申し訳ないっていう気持ちが凄く顔に出ている。
いま一番つらいのはこの人なのかもしれない。
娘も心配だし、良かれと思ってウチらを呼んだら、両方の機嫌を損ねるような結果になってしまって……。
「いいえ、仕方ないですよ。
前向きになれない時なんて、誰にでもあります。
まして今の彼女の状況なら仕方ないです。
……顔を上げてください。
ただ、お互いタイミングが悪かったのかもしれません」
「うん。もし、何かあったらまた来ます。
今日じゃない日に……、
あさみちゃんがちゃんと喜んでくれる日に行くのが、
誰にとっても一番良いと思うし……」
マイマイとマジバンがそれぞれ、大人の対応をしている。
すごく丁寧な答えだと思う。
でも、なんだかそんな横で、ウチの中には――本当にタイミングだけの問題だったのかっていう想いがもやもや巡っていた。
また日を改めて来たら、どうにかなるのかな。
……なんか、そんな気はしない。
むしろ、手術が近づくんだから、もっと怖い想いをしているに決まってる。
「……」
――結局、ウチだって、同じ目に遭ったら耐えられないかもしれない。
珍しい病気にかかって、誰もその孤独を共感してくれる人がいなくて、友達からもだんだん連絡や面会がなくなって、それで今は、あの子は一人。
一人で戦っている彼女には、三人でワイワイやっているウチらは、すごく寂しい気持ちにさせられる――見ていて孤独を実感してしまう相手なんだ。
きっと、彼女の友達も、それを何となく察して、傷つけないように離れて……それで、本当に一人になったんだ。
それなら。
「――決めたっ!」
ふと、口から決意の言葉が出た。
二人も、あの子のお母さんも、みんな一斉にウチを見る。
「次の戦い、絶対にウチが一人で戦って勝つ!
来週の手術までに、たぶんまた極悪帝国来るから!」
そうだ。
ウチらは三人仲間だけど、いま、彼女の為に三人でいる姿を見せちゃいけない。
一人で戦っている子がいる。その子が勇気を得るには、友情や三位一体じゃなくて、ウチが一人で戦うところを見せないとダメだ。
「一人で!?」
「次にウチ一人で勝てば、きっとあさみちゃんに勇気をあげられる。
今度の戦いは、誰が相手だって、絶対一人で勝つよ!」
三人で初めて強いとしても、ウチはいまは、一人で勝つヒーローにならなきゃいけない。
たとえ何があっても、マジバンとマイマイの力は借りずに、ウチだけの力で敵に勝つ。
そうだ、約束しよう。
きっと、いつも通りテレビとかがウチらの戦いにカメラを向けて、戦ってくれる。
それをあさみちゃんはきっと見るし、その時にウチが一人で戦って、極悪帝国に勝つ姿を見せてやるんだ。
「あさみちゃんに約束してくる!
次に極悪帝国が攻めてきたら、絶対ウチ一人で勝つって!」
そう言って、ウチはもう一度病室に入り、外の風景を見ているあさみちゃんの前にやって来た。
驚いた顔のあさみちゃんに、ウチは大きな声で約束する。
「――ねえ、あさみちゃん、今度の戦いでは、
ウチが一人で戦って勝つから、絶対見ててね!
どんなにつらくたって一人だって戦えるし、
絶対勝てるって、ウチが見せてあげるから!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
【青山未羽】
――そして、その日から、ひたすらにウチの特訓の日々が始まった。
マジバンとマイマイにも付き合ってもらって、採石場まで行って、とにかく毎日ひたすら組手。
同格のマジバンやマイマイに勝てれば、たぶん、極悪帝国の敵には一対一でも勝てると思うから。
だから、ちょっとでも強くなるようにひたすら練習だ。
今日、ウチは、マイマイと一対一でバトル。
マジバンは、今回はそれを見てウチの動きの何がダメかとか教えてくれるように頼んだ。
場合によっては、マジバンと戦ったり、二人纏めて相手にしたり、色々やって二人と戦わなきゃならないんだけど、今はとりあえずマイマイと一対一。
「――それ、スーパーローファーキック!!」
マジカルギャルの必殺、スーパーローファーキック。勢いをつけてジャンプして敵に向ければ、キック力は12tまで上がる超強い技。
いきなり使って来るとは思わないでしょ。
「無駄です」
「げっ!」
……とか思ってたんだけど、なんと、マイマイは体の前で魔法の日本刀を横に構えて盾にする。
躊躇なし。
うん。このローファーは超硬いから大丈夫だったけど、超スピードで前に進んでる時に目の前に刀が突然現れるって超怖いわ。
「くぅっ……!」
ウチのスーパーローファーキックはそのままマイマイの刀に激突。
ガキンッ! ――と、硬い物と硬い物とが強くぶつかる音が鳴る。
まあ、とにかく今度はそのまま後ろに着地して、うまく応戦するしかないわ。
「じゃあこれ、ギャップ萌え二丁拳銃♪」
今度は二丁拳銃を出現させて、とにかくひたすら撃ちまくる。
距離も近いからきっと避けるのは大変だ。
魔法の弾丸がマイマイに向かって、たんっ、たんっ、たんっとぶつかっていく。
だけど……
「――これも効きません」
マイマイの刀が全部空中で斬ってばらばらにしちゃった。魔法の弾丸は斬られた瞬間、光になって消えてしまう。
うーん……漫画とかでよく見るけど、これマジで出来るんだね。
魔法で感覚が鋭くなってるし、自己防衛本能も強くなってるらしいから。
「あーーーーーもう、奥の手! なわとびウィップ!!」
仕方ない。誰にも見せてなかったけど、新しい武器を出す。
この前やっとルミナスエッグで買った――なわとびウィップ。
なわとびの形をしてるけど、実はこれ、ムチとしても使えるし、電撃出したり、敵を縛ったり、魔法を吸い取って攻撃のダメージに加算できたりする。
しかも伸縮自在で、こっちの力次第でどこまでも伸びる。
そこそこ高かったんだけど、だからこそ、今回勝つには必要。
それ、ぺちっ! ぺちっ! ぺちっ!
魔法に惹きつけられて攻撃するから、振り回せば必ず敵に当たるようになっている。
ウチの感覚も鋭くなって、どうすれば当たるのかわかるようになってるし。
「新武器ですか……でも斬りますよっ!」
魔法の日本刀が、ウチのなわとびウィップを狙った。
弾丸みたいに空中で斬り裂こうとしているみたいだ。
うーん。だけど、無駄なんだよね。
「あれっ!? 斬れないっ!? 何て事!?」
弾力があって、簡単にはちぎれない仕様のなわとびなんだ。
だから、魔法の日本刀を振り回したって、ちょっとやそっとじゃスライスできない。
そして――。
「捕獲完了♪」
なわとびウィップは一気に伸びて、マイマイを縛り上げてしまう。
これで無事、マイマイは動けなくなった。やったぜ。
「……って感じで、どう? ウチの勝ち?」
そう言いながら、ウチはギャップ萌え二丁拳銃を、縛られて動けないマイマイの前に構えた。
どうやら、これでチェックメイト……ってやつだね!
「――ええ。参りしました」
というわけで、無事マイマイとの特訓では大勝利。
まあ、マイマイも知らない新しい武器を使ったからなんだけど。
そういうわけで、この戦いは終わりで、一旦休憩だ。
「……疲れたぁ~。とりあえず休憩」
ずっと特訓したいんだけど、いつ敵が来るかわかんない。その時に疲れすぎて魔法値がなかったら、戦う事だってできないから。
とりあえず、今は一回、ふにゃふにゃになって、色々と回復。
何をするにも魔法値を取られて、それがないと出動した後困るって、ほんと不便。
色々考えながらポカリを飲んでいたら、ワニワニンが横から声をかけてきた。
「……ミウくん。
魔法の力って、そんなに伸びしろがあるものじゃないよ。
特訓や努力を一切せず、安全に勝てるように設定されてるんだ。
特訓自体が絶対に無駄とは言わないけど、
こんなに毎日やったって、たぶん意味ないよ」
うーん……。
めっちゃ修行して強くなるって王道だけど、ウチらの魔法値って自然と上がったり下がったりするから、何やったって魔法値自体は上がらない。
相手より強い状態で戦えるってのは確かだから、それ自体が必要ないのかもしれない。
ただ、なんだか「聖なる光を持っていれば敵に余裕で勝てる」っていうのも、本当に場合による。
地球侵略軍は、他の世界の侵略軍より強い敵が結構多いみたいなんだよね(マジ最悪)。
でも、とにかく、一秒でも長く、使い方を上手くしようと頑張ってる。
普段は何とかなってるけど、今回は三分の一の力でどうにかするしかないし。
「――でも、ほら、あさみちゃんは今、ひとりで苦しんでるんだし。
ウチだって、今回は絶対ラクして勝つつもりないし!
もし、ちょっちでも強くなれるなら、それに賭けるよ!」
そうそう。
とにかく、あの子は今も苦しんでる。
ウチはとにかく安全だけど、一緒に苦しんでみないと、手術までの時間を一緒にわかってあげないと。
「そう気張らなくても……ミウらしくもない」
「そうですよ。なんだか無理したって、そんなの……」
誰も見てないからって、眉を逆にして、変身前と同じ口調で話しかけてくるマジバンとマイマイ。
でも、らしくないったって、しゃーないじゃん。
それに、ウチの心配とか、二人もらしくない気がするし。
「今ばっかりはそうも行かないじゃん!
それに、二人がコレに協力するのだって、ウチ的にはどうかと思うくらいだし。
……こればっかりは、二人に協力してもらうしかないけど」
二人がこうやって協力してくれるっていうのも、ウチの立場が恵まれてるからだもんね。三人いて、だから特訓できる。
だけど、本当に戦う時は絶対一人で戦う。
とにかく、今はあさみちゃんとなるべく同じ立場に立ちたい。
それで戦って勝ってこそ、「マジカルギャルも同じなんだ」って思ってもらえる筈だから。
「待っててね、あさみちゃん!
ウチが一人で戦うところ、絶対見せてやるからっ!」
よし、休憩終わり。
今度の相手はマジバンに頼もう。
武器も多いし、結構厄介な相手なんだよね、マジバン……。
「……三人の力が合わないと、敵に勝つの厳しいんだけどな」
ん? ワニワニン、なんか言った?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆




