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想造世界  作者: sight
3/5

助け船

異世界に来たとはいえ、命を狙われている以上突っ立っている訳にもいかない。

とりあえず俺は近くにあった丸い建物に飛び込んだ。

幸い鍵は開いていて、扉が開かなくて立ち往生なんてことにはならなかった。

建物には窓がなく、完全に閉め切っているはずなのに何故か明るく、周りを見ることができた。

異世界なんだからなにを見ても驚かない、という心構えはしていたが、俺はまた驚いた。

「普通だ……」

建物は丸く、とても違和感があるのに中の間取りや家具は俺のいた世界と見た感じ同じだった。

リビングがあり、キッチン、風呂、トイレもある。

リビングにはテレビがあってソファもあった。

机の上に広げられた新聞紙に書かれている文字は日本語だった。

やはりおかしいのは家の形と襲ってきた奴…


外から怒鳴り声が聞こえた。

「オラァ!出てきやがれェ!ここら辺に居んのは分かってんだぞォ!?」

「出てこいって言われて出て行くバカがいるかよ…」

ここにいればあいつにはばれないはずだ。

息を殺して切り抜けよう、考えるのは後だ、、、


「あぁ?出てこねぇつもりか? …だったら引きずり出してやんよォォ!」

ヒュン…ヒュンッ…ビュンッビュンッ…

「オッッラァ!!」

ブァオン!!

俺の見ている先で壁に亀裂が入り、光が差し込んできた。そして黒いレコードも。

「うっっ!ぉぉお!!」

間一髪でレコードは俺を逸れたが、腕を少し掠った。

あまりに鋭い刃で切られると、人は痛みを感じない。

レコードは痛みを伴わずに俺の腕を切り、勢いを緩めることなく軌道上の家々を砕き、突き進んでいった。


勢いが消えたのか遥か先に進んだのか、レコードの奏でる破壊音は聞こえなくなった。


俺が視線を壁に戻すと、大層性格の悪そうな男が立っていた。

肩まで伸び、手入れされていないであろう髪の毛、

目つきは悪く、鋭い。

筋肉隆々、とても強そうだ。

しかもなんか鼻に切り傷がある。

どう見ても良い人ではないと言い切れる。


固まっていたら相手から喋り始めた。

「てめぇだな?俺様の相手は?」

相手とか言われても意味がわからない。

「いえ、、、たぶん人違いです、、、」

「あ!?ンな訳ねぇだろぉが!!今この世界に居られんのは俺様とてめぇらだけなんだからよォ!」

「て、てめぇら(⚫︎)?」

「ァ?あぁ…お前ら二人組だったな。おい、あと一人はどこに居る?正直に答えたらできるだけ楽に殺してやろう。」

結局殺すのかよぉぉお!

「え、いや、、、なんのことかさっぱり、、、?」

「しらばっくれんのかよ?だいたい挑んで来たのはてめぇらだろ?強いって噂だから楽しみにしてたのによぉ!殺(や)り応えなさすぎだろ!」

どうやらこの男は俺を誰かと勘違いしているらしい。

「どうも変だな、、、仲間が助けに来るかと思ったがこねぇし、、、っ!」

男が急に大きく後ずさった。

男の居た場所を棒のような物が突き抜ける。

「へっ!やっとお仲間の登場って訳かァ!!」

棒を持った男は小柄(おそらく俺よりは背が低いだろう)で白髪(はくはつ)、チャラそうな少年だった。

「君がなんで今ここに居るかはあとで聞くから、ちょっとだけまっててね!」

少年は棒を巧みに操り、男を追い立てる。

しかし男も防戦一方ではなく、棒に掴みかかる。

少年は男の手を避け、男の左脚に一撃を浴びせた。

男は膝をつき倒れた。少年は止めを刺そうとして棒を大きく引いた

その瞬間、男は左手で棒を掴み、右手を腰に巻いたレコードに伸ばす。

男の腕力に少年は抗えず、攻撃から逃れるために棒を放した。

男はレコードを投げず、掴んだまま振り抜いた。

棒は切断され支えを失って落ちた。

「さぁ…もう武器はねぇぞぉ?おとなしく殺られろぉぉ!!」

男は今度こそレコードを投げる素振りを見せる。

「チッ!」

少年は男との距離を取って、、、


叫んだ。


「くそじじい!今だ!」

上から白いボロマントを羽織った年寄りが飛び降りてきた。 …ドズンッ

「…痛っっってぇぇえ!!」

「当たり前だくそじじい!そんなカッコつけなくていいんだよ!カッコ悪いし!!」

「うるせぇ!何事もなぁ!始めが肝心なんだよ!!」

男は老人を見て、少し戸惑ったようだった。

「な、三人!?まあいい……フンッ!」

男がレコードを投げた。


老人は静かに小さな、銀色に輝く

『鏡』を取り出し、かざす。


レコードは『鏡』に吸い込まれるように入っていき…吐き出された。、、、男に向かって


「うぉぉぉお!!?」

全てを切り裂く黒い刃は、男の身体を二つに分けた。

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