闘いの準備2
空中から爆撃はやむことはなかった。地面に突き刺さる火の刃は容赦無用に、すべての物を破壊し空一面真っ赤に染めた。
大きな爆音が、地下の避難所にいる俺と柿沼の耳にこだまする。俺はあまりの恐ろしさに身を縮め爆音が終わるのを願った。
「どうしてサクラは、勝ち目のないアメリカにこうも宣戦布告をする。もうやめてくれ。やめてくれ。」
俺は下を向いて一人言のように話した。
それを聞いてた柿沼が俺に言った。
「それは、バックに中国がいるからよ。大国の中国がサクラを後押ししてるのよ。でもね。中国はサクラを利用しているだけ、最終的には米中間の戦争になるわ。」
「目的はなんですか?」
「米国がサクラを壊滅すれば減少した日本人達はごくわずか。国としては成り立たなくなる。そこで中国は日本再生を念頭におく我々が邪魔になるの。そこで米中戦争が勃発するわ。日本列島を手にいれるために。」
俺はサクラより巨大な怪物の存在に驚いた。
「本当ですか?」
「本当よ。二つの大国がぶつかり合うから世界的な闘いになるのは避けられないわ。だからサクラ、いや今の日本の無謀な闘いを止める。でも止められなかった。ここまで攻撃されると米国も黙ってないと思うわ。」
「ちょっと待ってください。俺と佐々木が一ヶ月後、牧草総理と会う約束をしています。それは工藤が作った武器弾薬を製造している日本海に浮かぶ小さな孤島で会う約束をしてます。彼らが欲しがってるのは、その孤島にある武器製造工場の地下室にある金庫の中身。その金庫のカギは僕がもっています。」
柿沼はその孤島のことを知っているように目を閉じ回想してるようだった。
「牧草ともみは私の高校の時の友人よ。その孤島にも行ったことがあるわ。その孤島に大事なもの置いてきたの。」
俺は驚いた。まさか、ともみとモーセレ柿沼が知り合いだったとは。
「そうなんですか。牧草ともみは僕の妻です。その妻に命を狙われています。」
「お互い牧草ともみに接点があるのね。その孤島での約束の日、私も一緒にいくわ。金庫の中身を絶対に渡しちゃ駄目。それに私自身、その島に取りに行かなくちゃならないものあるし。」
柿沼は意味深に話した。
俺達が話してる間に爆撃の音が静まり、大地の揺れがおさまっていた。俺達は恐る恐る地上にもどり、周り見回した。そこには、部分的に崩れ落ちた建物が点在し、木々が炎の葉をつけ燃えあがっていた。福岡ドームは天井が炎につつまれ、空一面真っ赤に染まっていた。
「とにかく、父のもとにいきましょう。米国の動向もわからないし。」
モーセレ柿沼が言った。
米軍達は火を消す事に躍起になっているようだ。
「柿沼さん。佐々木さんは大丈夫ですかね?」
「多分安全な場所に避難していると思うわ。大丈夫よ。」
そして俺達は柿沼の父、サムモーセレがいる福岡空港に向かった。