闘いの準備
テロ集団サクラは国家警察機構そのものと佐々木の手帳に書いてあった。もしそうならば死んだ警視庁のNo.2の中山実もサクラの幹部であり、佐々木の同僚の阿久津もサクラに何らかの協力をしていることは頷ける。しかも、政界のトップの牧草総理がサクラのトップなら、ごくごく当然かもしれない。
俺とモーセレ柿沼は福岡ドーム内の客室にいた。目の前には柿沼の父である米軍最高司令官サムモーセレが視線を下に向け俺の話に耳を傾けていた。
話終えた俺は、サムモーセレが口を開くのを待った。
部屋中、重い空気がはりつめ沈黙が続いた。
その沈黙を破ったのはドアのノックだ。
「失礼します。四国から戦闘機が二機こちらに向かって飛び立ちました。」
サムモーセレは目を見開き立ち上がり予定外のような動揺をみせた。
「ははやいな。こちらは迎え撃つ準備はできてるのか?」
「大至急行っています。なにぶん予測より数段はやくレーダーが感知したもので。本土からの応援は間に合いません。」
「福岡ドームはマトになりやすい。ドーム内にある戦車、戦闘機、武器弾薬をすべて福岡空港に運び戦闘体制に入れ。大至急だ。福岡ドームを空にしろ。」
俺は何がなんだかわからず、柿沼のほうをみて事の成り行きを目で問いた。
柿沼は俺のほうをみて慌てて言った。
「村川。はやくここから逃げましょう。四国に固まっている日本軍がこちらに向けて戦闘を開始しました。はやくここから。」
俺達は急いで福岡ドームの外に向かって走り出した。
それと同時に一斉に米軍が持ち場につき斜め45度あたりに大砲のような武器弾薬を構えた。
俺は青々とした雲ひとつない空をじっと見つめた。
遠くから一直線の黒い雲がこちらに向かいむかってくる。
二つの平行にむかってくる黒い雲は暗黒の使者のように青々とした空を黒く染め、すべてを焼き尽くす火花を吐いているように見えた。
それは鉄の塊だった。
その鉄の塊から火花がふきつづけ、地面が一瞬にして燃え尽くす炎に変わった。
「村川ー。こっちー。」
大声で俺を呼んだのは柿沼だった。
柿沼は俺の手を引っ張り大きなマンホールのような人為的な地下避難所に押し込んだ。
「ここなら、すこしは安全よ。」
俺は一瞬の出来事に呆然自失になりながら柿沼にきいた。
「何があったんですか?」
「日本の戦闘機がこちらに空爆したの。こちらとしては予想外の空爆で対応が遅れてるみたい。大変なことになったわ。」
俺は柿沼の目をみて口を開いた。
「とうとう、始まったんですね。」
「そうね。始まったわ。」




