心強い味方2
福岡までの道のりは俺と佐々木には、かなりの距離に感じた。途中モーセレ柿沼の助けもあり、命からがらたどり着いたものの体力的な消耗は隠しきれないでいた。
俺達は福岡ドームに隣接された米軍キャンプの一つを用意され、佐々木と俺はすぐに眠りについた。
いったいどれくらい寝ていたのだろう。ここにきてどれくらい時間が過ぎたのかわからないくらい眠りについていた。目覚めた俺はテントの隙間から顔をだした。寝袋に温められた俺の体には外の気温が 肌寒く、身を縮ませた。どうやら朝らしい。
俺は上着を羽織り靴を履いた。まわりは米軍達が朝食をとっているのが目立ち、そのまわりを歩いてる日本人の俺を物珍しそうに見ている。
「おはようございます。村川。眠れましたか?」
集団で朝食をとる米軍の中から一人立ち上がり俺に話しかけた。モーセレ柿沼だった。
「はい。おかげさまでぐっすり眠れました。なんとお礼をいっていいのかわからないくらい感謝してます。」
「私は。いや私達は以前意味不明に拉致された時に、あなたと佐々木に助けられました。あれがなかったら私達は今こうして朝食をとることは出来なかったでしょう。こちらこそ感謝しています。ところで佐々木は?」
「まだ寝てます。」
「そう。朝食の準備はできてるわ。お口にあわなかったらごめんなさいね。」
俺は正直空腹だった。
「何から何までありがとうございます。」
俺はモーセレ柿沼に礼を言い、テントに佐々木を起こしに向かった。
佐々木の大きな体はうつ伏せになりながら眠りについていた。
「佐々木さん。佐々木さん。起きてください。」
数回の呼び掛けも意味もなく佐々木はピクリともしなかった。
俺は佐々木の背中に手を置き揺らした。
俺の手は佐々木の体内から流れ出る血で真っ赤に染まった。
「モーセレさん。モーセレさん。大変です。速く来てください。」
俺は大声で叫んだ。
佐々木はここにたどり着く道中、謎の中国人にバスジャックされたときに数回放った中国人の銃弾の一発が佐々木の足の命中していたのだ。
俺は叫び続けた。
「だれかー。だれかー。だれかー。」
まわりにいた米軍達は俺の尋常な叫びで集まった。そしてその血に染まる佐々木の姿をみるやいなや、数人の米軍達は佐々木をテントから医療室へと迅速に運び始めた。
気が動転した俺は運ばれてる佐々木の横から、
「佐々木さん。佐々木さん。佐々木さん。」
と何度も連呼した。
佐々木の体から携帯が滑り落ちそうになっていたのに気づいた俺は、携帯を佐々木から抜き取り、握りしめた。佐々木の安否を気にしながら。




