第十二話 草原爽快
その日、明里は事務所で仕事を済ませ、恒例のホットスナックと炭酸飲料を摂取するために、近所のコンビニに向かっていた。
そして、その道中で霧に包まれた。
いつものことだ。
昨日今日に始まった出来事ではない。明里は、この事に関して、達観していた。
そうして霧が晴れると、明里は大草原のど真ん中にいた。
前後左右、どこを見ても草原が地平線まで続いている。
爽やかに風が吹く。
「こういう何もない場所は」
怖いんだよなあ。と、明里は一人呟いた。
言うが早いか、馬のいななく声と大量の土煙が、こちらに近づいているのが見て取れた。
10や20じゃない。100か1000頭はいそうな雰囲気だ。
逃げる場所も隠れる場所も存在しない。明里にできることは、せいぜい祈ることだけだ。
やがて、馬の集団が明里のもとに到達し、その姿を飲み込む。
「わー! あー!」
恐怖からか、明里は大声を上げる。
しかし、その恐怖が起因している馬の集団は、明里に触れることなく、全ての馬が明里を避けて通過した。
「わー! わー! ああ。ええ?」
気づけば、元通りの草原に明里が一人ポツンと立ち尽くしていた。
不意に風が吹いた。
その風に乗って、霧が辺りを包む。
霧が晴れると、明里は元いた場所からそれほど離れていない路上に立っていた。
「なんだったんだ」
終わってみれば、自分の取り乱しようが恥ずかしくなり明里は誰に見られるでもない赤面を晒した。
その後、明里はコンビニでホットスナックと炭酸飲料を買い、自宅で楽しんだ。
今日の出来事は、これでおしまい。
果たして、『次』は、どこに行くのだろうか。
それは、今はまだ、わからない。




