第三話 帰りの電車
ぼくは、帰りの電車に揺られていた。
急に、暇になって虚無感に襲われた。
そんな時、きみとのやり取りを思い出した。
そこで、一つ気になった事があった。
声をかけてきた理由が、はっきりしてなかった事だ。
夜空を共有したいからという理由で、赤の他人に声をかけるだろうか。
学校内だったから、その辺に歩いてる人と比べると赤の他人は、言い過ぎかも知れない。
でも、いくら好きで、共有したい物があったとしてもぼくならしない行動だなと思った。
ただとてもラッキーな事だったと同時に感じた。
なぜなら、後輩と絡んだ事が、部活以外で考えると全然無いし、ましてや後輩の女子で、その上かわいくてタイプだったからだ。
『今タイプて……』
自分の心の中で、なにかが動いた。
そう、きみに一目惚れしてた心に気付いた。気付けた。
【ふと出会った時の情景が思い浮かんだ】
凛とした姿、それはまるで、周りのもの全てを圧倒し二番手に思わせる。そんな姿だった。
今まで色んな人に目移りしては、付き合ってきた。そのほぼ全てが一目惚れだった。
その中でも、纏っている雰囲気が、ここまで圧倒的な人には出会ったことがなかった。
そこで、ぼくは真剣にきみと付き合いたいと考えた。
問題は、どうやって告白して付き合うかだった。
ぼくは、基本、一目惚れしてから行動に移すまでのスピードが早かった。
誰かに、取られまいという姿勢からだった。
告白が、失敗に終わることもなかった。
だから自信があった。
自信過剰になってる訳ではなく、理由があった。
気になる話題があったら、調べるようにしたり
ちょっとした行動に気を遣う。
基本だが、そういう事をしっかりしていた。
そして、きみとのやり取りで〈宵の明星〉という言葉が出たのを思い出した。
電車の乗り換えをしながら、慌ててスマホを胸ポケから取り出して〈宵の明星〉について調べた。
そこで、〈明けの明星〉だったり〈金星〉だったりが出てきたが、その中にあった《一番星》という言葉に目がいった。
理由は、分からないが凄く《一番星》に惹かれた。
同時に『これだ!』となった。
『今調べたことを覚えておいて、話題にしよう』
心の中でそう言い聞かせながら、乗り換えの電車に乗り込んだ。
あとは、告白のタイミングだ。
やっぱり、明けの明星か宵の明星がいいと思った。
ただ、明けの明星はタイミング的に難しい。
何故なら、日の出のタイミングになるからだ。
となると、やっぱり宵の明星のタイミングだ。
ここまで、決まってしまえば、出来るだけ早くに告白しようと思い、今日が月曜だから、明日の火曜にでも告白しようと考えた。
あとは、念の為に話題に困らないようにする為。
他のきみが好きそうだけど、知らなそうなことも調べようと考えた。
そこで、夜空が好きとは、言っていたけど金星については、あまり知らないんじゃないかと思い色々調べた。
調べていく中で、気になったのが《ふたごの星》という言葉だった。
ふたごの星は、色々指すものがあるが、金星と地球の特徴が、似ていることを指している言葉であるらしく、良い言葉だなと率直に思った。
そして、君が知らなそうな話題でもあったから何となく記憶しておこうと思った。
その後も、色々調べていたら、ぼくの実家の最寄り駅に着いていて、下車をして帰宅した。
わたしは、帰りの電車に揺られていた。
帰りの電車の中で、先輩の事を考えていた。
「ふぅー」とつい声が、出てしまった。
電車の中なのに、だいぶ大きい溜息をしてしまった。
周りの視線が、気になったわたしは、自分の顔を手で触ると凄く熱くなっていたから、少し俯いていた。
でも許して欲しい。
だって、先輩の事気になってたんだし……。
そう、わたしは先輩の事を知っていた。
知ったきっかけは、ひと月程前だったと思う。
学校行事で、たまたま先輩を見かけてシンプルにかっこいいなと思った。
その後も学校内で、見かけるタイミングが、何回かはあったけど、話しかける事が出来なかった。
時には、先輩が部活をしている所を見たりもしていた。
サッカー自体は、素人目にもそこまで上手くは見えなかったけど、努力してるのが一目見ただけで分かった。
理由は、わたしもバドをしてるから、分かるけどシンプルに打ち返すのが大変だったりする。
ましてや利き手じゃない方で打ち返すのなんて以ての外。
でも、先輩は拙いながらに右足、左足、両方の足でボールをコントロールしていた。
それは努力の賜物だろうと感じれた。
そうやって見ていた先輩と今日初めて、喋れたんだしほっとさせて欲しい。
そんなことを考えていたら、落ち着いてきたので、俯いた顔を元に戻した。
ただ、少し気になった?というか反省すべき点があったなと思い返した。
初めの絡み方だった。
「あれなにか分かりますか?」は流石に変すぎた。
あまりに緊張していて、どう声をかければいいか分から無くなっていて、つい口走ってしまった。
もう少し例えば「初めまして」くらいの挨拶はすれば良かった。
そう考えると、逆に「先輩じゃないですか」の所に関しては、良かったかもしれない。
あくまで、会ったことない体で喋りたかった。
あと、部活をサラッと聞いたのも良かった。
それに、先輩が「サッカー部入ってる」って言った時、少し恥ずかしそうな感じだったから、新しい一面を知れたそんな気がして嬉しかった。
とにかく、今日は色々進歩がある一日だった。
そう実感した。
そうやって、充実感を得ていた帰りの電車。
気づいたら、実家の最寄り駅に着いていた。
わたしは、慌てて下車をして帰宅した。
三話目「帰りの電車」読んでいただきありがとうございました!
引き続き「三途橋」読んでいただいてる方には、感謝でしかありません!
初めて、読んでくださる方は、是非短編の「三途橋」も読んでいただけると幸いです!
先の展開が、知れます笑
ちなみに、短編からだと全くと言っていい程進んでないです笑
今回は、セリフ無しになりましたが、前回、前々回を読んでくださった方には、気になってた所とかを表現できたのではないかなと思っています!
続きも小出しにはなるんですけど、ばんばん出していきますんで、日々の楽しみにして貰えると幸いです!




