第二話 初めての帰り道
ぼくの初めましての印象は、至ってシンプルだった。
かわいい。
ただ、かわいいってだけじゃなかった。
一個とはいえ年下なのに、落ち着いている。
むしろ、落ち着きすぎて少し掴みずらい。
そんな印象を抱いた。
そんなことを考えながら、校内の廊下を歩いていたら一人の女子が、こっちに向かって歩いてきた。
きみだった。
「あ……!」
思わず声が漏れてしまい、慌てて続けた。
「久し……ぶり!」
「あ! 先輩じゃないですか。てか久しぶりって言いましたか? フフッ」
「あれ? さっきぶり……か! ごめんー」
「いえいえ、全然いいですよー」
「色々考えててぼーっとしてた。どんな言い訳だって感じだけどね」
『きみのこと考えてた』なんて言えなかった。
「そうなんですねー。私は、バド部だからこの時間まで居るんですけど、先輩も部活してますか?」
「おーバド部なんだ! 俺は、サッカー部入ってるー」
「なんかちょっと意外かもです。フフッ」
この時の、顔が本当にかわいかった。
かわいすぎて、またぼーっとしてしまった。
「先輩! 大丈夫ですかー?」
「あーごめんー。ちなみに、今から帰るところ?」
気づいたら、そんなことを聞いていた。
「そうですよー」
「そしたら一緒に帰ろう!」
少し間を置いて、きみは返事をした。
「折角なら一緒がいいですね!」
折角ならという言葉が、本当に嬉しかった。
帰り道は、正門を出るとまずは二手に分かれる。
そう、一緒に帰るといってもその二手を外してしまえば、帰路が違ってくる。
でも聞けなかった。聞く勇気が出なかった。
そして、二人とも見つめあって、同じ方向に歩いた。
一緒の方面だった……。
「良かった……」
ふと、安堵のあまり声が漏れてしまった。
「私も良かったです……」
「え? なにが?」
「いや、帰り道一緒ですよね?」
「あ! そうそう!」
「正門までに聞けば良かったんですけど、なぜか聞けなかったんですよね」
「同じこと思ってた。なんか安心したー」
「いやいやーそこは思ってたんなら、先輩言ってくださいよ」
間違いないと思った。
「ほんとにそう。ごめんー」
「全然いいですけどねー」
不思議とこのやり取りが、凄くしっくりきた。
「てか、敬語じゃなくていいのに」
「いやあ、さすがに使いますよー。もっと解れたら
自然とタメ語になります」
「まあ、それはそうだよねー」
ちょっとまだ、圧があるのかなって思い少し柔らかくしようと思った。
なんやかんやで学校から、最寄り駅まで一刻だ。
直ぐに着いた。
ここで、二度目の分かれ道だ。
「私はこっちです」
残念だ。
「俺はこっち」
「あ、じゃあ。また今度話しましょ」
『また』という言葉が嬉しかった。
「また話そう!」
そう言ってお互いに手を振って、二人は別の方面の
電車に、乗って帰ることになった。




