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妻と始めるほのぼの闇堕ち錬金術師VRMMO  作者: hama
第二章 第一回闘技大会
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ケイとの合流(ユキ)

「珍しいイベント引いたね」

「あれイベントだったんだ」

「うん、パーティに『テイム』を持ってる人がいると極稀に起きるんだよ」

「って事は捕獲イベントだったの?」

「そうだよ。でもテイム枠いっぱいだし次はベノムバイパー狙ってるからそのまま倒した」


テイムは自分に敵意を向けている相手だと成功率が下がるのだが、相手を攻撃してしまっても捕まえ難くなるのだ。

自分より遥かに格下のモンスターだと敵意を向けて来にくくなるのだが、中には種族的に好戦的な性質のモンスターもいる。

召喚士にも農家にも気配を消すスキルが無いので、好戦的なモンスターだとテイムする前に見つかって戦闘になってしまうため、捕まえるのが困難なのである。


捕獲イベントは多少ストーリーの違いはあれど好戦的な性質のモンスターでも捕まえられるチャンスで、先程のパターンだとファイトバードの手当てをして見逃してやればキックバードをテイムできるそうだ。


「でも最近、タコ殴りテイムが発見されたんだよ」

「何それ」

「治療と攻撃を繰り返すと心が折れてテイムしやすくなるらしい」

「うわぁ、流石にそれは抵抗あるな……」

「まぁそこまでしなくても相手が諦めて降伏すればテイムできるみたいよ」


それなら難易度は下がりそうだが、先程のキックバードを見る限り死の直前まで諦めずに戦い抜きそうだ。

捕獲イベントには他にも戦っている内に友情が芽生えるパターンや怪我しているモンスターを保護するパターンなど様々あるらしい。



「ん、ケイからチャット来た」


マリがウィンドウを開く。先程送っていたエスト前のボス戦を手伝ってほしいというお願いに対する返事だろう。


「OKだって。サイで待ってるってさ」

「良かった〜、ケイはカンストしてるんでしょ? 心強いね」


このまま道なりに行けばサイの町はもうすぐだ。早いところケイと合流しよう。



その後は特に珍しいイベントが起きる事も無く、度々現れるモンスターを討伐しながら次の町へと続く獣道を進んだ。


「ん〜……、漸く着いたね」

「以外と長かったなぁ」


やっと次の町が見えてきた。

メニューから時計を見ると思ったより時間は経っていなかったが、森の中を踏破して来たので平坦な道よりもかなり長く歩いたように感じる。


長閑な街並みは僻地であるキンキッドよりも寧ろ田舎に見えるほどだったが、その奥に佇む大きな美しい湖は朝日を浴びてキラキラと輝いていた。深い青に染まった湖は、遠目から見ても透き通った水が湛えられている事が分かる。


「綺麗な湖だなぁ」

「観光地で売り出せばもっと発展しそうなのにね」

「田舎だからこそ良いんじゃない?」

「景観は兎も角、町全体の収入を上げないと人の流出を抑えられないと思うなぁ」


妙にリアリストな面を覗かせるマリと共に町に入る。モンスターが入ってこないよう町の周りに建てられた柵は木製で、入口の警備も一人だけという最低限の備えしかしていないようだ。


近くで見ると町の建物は全て、何処となく和風というか中華風というか……この国は洋風建築が多かったので、それを鑑みると異国情緒溢れる街並みだった。


「なんか龍神とか住んでそうな湖だね」

「おっ! 鋭いねぇ」


ふと思った事を口にしたら肯定されて驚いた。


「マジ!? 居んの?」

「水神として祀られてる蛇系モンスターが住んでるよ」

「へぇー! 見てみたいなー」

「残念だけど、この町の神主と巫女しか会えないんだってさ」


神主と巫女か。水神といい、やっぱりここは和中テイストな町なのだろうか。


「もしかして教会の代わりに神社があるとか?」

「大正解!」


マリが褒めるように笑顔を向けてくる。何となく近所に住むおじさんが「よーし偉いぞー」と愛犬と戯れている時の表情を思い出した。


「教会代わりなら俺が顔出せないかな?」

「あーなんかね、宗派? が違うらしくて建物の中には神官も入れないらしいよ」


宗派……? もしかして水神の信徒による教団なのだろうか。しかし祀られているのは神ではなく蛇系モンスターだったよな。


「でも神官がここで修行すれば巫女とかに転職できるらしくてホームタウンにしてるプレイヤーが結構居るみたい」

「確かに好きな人多そ〜」

「境内までは誰でも入れるからそこで巫女さん達に頼めば修行を受けられるよ」


俺がチップでやってたのと同じ感じだろうか。……ん? なら俺もチップの修行を終えれば新しい転職先が見つかるのだろうか?


「俺はチップで修行クエスト進めるから神社には行かなくていいや」

「一般の人も参拝できるけどしていかないの?」

「うん。エストに早く行きたいしね」



ケイが待っている宿屋に着いたので合流し、そのままセーブポイントを更新する。


「ゲーム内で会うのは初めてだね」

「お前顔弄り過ぎだろ、マリ居なかったら誰だか分かんなかったぞ」

「ケイはそのまんまだね……」


家が近い上によく使うバス停も同じなので現実だとよく顔を合わせるのだが、今朝も見たばかりの顔が目の前にある。違いは前髪で目元が隠れている事ぐらいか。


「スタートダッシュ決めたかったからな。ゲームが公開された瞬間に始めてキャラメイクは2分で終わらせた」

「あー私見たわ。リアルタイムで配信してたよね」

「えっ、素顔映ってたって事?」

「いや、配信に映っても良いように事前に前髪伸ばしといたから」


ケイはパーマのかかったミディアムヘアなのだが、そういえば少し前までセンター分けの前髪になっていた気がする。


「てかお前ら揃いも揃ってキャラメイク凝り過ぎじゃないか?」

「俺ら三人ともマリが作ったんだよ」

「特に瞳の質感に拘った力作だよ!」


ケイは呆れたようなうんざりした表情をしていたが、これは悔しがっている時の顔なので羨ましいのだろう。


「ケイは瞳に拘っても目元隠してるじゃん」

「そんなの髪型変えればいいだろ、大きい町なら美容室あるぞ」

「ていうかそれ前見えてるの?」


俺の疑問に答えたのはマリだった。


「前髪が長いと内側から透けて見えるんだよ。仮面とかのアイテムもそうだから、眼帯つけて厨二ロールとかしても視界は遮られないよ」

「ならマリはまたガスマスク着けるの?」

「その予定! でも作ってくれる人が見つからないんだよね」


以前やっていたFPSではガスマスクがマリのトレードマークだった。ビジュアルが好きというのもあるだろうが、表情や視線を隠していると人見知りが緩和されるらしい。


「エストじゃ売ってないのか? 鉱山に囲まれた町だったろ」

「スキル付与効果のある装備はネックレスとかのアクセサリー系に多いから、わざわざ被り物に解毒スキル持たせたのは無いんだよね」


解毒スキルを付与したアクセサリーが広まっているので、そもそもガスマスク自体存在していないようだ。

手に入れるとしたらプレイヤーメイドになるが、一から細かいデザインの装備を作れるプレイヤーは殆どが裁縫など服飾系のビルドらしい。


「コスプレ装備も増えてきてるからその内作れる人が出てくるんじゃないかと思うんだけど、私が『革加工』取ってベース作った方が早いかなぁ。金属加工はコウに頼めばいいし」

「分業制だとスキル枠圧迫しなくていいね」

「だが革加工は汎用性低いぞ。装備の重量は着ければ感じなくなるし『鍛治』取って全面金属で作った方が良いんじゃないか?」

「なるほど! ベルト部分は市販品使えば良いしね。そうしようかな」


重い素材を使えば装備の重量は上がるが、装備しているアイテムの総重量よりプレイヤーの筋力値が高ければ重さは感じなくなるのだ。

ちなみに装備重量が0のプレイヤーは筋力値が15あれば持ち上げられるので、どんな体型であってもプレイヤーの重量は一律で15のようだ。

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