見えたモノ
泰生は立ち止まり、下を向いたまま話しだした。
「康介って中身も外見もかっこいいでしょ」
「うん、そうだね」
「昔から本当に性格も良くて、やること全てスマートなんだよ……。俺は、初っ端からやらかしちゃうしさ……」
確かに今日の最初の出来事は、反省してもらわないといけない。でも、同じことを二度としなければいい。
実希は、少し返答に困ったがゆっくり言葉を選んで答えた。
「んー……もう怒ってないよ……? 同じことしなきゃいいし」
「それは、もちろん……。でもさ、あまりにも出来が違い過ぎて。その、実希ちゃんが康介の方がいいって思うかもしれないって……」
実希は予想外のことを言われ、戸惑った。
「何で? 私、康介さんは確かに素敵だと思うよ。でもそれは、梨紗に紹介する人としてであって……。康介さんがいて心変わりするとかないから」
「……本当に?」
この時実希は、泰生の心の奥にある“コンプレックス”を目の当たりにしていた。
「本当だよ。そんなことで心変わりするくらいなら、そもそもこういう場に来てないし、もっと言えば付き合ってないから!」
実希は、泰生の目を真っ直ぐに見つめ、はっきりと告げた。
しばらく黙り込む泰生だが、目は実希から一切逸らさずにいた。
そして、少し笑い「ありがとう」と呟いた。
「うん。うちらもどこか行こう?」
実希は、泰生の背中にそっと手を当て、促した。




