0.モブには刺激が強すぎる
[日間]異世界転移〔恋愛〕 - 連載中 88位
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文章を一部変更しました。
ガラスのように美しい飴が中央に飾られたこのクッキーは、ステンドグラスクッキーと呼ぶらしい。
私たちがいた世界にも存在はしていたけど、冴えない大学生の私とは縁のない物だったなぁとしみじみ思う。
シャンデリアの光に透かして見とれていると、別のステンドグラスクッキーが、私の唇に触れそうなほど近くに差し出された。
「どうぞ、リコ」
「あ、あの、ユリウスさん…。私、自分で食べられます…」
「僕が食べさせたいんだ」
クッキーを受け取ろうとした右手がそっと降ろされ、そのまま指を絡められるように握りしめられる。
「それとも…リコは僕に甘やかされるのは嫌?」
そう言ってはちみつ色の目を細めて、甘えるように首を傾げるユリウスさん。
吐息が届きそうな距離で微笑む姿は、恐ろしくあざとい…!
(も、モブには刺激が強すぎますううゔッ!!)
心の中で吐血しながら悶えつつ、差し出されたクッキーをどうすべきか悩んでいると、ナイスなタイミングで執事が入室してきた。
「ご歓談中、失礼致します。
ユリウス様、リコ様宛に聖女トウコ様からお手紙が届いております」
「あ、透子さん…」
唯一の同郷の名前にパッと顔をあげると、漂っていた甘ったるい空気が霧散した気がして、小さくほっと息を吐く。
それを見てユリウスさんは、少し困ったような笑みを浮かべ、私の手にクッキーを渡して、代わりに手紙を受け取った。
「…また聖女様か。
聖女様は浄化スキルの修行にお忙しいだろうに、どうもうちのリコに構いたがるね」
(うちのってなんですか…)
確かに、ユリウスさんの生家アシュフォード公爵家でお世話になっているけども、ただの居候だ。
しかも何かの役に立ってるとかもない、ほんと食っちゃ寝状態のどうしようもない穀潰しで…
(…なんでこんなに優しくしてくれるんだろ?
私は聖女じゃない方なのに…!!)
頑張ってラブロマンスになってくれ。




