転生してホモスパイラルから逃げられたと思ったら前世で俺の処女を奪ったクソ野郎とエンカウントしちまった件
実験的に書いてみた異世界ホモ短編になります。
読んでいただければ幸いです。
アルファポリスに先行投稿済み。
「待て!待ってくれ!」
「もうおまえなんか知るもんか!離せッ…」
『キャーッ!!!危なーーーいッ!!!』
「「えっ…」」
ドンッ!!!
ーーー暗転。
俺。山田太郎。享年18歳。
誕生日にそれまで幼馴染の親友だと思ってた男に襲われて処女喪失したショックから外に飛び出し、後を追ってきた幼馴染と一緒にトラックに跳ねられて死んだと思ったら、気付いたら赤ん坊になってて異世界転生してた。
…何を言ってるのか分からねーかもしれねーが、事実なんだ。
細かいことはツッコまず飲み込んでくれ。
山田太郎だった時の自我が覚醒したのは、生後数ヶ月ってくらいの頃。
まあまずはショックだった。
まだ18の身空で死んじまったのもそうだが…
俺、前世では一度も彼女できないまま死んじまった。
享年=彼女いない歴だよ!
しかも童貞非処女で死んじまったよ!?
あまりにも酷すぎる!?
俺なんか悪いことしましたか神様!?
…って、最初のうちは神を呪ったこともある。
だが、すぐにこう思い直した。
転生して生まれ変わって、また赤ん坊の体に戻って…
この体は、まだまっさらなままだ。
童貞ではあるけど(当たり前)、非処女ではない!(超重要)
つまり、もはや黒歴史と化してしまった前世をリセットして、一から人生やり直せる!
やったぜ!
今度こそ絶対!彼女作るぞ!
そして、目指せ!脱☆童貞っ!!!
…今度こそ前世の幼馴染みたいなとんでもねー地雷野郎とは関わらないように、慎重に生きていこう。
そんなこんなで、俺、現在12歳。
今世での名前はアルバート・フォン・フュリューリンゲン。
長ったらしいのでみんなからはアルって呼ばれてる。
名前が長いのは、貴族だから。
なかなかハイスペックな家庭に転生できたってことだ。よしよし。
それも結構高位の貴族らしく、父親は王の傍に侍る宮廷官吏。いわゆる相談役ポジみたい。
息子である俺も、12歳で登城して王族にご挨拶できるんだって。
正直、あんまり興味なかったけど…
「もう知っているだろうが、国王陛下にはおまえと同い年の御子息様がいらっしゃる。きちんとご挨拶するのだぞ」
王城に向かう馬車の中で、厳しい表情の父上から申し渡された。
要するに王子様と仲良くなって、我が家の権勢を盤石なものにしろってこと。
…どーせなら王女様だったらよかったのに。
でもま、俺自身の将来のためにも王子様とコネを作っておくのは悪くない。
栄達できれば女の子にモテる!彼女もきっとできる!
これも俺の脱☆童貞計画の一環と思えば、気合も入ろうってもんさ!
そんなわけで、鼻息荒く意気込んでロイヤルファミリーとご対面したわけだが…
「あ”…あ”ああああああああ!!!!???????」
「ああっ君は…!?」
「っギャーーーーーーーーーーーーーッ!!!寄るな触るな近付くんじゃねえボケェェェェェェッッ!!!!!」
バキャッ!!!
決まった…!
そして終わった…!
喜色満面でこっちに駆け寄ってきた王子様に、俺の渾身の右フックが炸裂。
王子様、めっちゃ美少年だったんだけど、「ぶべらっ!?」とかって無様な声を上げて吹っ飛んでった。
余談だが俺は前世から運動とか好きで、今世でもかなり体鍛えてる。
今世だと武術剣術体術も貴族の嗜みってことで、先生もつけてもらって徹底的に鍛えた結果、大人顔負けの戦闘力になった。
その全力で、王子様を…
やっちまった……で済むはずがない。
「いきなり何を!?」
「アル!?お、おまえはなんという……乱心したか!?」
王様も父上も、あと周り中にいた近衛兵とかも一斉に気色ばんでいた。
弁解の余地もない状況。
でも、しょうがなかったんだ…!
床に転がって伸びている初対面の王子様。
金髪碧眼甘いマスクと絵に描いたような美少年の見本だったんだけど。
その美しい双眸の奥に、ものっっっすごい見覚えのある色を見つけちゃったんだよ!
俺に対する執着とか。
ドロッドロの愛情とか。
積年の想いを拗らせまくった挙げ句に最後は実力行使で押し倒してきやがった、前世の幼馴染と同じ目をしてたんだ!
似てる、とかそんなことじゃねー。
外見は変わってても、俺には分かる。
あのクソ幼馴染も転生してやがったぁぁぁぁぁぁッ!!?
しかも、俺がそうと気付いたように、あっちも瞬時に俺だって気付いて両腕広げて駆け寄ってきやがって…!
いきなりハグしようとしてくるとか!?
転生しても全然変わってねえな!?
背筋にゾゾッと怖気が走って殴り飛ばした俺、悪くない。
…いや、俺自身が悪くないと思ってるだけで、実際はそうはいかなかった。
王様も父上も大激怒。
俺はあっという間に近衛兵に取り押さえられた。
ヤバいなんてもんじゃない。
前世がどうのなんて話、通じるわけがないし。
表面上は、俺は初対面の王子様に理由もなく暴行を加えた狼藉者でしかない。
王族への不敬罪とかになるんだろう…
最悪、し、死刑とか…!?
そんなのヤダぁぁぁぁぁッ!?
俺まだ童貞なのに!
二回連続で童貞死なんてかわいそーすぎるだろ!?
…って真っ青になって内心で悲鳴を上げていたら、
「お待ち下さい、父上」
思わぬところから救いの声が。
王子様にして前世のクソ幼馴染が立ち上がって、王様に掛け合ってくれていた。
…気絶してなかったのかよ。結構キツめの一発食らわせたはずなのに。
しぶといのも相変わらずか。くそっ!
とはいえ、今はそれで助かった形だ。
奴はぬけぬけと言った。
「彼は私の親友です。どうか離してやってください」
「しかし……王子よ。うぬらは初対面ではないか。それをいきなり殴られて…」
「親友の証の拳です!」
どんな屁理屈だよ!?
いくらなんでも無理があるだろ!?
「そうか!親友の証!であるならば、是非もないな!」
王様説得されたぁぁぁぁぁッッ!?
だ…大丈夫かこの王様!?
つーかこの国!?
にわかにこの国で暮らしていくことに不安を覚える俺。
クソ幼馴染が次の国王だしな…
早めに出奔するべきか…
今のこの窮地を逃れられてからの話だが。
「彼と二人きりで話したいのですが、構いませんか?」
「おお、もちろんいいとも」
「子供たちは仲良くなるのが早いですなあ。実に微笑ましい」
「はっはっは!そうだな!」
…じゃねーだろ!?
本格的にダメだこの王様!?
しかも父上!?これを機と見て忖度しやがって!?
こいつと二人きりなんて冗談じゃねぇぇぇぇぇぇ…
だが、今の俺の立場では拒否権なんてあろうはずもなく。
ドナドナド~ナ~ド~ナ~…(脳内BGM)
って感じで、王子様の私室で二人きりだよ。
すっげー広くて豪奢な部屋だ。
こんな場合じゃなかったら、興味深くキョロキョロしちゃってただろう。
もちろん今はそんな場合じゃない。
俺は一瞬の隙も見せぬよう、厳しく奴を睨みつけていた。
奴は感極まったように瞳をキラキラさせて、
「逢いたかった……たろーちゃん!」
「俺はちっとも会いたくなかった」
「死んでも生まれ変わってまたこうして巡り会えるなんて!やっぱり僕らはディスティニーで結ばれてたんだね!」
「本気で腐り切った縁だよな。一刻も早く断ち切りたい」
「死さえも二人を分かつことはない!僕らの愛は永遠不滅だよたろーちゃん!!!」
「今すぐ滅して消え去れぇぇぇぇぇぇッ!!!」
バキャッ!と。
性懲りもなく抱きついてこようとした奴の顔面を、グーパンで殴り飛ばした。
正当防衛だ。
不本意な二人きりだが、おかげで誰に咎められることもないし。
奴はまた吹っ飛んでって床と仲良くなった。
が、すぐにムクッと起き上がってくる。
…ノーダメージ、だと!?
それによく見たらさっきの分も含めて、ぶん殴った痕跡すら残ってない。
綺麗なキラキラ美少年の顔のまま。
「なんで…!?」
「僕、回復魔法使えるから。異世界って便利だよね!」
「魔力持ちかよチクショウ!?」
「伊達に王族に生まれてきてないよー?」
ああ、そうだった!
この世界の王族ってチートなんだよな。魔法も使えりゃフィジカルも激強の家系だ。
…こんな超危険人物が。
身分も、立場も、能力も、俺よりずっと上位…
さ、最悪だ…
「でもごめんねたろーちゃん、確かに僕はちょっと色々と…急ぎすぎてたみたいだ」
「うん?」
急にしおらしく項垂れて?
なんだ?
油断なんか絶対にしないぞ?
「再会を果たせて嬉しいからって、舞い上がってたよ。思えば前世でもそうだったね。やっとたろーちゃんも18歳になったと思ったら居ても立ってもいられなくなって…」
…その話は!?
「おいやめろ!?」
強張った俺の制止の声もなんのその、奴の舌鋒は止まらない。
「誕生日のプレゼントを渡すから、って言って僕の部屋に連れ込んで…」
前世で、幼馴染のこいつとは家が隣同士だった。
あんなことがあるまでは普通に親友だと思ってたし、互いの家にもよく行き来してたから、疑ったりなんてしなかったんだ。
ローションやらゴムやら予め準備しておいて、こいつ…
俺のことを…
ううっ…(泣)
「…あれじゃ僕がプレゼントを貰う側だったもんね。嘘ついちゃって、本当にごめんね?」
「謝るポイントそこじゃねーだろ!?」
「でも、焦ってたんだ。大人になって18禁も解禁になったたろーちゃんが、もし他の誰かとまぐわったりしちゃったら…って」
「言い方ァ!?」
「前世での教訓を活かして、今世ではちゃんと丁寧に外堀から埋めていくことにするよ!」
「俺を諦めるって選択肢はねえのかなぁ!?…ってゆーか、外堀!?なにする気だよ!?」
「まずは父上に親友アピールはしたからよしとして」
「あの王様マジ大丈夫か!?」
「父上は割と脳筋だから、拳で語る親友とかって設定が好きなんだ。…で、次の段階として」
「次に進めんな終わらせろ!」
「僕たちまだ12歳だもんね。君も貴族の身分だったのは好都合だよ。ひとまずは御学友、ってポジションからのスタートでいいかな」
「ぐっ…!」
絶句する俺。
王子様の御学友なんてステータス、俺の父上はめちゃ大喜びで飛びつきそう…!
回避不可能…!?
「仲を深めながら共に成長して、ゆくゆくは僕の側近に」
「全身全霊全力で拒否したい!」
「そして、成人した暁には我が伴侶に…!」
「絶対嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!?」
「この異世界って同性婚もありだもんね。本当に、実にいい世界に転生したよ僕たちは!」
「最悪中の最悪すぎる!もう一回生まれ変わるところからやり直させてくれ!異世界ガチャを引き直させて!?」
「やだなぁたろーちゃん、現実にリセマなんてあるわけないじゃないか」
「いや異世界転生があるくらいなんだから、リセマガチャくらい…!」
「仮にあったとしても僕がそんなの許すと思う?」
「……ヒッ!?」
思わず引き攣った声が洩れた。
こいつの目つきが……あの時みたいに、ドロッドロの執着と愛情で濁って…!?
「どんな世界でも愛してるよたろーちゃん………もう二度と離さない。もしまた死んでも絶対に離さないからね………」
「ひ………」
ヒェェェェェェェェェェェェェッッ!!!!!!!???
…俺の悲鳴は声にもならなかった。
あまりの恐怖に、声すらも失ってしまうってこと、あるんだな…
かくて。
なんとか処女を守りきり、脱☆童貞を目指す俺と。
またしても俺の尻その他諸々を付け狙う、奴との。
果てしない攻防の日々が幕を開けたのだった。
…誰か、助けて!?
「呼んだ?」
おまえは永遠にお呼びじゃねえええええッッ!!!
ちーん。




