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転校生の下野さん、ド田舎でちんちんをつくる。  作者: 雨夜かおる
きょぬー後輩が勝手にカノジョを名乗ってる
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秘密にして

 補習(付き添い)+バイトの生活から、バイトオンリーの日常になった。

 朝から横綱食堂で働かせてもらいつつ、午後からは洋食屋ほんわかに向かう。

 せっかくの夏休みなのに今日まで一切遊んでない。俺ってば偉すぎる。そしていいかげん限界すぎる。


 気が付けば7月30日になっていた。明日で7月が終わる。そしてうらかの追試直前でもあった。

 俺が補習に参加しなくなってからも、うらかは1人で頑張っているらしい。キズナ先生からこっそり教えてもらった。明日は本番だし、最後までその調子で突き抜けてほしい。


 いつもならほんわかでの仕事で1日が終わるけど、今夜は横綱食堂の出前と接客を優先していた。注文が殺到して、どうしても人手が必要と言われて。やっぱり一人息子のオヤカタが抜けている穴は大きい。修行は上手くいっているだろうか。夏休みに入ってからは連絡が取れていない。


 オヤカタだけじゃない。ヨウキャやムラサキについても同様だった。


 こんな夏は初めてだった。

 あいつらとは毎年一緒に過ごしていて、それが当たり前のことで。

 たった10日程度のはずなのにずっと離れ離れでいるような感覚だった。


 これから、こういう時間が増えていくんだろうか……。


「おーい、キヨ坊! ぼうっとしてるぞ!? 大丈夫か!?」


「あっ……」


 いけない。仕事中に考えることじゃなかった。

 オヤカタの親父さんから料理を受け取る。今日の出前はこれで最後になる。


「えれえ頑張ってたな! そんなに欲しいもんがあるのか!」


「ええ、まあ」


 後輩の自転車を弁償するため、とは言えてない。


「これ届けたらそのまま帰っちまっていいからな!」


「うっす。そうさせてもらいます」


「ほんじゃ、忘れないうちにコレな」


 親父さんが封筒を差し出してくる。

 俺は頭を下げてから中身を確認した。数枚のお札。額は予想通り、数日働いたにとしては多すぎるものだった。

 無言の俺に親父さんが問いかける。


「なんだ。足りなかったか」


「いや……むしろ貰いすぎで。本当にいいんですか」


「いいに決まってんだろ! いつもうちの倅と仲良くしてくれてんだからよ!」


 それでも渋った俺を見て、親父さんが真剣な顔つきになった。


「いやあマジだぞ。マジマジ。春先も店を助けてくれたしよ」


「俺はちょっと手助けしただけですよ。ほとんどオヤカタが仕切って。さすが未来の横綱食堂後継者」


「まだまだ! 1人じゃ何にもできない甘ったれたガキだよ! だからダチの店に行かせてみたんだ」


 ああ、オヤカタの修行パートは親父さんの差し金だったのか。


「充分オヤカタの料理うまいっすけどね」


「ただ飯が作れるってだけじゃ、店としてやってけねえよ。身内だけで切り盛りしていくのと、色んなやつがいるところで料理を作るのとじゃワケがちげえ。あいつはその点がまだまだだ。キヨ坊を見習ってほしいね」


「いや、全然、そんな。オヤカタの方が凄いですよ」


 本当に。謙遜とかじゃなく。

 縁のない土地で自分の腕を頼りにしていくって、高校生じゃなかなか出来ないことのはずだ。


「いつまでもキヨ坊に頼ってばっかじゃいけねえや。だからよ、これからは助けるんじゃなくてよ――――ただ見守ってほしいんだ。それがあいつのためになる」


「………」


 俺はそれ以上何も言えなくなった。

 決まりの悪さというか……なんだか叱られている気がした。誰もそんなこと言ってないのに。


「っと、引き止めちまって悪いな。次のお客さん、やたら注文数多くてな。気を付けて行ってきてくれ!」


「了解っす」


 ごちゃごちゃ考えても仕方ない。

 悩むのは今日の仕事を終えてからでいい。俺は最後の配送先の住所を確認して―――見間違いかと疑った。


「グランシャリオ結衣山……?」



 部屋のドアをノックする。家主はすぐに出てきた。


「おそい」


「なんで呼びやがった」


「腹減ったから」


 出迎えたムラサキは風呂上りだったのか、間近に立つとシャンプーの良い香りがする。

 俺は反射的に距離を取った。


「いつもこんな時間に飯食ってんのか」


「食わない日が多い」


「食えバカ。っていうかなんだよ、この量は。クソ重かったんだけど!」


 文句を言いながら代金を請求する。ムラサキはちゃんと支払ってくれた。よかった。俺が出せとか言われなくて。


「絶対1人じゃ食いきれないだろ……ハッ!?」


 俺はある可能性に気付き、後ずさった。


「もしかして、うらか、いるのか……?」


「いない」


「よかったぁ!」


 ここから勉強に使う体力は残ってない。


「うらかにはこれでも足りない」


「それもそうか」


「これはトウマの分」


「は?」


「食べよう。あがれ」


 ムラサキが部屋の奥を示す。

 俺は戸惑いを覚えながら、とりあえず靴を脱いだ。

 ゴミ屋敷を覚悟していたが、中はかなり片付いていた。というか、念入りな掃除をした形跡すらある。あんなに何回言っても直さなかったムラサキが……?


 4.5畳しかない部屋の中央にはローテーブルがあって、2人分の飲み物と食器類が用意されていた。

 ここまで文字通りのお膳立てをされると断れない。


 料理を並べている間、ムラサキはじーっと俺を眺めていた。その口元には笑みが浮かんでいる。そんなにお腹減ってたのかと、うらか相手なら聞いているところだ。


 チャーハン、餃子、麻婆豆腐、エビチリ、中華スープ……自分で食うつもりなんて当然なかったが、いざ食べていいのだと思うと急に空腹感が募った。美味そう。最後の飯から9時間たつし。


「いただきます」


 2人で手を合わせる。

 普段ここまで礼儀正しくしないけど、横綱食堂の食事に対してはこうなってしまう。幼いころからの習慣と言っていい。最近は、ほんわかの賄いも。


「こうしてメシ食うの久しぶりだな」


「誰かさんがずっとほったらかしにしてくれたからな」


 トゲのある言葉だ。いつものことだけど。


「なんだ。そんなに俺の顔が見たかったか」


「そうだな」


「……まあ俺ってばイケメンだし?」


「図に乗るな。せいぜい中の上」


 ムラサキが麻婆豆腐を一口食べた。その瞬間、ムラサキの顔がひきつった。そのまま俺のほうへ器をよこしてくる。思ったより辛かったらしい。俺は水を注いでやった。


「あいかわらずお子ちゃま舌でちゅねー」


「あん?」


「炭酸飲めるようになった?」


「練習はしてる」


 チビチビと水を飲みながら、ムラサキは不貞腐れていた。

 別に無理して食べたり飲んだりするものでもないんだけどな。


「なんでか美味そうには見えるんだよ。全然口には合わないけど」


「あー、わかる。食う前から美味そうってなる感覚。ビールとかさ」


「まさかもう酒飲んでる?」


「してない。3年後のお楽しみ」


「そのときはあたしも誘えよ」


「………」


 俺は思わず箸を止めた。

 ムラサキも動きが止まった。


「なに」


「いや、あのさ。最近そういうの多くない?」


「そういうの」


「ストレートな物言いっていうか。なんだろ、うーん」


 俺は口ごもった。


 俺の顔を見たいとか、酒を飲む年齢になったら誘えとか。

 もっと遡れば、春先のときもそうだ。久しぶりに学校にきたムラサキは「もっとあたしにかまえ」と言い放った。可愛すぎて悶えた。


 そう、そうなんだよ。なんかムラサキが可愛いんだよ。


 今こうして2人でいるのだって、ムラサキがこの状況を作ったからこそだ。俺から誘わない限り音信不通になってフラフラしているあのムラサキがだぞ。ここ数か月の変化が凄まじい。


 高校2年生になったから?

 それとも、下野うらかが現れたから……?


「トウマ」


 ムラサキが俺の名を呼ぶ。

 静かな問いかけなのに強い力を感じた。


 ムラサキは目を合わせないまま言う。


「トウマは、いつか結衣山を出てみたい?」


 思いがけない言葉だった。

 なんでそんなこと聞いてくんだよ。

 食欲が遠のくのを感じる。


 俺は素直な感想をこぼした。


「わっかんねえよ、そんなの」


 背中をそらし、天井を仰ぎ見る。

 そのタイミングで、頭上の電球が明滅を繰り返した。いつから使っているか知らないが、だいぶ古いのかもしれない。なんか不安を駆り立てられた。


「今日、ちょうどオヤカタの親父さんと話したんだ」


「うん」


「もっと外の世界を知ってほしい、的なことを言ってた。いつまでもここにいちゃいけないって。高校を卒業したら、オヤカタは間違いなくそういう道を進む」


「うん」


「ヨウキャもたぶん、結衣山を出るよな。ヨウキャの成績と性格で進学しないのはもったいない。絵描きとしての道は簡単じゃないだろうけど、でもヨウキャに似合ってる。それ以外の姿が想像しづらい」


「うん」


「ついでに、うらかは東京の大学狙いだし……」


 こうして整理していくと、卒業する頃にはみんなとの進路がバラバラになっていくんだなと実感させられる。うらかとは出会って数か月だけど、オヤカタとヨウキャは長い付き合いになる。それがあと2年以内に終わる? 本当に? 


「ムラサキは」


「ん」


「進路希望調査はなんて書いたんだ」


 キズナ先生は、ムラサキが真剣に将来を考えていると言っていた。

 長く友達をやってきた俺からしたら、ウソだろと思う。ムラサキがそんなことを悩むはずがない。なるようになるでしょって顔をしてそうなのに。


 ムラサキはすぐには答えてくれなかった。

 ゆっくりと、口に含んだ食事を咀嚼していく。その小さな喉をこくりと鳴らし、唇をなめた。 


「就職」


「はっ?」


「進学はしない」


 確かにムラサキが大学生になった姿は全然想像できない。

 でもだからって、スーツ姿のムラサキの姿がしっくりくるわけでもない。

 いや、スーツとは限らないのか。たとえば警察制服、ナース服、コックコート、ホテルマン、キャビンアテンダント―――巫女服やバニーガールを思い浮かべたところで妄想を断ち切った。ただのコスプレじゃねえか。


 でも、2年のこの時期にそこまで未練なく自分の未来を決められるのか。


「高卒だと厳しいだろうとか、そんな野暮なことは言わねえけどさ。なにかしらの専門学校なり短大なり薦められなかった?」


「そこらへんはもうキズナ先生と話し合った。うんざりするくらい」


「何の仕事に就くつもりだよ」


 俺は、ムラサキの母親のことを思い出していた。


 俺は当時、水商売の意味を全然知らないでいた。だからこそ、純粋な気持ちでムラサキの味方でいられた。今はどうだろう。もしムラサキがそっちの道を進もうとしていたら、俺は素直に応援できるだろうか。


 こんな疑問が浮かぶ時点で、答えは出ているものだろうに。


「決めてない」


「おおん??」


「………」


 続く言葉はない。

 いやいや、終わるな。


「就職はするんだな」


「うん」


「でも、何の仕事かは決めてない」


「うん」


「どういうこっちゃ?」


 普通、やりたい仕事があるから就職じゃないのか。

 だったら進学して結論を先延ばしにしてもいいってことにならないか。


「トウマ次第」


「なんで俺が出てくる」


「トウマは、結衣山を出たい?」


 同じ問いかけを、ムラサキはまた投げてくる。しかし、今度はしっかりと俺の目を見据えて。


 俺は、ムラサキの真意を悟った。


 寒くもないのに歯がカチカチと鳴り始めた。ぐっと奥歯を噛み締めると、震えは身体のほうに移ってくる。


 俺はムラサキに告げる言葉を見つけられずにいた。

 結衣山のことは好きだ。でも地元を離れて見つける楽しさもある。

 気軽に選べばいいのにそう出来ないのは、俺の選択によって1人の未来が変わることを確信したからだ。


 そのとき、救いが訪れた。


「あ」


「むっ……」

 

 スマホが震えた。誰かからの電話だった。

 これ幸いと俺は話を打ち切った。


「出ていい?」


 ムラサキは何か言いたそうだったが、結局無言で鼻を鳴らした。

 さて、誰だろうか。こんな時間に。非常識と言いたいところだが、今夜はグッジョブと賞賛しておこう。


『あっ、透真くん? 起きてた?』


「……スゥーーーー、うらかかよ~~~~」


『なんでちょっと残念そうなの!?』


 考えてみれば当然かもしれなかった。

 明日はいよいよ追試本番だもんね。結果次第ではいろいろ大変なことになるもんね。


『今なにしてたの?』


「飯食ってた」


『バイトお疲れ様。じゃあ家なのね』


「いや――――」


 ムラサキの家にいる、そう素直に答えようとしたときだった。

 すっとムラサキの人差し指が唇に添えられた。黙っていろというジェスチャーだった。


 なんで? 俺は口パクで聞いた。

 ムラサキは微動だにせず、指を立て続けていた。頑とした姿勢に俺は折れることにした。


「ああ、そうだな。っていうか、どうした。まさか勉強に付き合えって言わないよな。今はちょっと無理だぞ」


『わかってるわよ。最後まで自分で頑張る』


「それはよかった」


『でも、お願いがあって』


「お願い?」


 オウム返しに聞き返してしまう。

 それこそ試験対策のことしか思い浮かばないけど。

 自分から言い出したくせに、うらかの歯切れが悪くなる。


 そのとき、ムラサキが急に立ち上がった。

 反対側に座っていた俺の真横を陣取る。なにしてんだよ、と問う前にムラサキが身体を密着させてきた。頬と頬が触れ合った。


「ちょ、おい」


『透真くん?』


「あ、なんでもない。ちょっと虫が飛んでただけ」


 どん、と胸を叩かれる。痛い。


『……そう?』


「で、なんだっけ」


『えっと、ね』


「おう」


『なにか、言葉が欲しいの。透真くんの言葉が』


「ん?」


 ちょっと意図が汲み取れなかった。

 言葉? なんで? どういう?


 俺のリアクションに、うらかが慌てた様子でまくし立てた。


『べ、べつに不安や悩みがあるわけじゃないの! それなりに勉強して、準備もしてきたから。明日は全力を出すだけ。けど、やっぱりいやなイメージがついてくるの。失敗しちゃいけないテストを受けるのって、高校受験以来だから』


「あ、ああ。そういう」


『だから、うん。なにか、なんでもいいけど。一言もらっていい、かな』


 頭の中をクリアにしていく。

 うらかにどんな言葉をかけたいか。

 考え込む時間はそう多くなかった。


「大丈夫だ。心配いらない」


『………』


「うらかなら出来る。絶対に」


『………』


「頑張ったのを知っているから」


『……そ』


 一文字だけの返答。その直後から、耳に届く音がなくなった。

 切れた? 画面を確認してみると通話は継続中だった。だが何度うらかを呼んでみても返答がない。かすかな物音すらしない。もしかしてマイクオフにしてる?


 10秒後くらいにうらかが戻ってきた。


『ミュートにしてた』


「おう……?」


『透真くん』


「は、はい」


 なぜか敬語になってしまった。


『今日のこと、誰にも言わないでね』


「はい?」


『私がこんな電話をかけてきたこと。喋ったら怒るから』


「そりゃあ、わざわざ言いふらさないけども」


『さきなにも言っちゃダメだよ。秘密にして。っていうか忘れて』


「………」


『返事は?』


「……はい」


 声が上擦ったのは仕方ない。

 だって当の本人が真横で聞き耳立ててきやがるから。こいつまさか俺とうらかの会話をきくためにこんなに密着してきてんのか?


 うらかは普段通りの調子に戻って言う。


『そうそう! キズナ先生から伝言! 明後日からのサッカー部の合宿、行きはバス移動だから朝に学校校庭に集合だよ。頑張ってきてね』


「い、いきたくねえ~」


『ダメだよ! しっかり身体づくりしてきて! トライアスロンで優勝するんだから!』


「え~」


『じゃ、伝えたからね! おやすみ! バイバイ!』


 一方的に通話が切られる。

 俺はムラサキの身体を押しのけた。


「暑苦しい!」


 頬ずりまでしてきやがって。

 文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、ムラサキは寝転がったまま動かなかった。どこかぶつけたのかと不安になった。


「ムラサキ?」


「はあ~~~」


 長い、そしてやる気ゼロな溜息だった。


「トウマ」


「は、はい」


 また敬語になっちまった。

 うらかもムラサキも、なんでこんな怖いんだろう。圧がすごいよ。


「合宿ってなに」


「さ、サッカー部の合宿。手伝うことになってて」


「いつまで」


「合宿自体は7日まで、なんだけど」


「トライアスロンっていうのは」


「うらかと、それから速水っていう奴と大会に出ることになったんだ、成り行きで。それが15日にあるんだけど、練習を泊まり込みでやろうって話になってる。まったく迷惑な話だ」


「本当にな」


 ムラサキはまったく起き上がる様子がない。ごろごろと無意味に転がってる。


「つまんな」


「おい。まだメシ残ってんだけど」


「もういい。いらん。全部食え」


「ええ~~~!?」


 俺は、オヤカタの親父さんが作ってくれたものを絶対に残さないと決めている。どれだけ苦しかろうと、胃の限界を超えようと、すべて平らげてみせる。



「はあ、はあ。きっつい」


「きついなら横になれば?」


「ダメだ。そのまま寝落ちする。よくない」


「なんで」


「女子がいる家で寝泊りなんて論外」


 したことあるじゃん、とムラサキが言う。

 そうだったかな。昔すぎて忘れたね。


 もう少しで日付が変わりそうだ。

 あんまりにも俺の帰りが遅いんで、マッマが連絡をよこしてきた。ムラサキの家にいると返信したら、そのまま帰ってこなくていいって……なんだこの母親?


 自転車にまたがったところで、ムラサキが口を開いた。


「さっきの話」


「さっき?」


「将来の話。覚えておいて」


「……忘れろだの覚えてろだの、頭がこんがらがってくるわ」


「決めたら早めに教えろ。こっちにも準備がある」


「……わかった」


 何がわかった、なんだろう。

 ムラサキと別れた俺は自転車を走らせる。夏の夜風は汗ばんだ身体に気持ちがよかった。軽快に、スピードを上げていく。ペダルを漕ぐ足は止まらない。加速していく。


 振り返らなくてもわかる。ムラサキはまだ俺を見送っている。


 気付いているくせに見て見ぬを振りをしている。

 いつまでこうしているつもりなのだろう。俺は。

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