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キングテレトリー  作者: フクツノタロウ
デサン村編
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動揺と日常

エドワール・ノルスという男がデサン村に訪れた次の日。

ルークドはもやもやしている状態だった。

自分の知らないところでそんなことが起きていて、「キングテレトリー」の現状がそんなことになっているとはしらず。

ノルスが言った時期尚早という言葉が拍車をかけていた。

なぜ俺を知っていたのだろうかという疑問がルークドの頭を支配する。

そうした煩悶状態でルークドは村仲間とデサン村近くの平野部に狩りにきていた。


「避けろー!!」


そんな野太い声でハッと戻された。

原住人型魔物「ホモゴブ」の斧が首をかすめる。

ホモゴブは緑の皮膚をしており、体の骨格以外は人に似ている。


「おい!ぼーとしてんじゃねぇ!らしくねぇぞ。」と狩り仲間のドンゴは怒鳴り、


「大丈夫?」とアリーは声をかける。


「悪りぃ、大丈夫だ。」そう返答し全身に力をいれる。


ホモゴブは大きいのが1体、小さいのが4体。

いずれも防具を着用しており、武器は長斧、石斧だった。


「さっさと終わらしてもらうぜ。」


一瞬で小さいの4匹に一気に間を詰める。


「はあああぁ!」


雄叫びと共に剣を4匹同時に薙ぎ払うように両手で握り水平に振った。

同時に衝撃と圧、砂ぼこりが舞う。

さらにもう一回転し、飛ばされた2匹を水平に斬りつける。

重さ、紫の血、手ごたえを感じた。


「まかせて!」


スパッ

アリーが弓矢で1匹の頭を正確に射貫く。


「こっちもまかせろぉぉ!」


威圧しながらドンゴがハンマーで1匹をスタンプする。

ドゴオォン!地面が凹み、まわりに石が飛ぶ。

ルークドは流れに乗るように落ちていた石斧を大きいのに向かって投げつける。

1本・2本・・3本・・・・4本すべて顔面、頭に当たる。

大きいホモゴブは脳震盪のうしんとうでも起こしたのかスキが生まれていた。


「はあぁ!」


ジャンプし剣を垂直に振り下ろす。

ホモゴブは長斧で防御の姿勢をとるが、ルークドは素早くフェイントをかける。

体勢をうまく切り返し、回転して顔面を側面から蹴り抜く攻撃に切り口を変える。


バコッ!


吹っ飛びはしないがダメージの蓄積で立ったまま動けなかった。


「これで終わりだ!」


「ファイアーーインパクト!!!」


溜めていた炎を即座に放つ。

大きな爆発と衝撃そして黒煙がでる。ドンゴとアリーは咳をする。

かなりの高威力というのは見かけからでもわかるほどだった。


魔法が不得意なルークドが唯一使え、かつ高等魔法士を超えるレベルかもしれないほどの属性である火。

ルークドの強力な力だった。


「ふうぅ・・・終わった。」


ドンゴとアリーが近づいてくる。


「昨日のあれまだ気にしてるのか?」ドンゴが言う。


「まぁな。」


「気にすることねぇて!キングが死ぬはずない! 

そもそも自称キングテレトリー軍総統なんてすげぇ怪しいし信用ならんわ。」


「そうそう。」アリーが同意する。


「次、来たらこのオレが吹っ飛ばしてやるよ!ガハハハハハ!」ドンゴが軽快な口調で言う。


(ドンゴ村の中の頼れるおっさんで俺が幼い時から狩りや生活のいろんな部分を教わり、面倒も見てくれた。

今の戦闘スタイルもドンゴ譲りなところはある。

豪快、圧倒的な力、泥臭さ。

すべてに頼りがいがある。)


「もう!父さんたら~ すぐそうやって力で解決しようとして~

でも困ったら私にも相談してね。」


(アリーとは幼馴染だ。村は子供がほんとんどおらず、昔からアリーとよく遊んでいた。

元気でありながら、ちょっとの気持ちの変化にも気づく繊細さがある。

幼い時、よくなだめてもらってたっけ・・なぁ・・・。

両親もいない出生もよくわからない俺にとっては数少ない心のよりどころだ。)


「さぁーて戦利品を回収するぞ~。ガハハハハ!。今日はかなり回収できそうだな!」


「そうーね。回収しましょか。」


二人は散らばっていった。


「フッそうだな。」


ルークドは安心感があった。


(俺たちはこうしていつも過ごしてきたんだ。この平穏な生活をずっと過ごせたらいいんだ。

俺にとっては村がすべてだ。)


ルークドはそう思い、ホモゴブの戦利品回収に歩を進めた。






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