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短編・エッセイ

面白い小説を読み終えたとき、大抵の読者は満足してそのまま本を閉じる

作者: 柴咲もも

 普段あまり本を読まないわたしが、最近ちょこっとだけ本を読みました。


 ここ数年はほとんど書くほうばかりになっていて、本を読む楽しさを忘れていた気がします。


 学生のころは色々な本を読んで、文字で描かれた世界を空想したり、物語の登場人物と一緒に辛いこと悲しいこと、嬉しいことや楽しいこと、恋愛のどきどきまで、いろいろな感情を楽しんでいました。


 面白い物語というものは、その物語のなかに読者を引きずり込んで、様々な体験や感情を実際に経験したかのように感じさせてくれるものだと思います。

 そして全てを読み終わったあと、読者は現実に戻って余韻を楽しむわけです。


 ホッとしたり、なぜだか嬉しかったり、数日間落ち込んだり、ときにはモヤモヤがおさまらないこともありましたが、読み終えたときの充足感は独特の心地よさがあるものだと思います。


 以前、連載していた小説を完結させたとき、あまりにも感想や評価などの反応がなくてものすごく落ち込んだことがありまして、そのときにある人から声を掛けて頂きました。


 許可を得ていないのでそのまま転載したりはしませんが、「読者の多くは読み終えたら満足するもので、特にweb小説の場合は、途中で読むのをやめずに最後まで目を通した時点で、その小説の大ファンなんですよ」と、そんな感じのお話を聞かせてただきました。


 そのときのわたしは作者目線でしか物事を考えられず、そんなこと言われても悲しいものは悲しいし凹んでしまうと思ったわけですが、実際に読む側になっている今、その言葉がとても身に染みていたりして。


 読み終えたときの満足感、余韻、そういうものに浸って、幸せな気分のまま現実のやらなければならない仕事と向かい合う。

 この充足感というか、言葉には表しきれない気持ちで本を読めたことに満足して感謝しているわけですが、それを作者さんや出版社の編集部にわざわざ伝えようとは思わない、みたいな。


 こういうことだったんだなぁ、とまざまざと実感している次第です。


 そういうわけで、自分が書いた作品では感想や評価をくれた人は読んでくれた人の本当に極一部だけだったわけですが、反応を残さなかった読者さんも、今のわたしのようにそういう満足感や余韻などにひとときでも浸ることができていたのだとしたら、それはそれで幸せだなぁと思いました。


 そしてこの先も、わたしの作品を読んでくれた人を読後にそういう充足感で満たすことが少しでもできたら幸せだなぁと、今のわたしは思うわけです。


 そして明日にはこの気持ちを忘れて、感想がないだの評価して欲しいだのと欲を出すのだろうなぁとも思います。


 本当に、ダメ人間なので(笑)


 とはいえ、わたしもweb小説を読んだ際には読了ツイート、感想、評価のいずれかは残すようにしています。

 一作者として、自分が嬉しいと思ったことは大抵の場合、他の作者さんにとっても嬉しいことなのではないかと思うので。


 まとまりのない話になってしまいましたが、久しぶりに読書していて思ったこと、思い出したことを書いてみた次第です。

 お目通しありがとうございました。



要約すると「ファンレター書くとか感想を伝えるとか、作者にならなければきっと考えもしなかっただろうな」という話でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み専門ですが共感できるお話でした。 やはり好みとかはありますが面白かったと思える物語にはポイントと感想を短くても入れます。 楽しいお話を読ませて頂けるのはとっても嬉しいものです。 一番…
[一言] 身につまされるお言葉です。 読者の立場だと確かに、読んで終わりの事は多いですね。 それなのに自分の時だけは感想が欲しいなんて、やっぱ我儘 なんですよね。
[一言]  とても共感できるエッセイでした。  自分も作品を書いていてブクマ登録数が50を超えているにもかかわらず、評価人数と感想が一桁という結果で、『評価・感想がないほど面白くないのかな』と思う時期…
2017/10/06 17:47 退会済み
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