一著
毎週一話という契りを早速破ってしまいました……
ま、まぁ、投稿することが大事だから……アセアセ
セフティーの出入り口である門から続く道をまっすぐ行った先、一番近くに存在する街にたどり着く門とは逆方向である森の中を、アルティンは草木を掻き分けながら進んでいた。
かすかに射す木漏れ日が唯一のあかりであり、時折聴こえる鳴き声が恐怖を駆り立てる。されども、どこか安心する爽やかな風は全身を包むように吹き抜け、まるで歓喜の声を上げているかのように木々を揺らす。
「おかしいなぁ……もう三日も歩いてるけど、まだ森を抜けないか」
この三日間でアルティンはサバイバル能力を身につけていた。水の流れる音で川を探し、喰らうために動物を狩り、木の上で睡眠をとる。気づいたときには周囲の気配を感じ取れるまでになっていた。
「この辺に動物はいないし、道を聞けるような人も、当然いない……。まぁ、進んでいけばそのうち着くか」
妙に楽観視しているからか、それとも何も考えていないのか、一向に足を止める気配がない。迷いなく、確実に森の奥に進んでいく。黙々と歩くのに暇になってきた頃、ようやっと木漏れ日以外の光を見つけた。
「お! 端まできたぞ!」
嬉しくなって脇目も振らずに走る。光は徐々に大きくなり、次第に周りの風景が映り始めた。
広い草腹に整備された道、そして一つの都市が見えてくる。周囲を外壁に囲まれた、大きな都市。
「すっげー……」
感嘆な声をあげ、未だかつて知らない圧倒的な美しさに立ち尽くす。
しかしそれも数秒のこと。この”未知”にいてもたってもいられず、足早に都市まで駆ける。
「世界ってのは……こんなにもすげぇのか……!」
整備された道を走らず、都市に向かってただ一直線に、走る。徐々に大きくなる都市にアルティンの頬は段々と上がっていく。
ほど近くまできたときにその外壁の高さに驚きを覚える。二〇メートルほどの高さがあり、一体どうやって人が組み立てたのかと疑問を覚えるほどだ。また、いくつか傷がついているものの壊れる様子が全くないことからもその頑丈さが窺える。
目前には槍をこちらに構えた二人の兵が立っている、開かれた門。ここを通れば中に入れる。そうアルティンは勢いよく歩き出した。
しかし。
「止まれ、少年」
「この国に何用だ?」
当然のごとく、二人の門兵に止められてしまう。
「国……何用? それ言わないとここに入れないのか?」
「まあそうだな」
「なんだ、用はないのか?」
困っておろおろとしている様に苦い顔をする二人の門兵。そんな中、都市の中から一人の男が歩いてくる。
「あん? 何やってんだ」
筋肉質で壁かと思うほどのガタイの良さや無精髭と左目周りの火傷跡、鋭い眼光により見た目だけで人を威圧できるほどの迫力を持っており、声も低く落ち着いているためにまたそこでも威圧を与える男。
「か、会長……」
「い、いえ、特に何も……」
二人の門兵はその男、会長が恐いのか青い顔で震えながら会長の方を向く。その動作の中、会長は門兵の奥にいるアルティンを目にする。
「なんだ、薄汚ぇ坊主の検問か」
「薄汚ぇってなんだ!」
「おい少年!」
「言葉に気をつけろ!?」
アルティンは反論の声をあげるが、すぐさま門兵に口を閉ざされる。声が出せなくなったからか、睨みを効かせる。
「あっははは、威勢がいいじゃねぇか。入れてやれよ」
会長は豪快に笑い、二人の門兵と肩を組む。
「しかし……」
「用なしを入れても……?」
「あん? 用があるかないかなんざ、さして気にすることでもねぇだろ。……犯罪を犯しに来た、ってことじゃなければよぉ」
門兵はしぶしぶといった感じでアルティンを門の中に入れる。
「ああ、過去に犯罪を犯していたら」
「この国に入ることはできないから」
『気をつけて』
そう言いながら強引に中に入れようとする。ズルズルと引っ張られているので悪態をつき暴れているが、気にする様子もなくブレることもなく、門兵はどんどん引っ張っていく。
「ふむ、抜けられたな」
「特に問題はないか」
門を抜け、そう中に投げ飛ばされるも、アルティンは街並みに呆然と座りっぱなしとなる。その様子を気に留めることなく、門兵はさっさと定位置に戻っていく。
「なんだそのだらしない顔はよぉ」
アルティンの後方、門から会長が声をかけてくる。その顔は先ほどまでと比べてもどこか楽しそうであり、普段の威圧感がふんわりと抑えられているように感じる。
「おっさん……」
「あん? なんだ?」
「この街、すげぇいいな」
「街か……国なんだが、まぁいいか。すげぇだろ」
ドヤ顔で言ってはいるが街を眺めているあるティンは一切気づかない。そのことに多少口を尖らせながらも続ける。
「ようこそ、少年。——情報の国、”知多空”へ」
ここからは情報が多くなるかも……飽きられないか心配