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地底の月  作者: 赤羽 黒兎
敍-月/ムーン
2/5

プロローグ-2

 ここまでは書けていたので、サクサクと投稿していきます!

「だから、”ツキ”ってやつ、知らねぇの!?」

 貧しい者が集まりできた町、セフティーにて、木箱の上に座る一人の少年が、階段に腰掛ける老人にそう問いかけていた。痩せこけた身体にボロボロの布一枚を纏った、燻んだ金髪の少年。この町で誰よりも自由に暮らしているその男は、名をアルティンという。どこかで聞いたのか、”ツキ”と呼ばれるものが昔の空にはあったのだと、貧民街の人々に語っていた。アルティンの前にいる老人はこの町で一番年をとている老人の様で、九◯にもなる、という話だ。

「”ツキ”……”ツキ”は知らないのぉ」

「んだよ、知らねーのかよ」

 老人の言葉にアルティンは目に見えて落ち込む。その様子に笑いながら、だが、と続ける。

「その昔、”月”と呼ばれたものは知っているぞ」

「”月”? ”月”ってなんだ!? ”ツキ”とは違うのか!?」

 思わぬ老人の返しに、アルティンは目を輝かせて詰め寄る。老人はゆっくりとその口を開いた。

「ワシの父親は昔は空の向こう——宇宙と呼ばれるものについて研究していた学者だったのじゃ」

「空の向こう!? ウチュウ!?」

 手の届かぬ彼方のその先にまだ見ぬものがあったこと。それに先ほどよりも目を輝かせ、これでもかというほどに見開いていた。

「その宇宙に存在した衛星と呼ばれるもの、その一つが”月”じゃ」

「エーセー!? なんかよくわかんねーけど、すげー!」

 その場で大きく飛び跳ねるアルティン。その様子に何かを懐かしむかのような顔をしたのちに、目を閉じながら喋る。

「その”月”は、この大地から美しく見えた、そう言われていた」

「えぇ!? ここから見えたのか!?」

「うむ。だが、その姿を見たものはおらんし、それが本当のことかはわからん」

「ええー!? じぃさんの父ちゃんは宇宙をケンキュー? してたガクシャ? だったんだろ? ガクシャが何かはわかんねーけど、見たことあるんじゃねーの?」

 口を尖らせながら問うアルティンに、老人は困った様に顔を顰めた。

「そうじゃ。見たこともあるらしいんじゃが、なぜか思い出せんそうじゃ。だから、本当にあるかどうかもわからないんじゃ」

「そっかー……」

 悲しそうにつまらなさそうに、アルティンはその場に勢いよく立ち上がる。そのまま暗くなり始めた空にグッと、固く握りしめた拳を強く掲げた。

「なるほど、じゃあ”月”ってやつはあったかも知れないんだな! ……よし! 俺は、その”月”をこの目で見る! この世界で、俺が最初に”月”を見つけるんだ! 良い話が聞けたぜ。ありがとな、じぃちゃん!」

 またなー、そう言いながら手を振り、アルティンは去っていく。その様子に老人は悲しそうな顔を浮かべ、目を伏せる。

「アルティン、強く生きるんじゃぞ……っ!」

 老人はその場に自らの杖を立て、その場を去っていった。

パァンッ!

 一発の銃声の音だけが、宵闇に響いた。



 セフティーを一つの小さな影が走る。

「やっべー、もう昼じゃねぇかよ」

 焦った顔で走る。明日は朝からじぃちゃんと話そう。そう決めて眠りについた昨晩、興奮でなかなか眠ることができなかったのか、気づいたら昼前になっていた。

「じぃちゃん、いるかなぁ」

 焦った顔で目を輝かせるという、器用なことをしていたアルティンは、老人と会話を交わした路地にスライディングをしながら入る。

「よっし、着いた!」

 そう身体を起こして周りを見るも、老人の影はどこにもなかった。

「あれぇ? いつもいるから今日もいると思ったのになぁ」

 おかしーなーと言いながら路地を進んでく。先日己が座っていた箱の上に腰掛けると、地面に何かが落ちていることに気づく。

「ん? これは……杖?」

 それはなんの変哲もない、しかしこの貧民街に存在するにはあまりにも綺麗な茶色の杖であった。手触りが良く、いやに手に馴染む。

「これって……じぃちゃんの? いや、にしても、なんで誰も拾わなかったんだ?」

 少し入り組んだところにある路地とはいえ、誰もが通る路地であり、小綺麗な老人がいると言うのは有名な話。綺麗でお金になりそうな杖を道ゆく人が見逃すはずもない。

「んー……ま、いっか。じぃちゃんが戻るまで俺が持っとこーっと。そんとき返せばいいや」

 アルティンが落胆の表情を浮かべながら杖を抱え、その場を去ろうときた道を向いた。

 その時。

 ゾクリ——。

「!? な、なんだ!?」

 アルティンの背筋にツーッと冷や汗が伝う。この町で生きていく中で殺気と呼ばれるものは毎日のように受けている。しかし、コレは練度というか密度というか、その濃さが格段に違った。

 コツ。コツ。コツ。

 背後から革靴による足音が響く。それは死へのカウントダウンをしているかのように、徐々に大きくなるにつれて恐怖感も増していく。

「くっ——!」

 意を決して振り返る。咄嗟に抱えていた杖を振ったのは僥倖だったかもしれない。カラン、と一本のナイフが転がる。

「だっ、誰だっ!?」

 叫び、杖を剣のように構える。降参、とでもいうように、後ろにいた人物はそっと両手を上げた。貧民の街であるセフティーには似合わない綺麗な燕尾服に身を包み、闇のように黒い髪を上に掻き上げている。そして顔の上半分には右側は笑顔を、左側は戸惑い顔を模した、不気味なお面をつけていた。

「いやいや、ブラボー。咄嗟の判断とはいえ、素晴らしい。子供だと思って油断してしまったよ。この私が手元を払われるとはね」

 坦々と、抑揚もなく言葉を紡ぐ。言葉自体は誉めているような悔しがっているような、しかし感情が何一つこもっていないその言葉は、その奇怪さは、アルティンを困惑させていく。

「なっ……なんなんだよ、お前はっ……」

「ふむ、『なんなんだ』か。そうだね、その質問には、私は神だ、と答えようか」

 ソレは右の瞳でアルティンの目をじっと見る。仮面の奥から覗くその瞳は、闇が蠢いているように、奇々怪々であった。

「ひっ!」

 一歩、また一歩と後ずさる。それに合わせ、神を名乗ったソレは前に出る。

「いい恐怖だ。私にもっと恐怖を見せてくれ」

 アルティンに手が伸ばされる。袖口からナイフが飛び出すのではないか。その手で握りつぶされるのではないか。——殺される。

「っあ、ああ、あああぁぁぁぁぁあっ!!」

 気づいた時にはソレの喉元を突いていた。右足で大きく地を蹴り、杖を持ったその右手を、遠くへ、遠くへと伸ばす。

「がはっ」

 ソレはその勢いのまま、路地の反対側の壁へと叩きつけられる。同時に、仮面が宙を舞い、アルティンの目の前に転がる。

 ドサッ。

 二人が同時に地に横たわる。全身全霊の力を消費した結果立ち上がることの叶わないアルティンは、何事もなかったかのように立ち上がるソレを目に映す。

「く、クソ……」

 せめて仮面だけでも壊せれば、と手を伸ばす。しかし、叶わぬ願いを悔やみながら、アルティンは意識を手放していく。

 爆誕DJ祭2nd最高に楽しかった……

 興奮冷めやらぬこの状況、執筆に活かせるかな……

 って、今日はガチ恋δの日ではないか、見なければっ

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