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ある日森の中イケメンに出会った

みんな魔力を有してるような完全ファンタジー世界です



「アリアさん!一目見た瞬間から素敵だと思ってました!俺には君のような人が相応しい!どうか、付き合ってくれませんか!?」


とある村の一角で、場違いにやたらとキラキラした正装の青年がそう言いながら自信満々な様子で胸に手を当てる。

交際を申し込まれたのは今年20歳になる女性アリアだ。


(いや、誰よこの人)


と思いながら、アリアは小さく溜め息を吐いた。

アリアは格好こそパンツスタイルで少し男っぽいものの、一つに括った長い金髪にダークグリーンの瞳でとても美しい顔立ちをしている。

その為このように碌に話した事も無いような相手から告白される事も多々あった。

慣れたもので、焦った様子も無く口元に指を当てる。


「うーん、そうですね…。条件を満たせたら、交際を考えても良いですよ」


「本当かい!?条件って!?」


「そ・れ・はぁ」


言いながら、アリアはくるりと後方へ顔を向けた。

するとそれを待っていたかのように建物の陰から1人の少年が飛び出してくる。


「うちの弟、クヴァルダを倒す事でーす♪」


「よっしゃあ掛かってこーい!!」


両手を挙げながら元気いっぱいに現れたのは緑の髪をした13歳の少年クヴァルダ。

その姿を見て青年はポカンとする。


「え、こんな子供と…?そんな簡単な事で良いの?」


「ええ。二言はありませんよ」


笑顔で答えるアリアの様子に、青年は推測して納得した。

こんなに容易い条件を出したという事は、きっと向こうも自分に気があるのだろうと。

その上で、弟の相手もしてくれる人か確かめたいんだろうと。


金持ちアピールをした甲斐があったぜと小さくガッツポーズをしながら、それなりに腕っぷしにも自信がある青年は直ぐに頷いた。


「よぅし、わかった!お兄様が相手をしてやろう!さあ、遠慮せず全力で掛かってこ…」


が、言葉を最後まで発する前に景色が空へと変わる。

クヴァルダの動きを捉える事も出来ない内に、アッパーで宙へと舞わされていたのだ。

たったの一発で地面とお友達になる青年。


「ほらほら、まさかこんなもんじゃないだろ?立って立って!」


倒れた自分に向かってファイティングポーズを取ったまま笑顔で言うクヴァルダに、青年は青褪めた。

どう考えても勝てる相手では無いと分かり、カタカタと震えながら立ち上がる。


「ご…」


「ご?」


「ごめんなさーい!!」


と、完全に戦意を喪失して逃げていってしまった。

アッサリと諦めた姿を見送ってから、顔を見合わせる姉弟。


「よくやったわクヴァルダ!」


「へへ、姉ちゃんの為なら何でもするぜ!」


そう言いながらパァンとハイタッチする2人はとても仲が良かった。

特にクヴァルダはアリアの事が大好きなシスコンだ。

姉に近付く不埒な輩など許す筈も無かった。


「さて、そろそろ夕飯の時間だし家に戻りましょっか」


「うん!そうしよう!」


青年の事などさっさと忘れ、2人は直ぐに帰宅する。

そんなアリアに待っていたのは、母の小言だった。




「ちょっとアリア。アンタまた告白してくれた人をフったらしいじゃない。もう20歳にもなるんだから、いい加減彼氏の1人くらい連れてきたらどうなの?このままじゃ一生独身よ?」


心配と呆れが混ざった溜め息を吐きながら言う母。

一緒に夕飯をテーブルへ運びながら、アリアは口を尖らせた。


「いや、私だって別に彼氏が欲しくない訳じゃないのよ?ただよく知りもしない人といきなり付き合うのは無理なだけで」


「だからってクヴァルダに勝てなんて無理難題を突き付ける事ないじゃないの。あの子に勝てる人なんてそうそう居ないでしょうに」


「あはは、お母さんってば。もちろん分かってるわよ。本気で勝たなきゃダメなんて私も思ってないわ」


クヴァルダはまだ子供でありながら人並外れて強い。

その事はアリアも重々理解していた。


では何故クヴァルダをけしかけているのかと言えば、相手の本気度を確かめたいからだ。

よく知らない人だとしても、勝てない相手にもう一度挑むくらいの気概を見せてくれるならば一考の余地もある。

残念ながら、今の所そういった人は現れていないのだが。


「まあまあ母さん。アリアだってもう大人なんだから、見守ってやろうじゃないか」


そう笑って言った父を、母はギロっと睨む。


「あなたはアリアに嫁いでほしくないだけでしょう?」


「はは、バレたか」


凄まれてもニコニコと笑う父。

その隣でクヴァルダも激しく主張しだした。


「オレも父さんに賛成だよ!ていうか、姉ちゃんの相手は顔も性格も良くて高身長高収入の腕っぷしも強い奴じゃなきゃオレは認めない!」


「何で弟のアンタが馬鹿みたいに高い理想を掲げてるのよ!?」


頭が痛そうに額を押さえる母の姿に、アリアも父と一緒に笑ってしまう。

そんないつも通りの騒がしい家族団欒の時を過ごしていたアリアは思いもしなかった。

この翌日に、運命の出会いを果たす事になろうとは。





「あらアリア。こんな早朝にどこに行くの?」


翌朝、いそいそと出掛けようとするアリアに母が声を掛ける。

アリアは口元に人差し指を立てて「しー!」っと母に声を潜めるよう促した。


「もう直ぐクヴァルダの誕生日でしょ?プレゼントに魔道具を作ってあげようかなと思って」


アリアは趣味で魔道具作りをよくしている。

素人ながらになかなかの腕前だ。

弟思いなアリアの言葉に、母も顔を綻ばせた。


「まぁ、良いわね。アリアの手作り魔道具を貰ったら、あの子間違いなく大喜びするわ」


「でしょ?でも家で作ってたら気付かれちゃうかもしれないし、見つからなそうな所でこっそり作っちゃいたいの。この時間ならクヴァルダも朝稽古で居ないしね」


基本的にクヴァルダはアリアにべったりなので、家でも一緒にいたがるし出掛けようとすれば付いてきてしまう。

だが最近、クヴァルダは将来騎士になるのだと昔冒険者をやっていて腕の立つ祖父に剣の稽古をつけてもらっているのだ。

その間に抜け出してしまえば、バレる事もないだろう。


「成る程ね。そういう事なら、もしクヴァルダが先に帰ってきても誤魔化しておくわ。気を付けてね」


「助かる!ありがとうお母さん」


お礼を言って、直ぐにアリアは駆け出した。

限られた時間を有効活用する為にも急がなければならない。

村の比較的近くにある森へと真っ直ぐに向かった。


この森は魔物が多く出没する為、人が立ち寄る事はあまり無い。

そんな森の中にも一箇所だけ安全地帯があった。

小さな湖の畔に、魔物避けの木が生えている場所があるのだ。

そこならば人も来ないし魔物に襲われる心配も無い為、集中して魔道具作りも出来るだろう。


《ギギャァァァア!》


と、森に入って直ぐに鳥型の魔物が襲いかかってきた。

しかし、慌てる事なく拳を握るアリア。


「邪魔…よ!」


――パァン!!


《ギャッ…》


アリアのパンチによって小気味良い音を立てながら吹っ飛んだ魔物が敢えなく撃沈する。

実は、弟のクヴァルダだけでなくアリアもかなり戦闘力が高かった。

道中何体もの魔物が出現したものの、蹴散らしながらズンズン進む。

そしてあっという間に湖の畔へと辿り着いてしまった。


(よし、あの辺で作ろうっと)


座りやすそうな岩に目星をつけ、意気揚々と湖に近付く。

その時、視界の端に人影が見えた。

驚いてそちらに目を向ける。


「…!」


そこには、魔物避けの大きな木に寄り掛かるように座っている1人の青年がいた。

藍色の髪に青い目をした、アリアと同じくらいの年頃の青年。

眼鏡を掛けているが、それでも全く隠される事のない程に端正な顔立ちをしている。

少しつり目なのだが決して悪人顔という訳ではなく、寧ろクールな印象を与え彼の顔立ちの良さをより際立たせていた。

どうやら読書をしていたようで、手には分厚い本が乗っている。


(うわ、どうしよ。まさかこんな所に人がいるなんて)


因みに青年の方も人が来るなんて思っていなかったようで、少し驚いた表情をしている。

目が合ったのに無視するのも感じが悪いかと、取り敢えずペコリと頭だけで一礼をすると、同じように青年も軽く頭を下げた。


(うーん…1人で集中してやりたかったけど、今から別の場所を探す時間も無いし…。距離取ってれば大丈夫よね?)


青年の邪魔をしないよう、魔物避けの効果があるギリギリくらいまで離れて座るアリア。

もし向こうが迷惑そうだったり、もしくは向こうから構ってくるような事があれば移動しようと決めながら、早速魔道具作りを始めた。

でも、それは要らぬ心配だった。



――サワサワ



静かで、とても穏やかな時間が流れていく。

青年の方から話し掛けてくるような事も無く、お互いに無言だけれど決して気まずくもない不思議な空気感があった。

寧ろ木の葉のざわめきの中で時折聴こえるページをめくる音は、心が落ち着いてなんだか心地よい。

お陰で普段以上に集中する事ができ、思っていた以上に作業も捗った。


(…よし!取り敢えず今日はここまでで良いかな?)


目標としている部分まで作ったところで作業を切り上げるアリア。

クヴァルダが家に帰ってくる前にと、急いで帰路につく。

まだ読書を続けている青年を横目に、特に会話する事も無くそのまま真っ直ぐ村へと戻ったのだった。






(今日も居るかな?あの人)


翌日、クヴァルダが稽古に行ったのを確認してアリアは再び湖の畔へと向かった。

なんとなく昨日の心地よい時間が思い出されて、同じように過ごせないかなと思ってしまう。

けれどそんな気持ちとは裏腹に、湖畔に彼の姿は無かった。


「…まぁ、そりゃそっか」


そもそもこんな場所に人が居た事の方がおかしいのだ。

当初の予定通り1人で集中して作業しようと、程良い大きさの岩に腰掛ける。

だが作り始めようとした際に、とある可能性が頭を過った。


(私が、あの人の場所を奪ったって事…ないよね?)


アリアは居心地が良かったが、青年もそうであったとは限らない。

もしかしたら自分が来たせいでここへ来るのをやめた可能性だってある。

もしそうなら申し訳ない事をしたなと思い、小さく溜め息を吐いた。


だが、その時だ。

不意に人の気配を感じ、アリアはパッと顔を上げた。


「!」


現れたのは昨日の青年だ。

アリアに気付いても帰ろうとはせず、また魔物避けの木の下まで歩いてくる。

自分が先に来ていただけで、彼の居場所を奪った訳じゃないのだと分かりホッとするアリア。


(なんだ…良かった)


昨日と同じようにペコッとお互い頭だけ下げてから手元に視線を戻した。

安心感と落ち着く静かな空間で、また魔道具作りに没頭する事が出来る。

その日から、アリアは青年と過ごすのがお気に入りの時間となった。


言葉を交わす訳では無いけれど、お互い毎日同じような時間に来ては一礼して静かにそれぞれの事に集中する。

そして自分の都合にあわせて帰るという流れ。

本当にただそれだけで、同じ空間に居るだけなのに…どうしてか心が安らいだ。


そんな日々が、10日程続いた日の事だった。




「姉ちゃんさぁ、何か良い事あった?」


「え?何よ突然」


早朝、いつもならそろそろ稽古に行く筈のクヴァルダが椅子に逆向きに座りながら質問する。

僅かにギクッとするアリアをじーっと見るクヴァルダ。


「だって最近妙に楽しそうじゃん。オレの知らない所で何かしてたりするんじゃないかと思って」


我が弟ながら鋭い、とアリアは感心した。

顔に出していたつもりは無かったのだが、さすが日頃からアリアばかり見ているだけの事はある。

下手に隠す方がかえって怪しまれるかと判断し、アリアは口元に指を立てた。


「ふふ、秘密。後でちゃんと教えてあげるから、それまで待ってて」


「えー!気になるじゃん!今教えてよ!」


「ダーメ♪ほらほら、お爺ちゃん待ってるんだから早く行ってあげなさい」


「いーやーだー!」


駄々を捏ねるクヴァルダをなんとか宥め、遅いからと迎えに来た祖父に預ける。

そんなやり取りをしていたせいで、いつもより家を出るのが遅くなってしまった。

とっくに青年も来ている時間だろう。


青年といられる限られた時間が減ってしまうのは勿体無い気がして、アリアは急いで湖畔へと向かった。

到着と同時に息を切らせながら辺りを見回す。


「…あれ?」


ところが、定位置である木の下にも何処にも青年の姿は無かった。

この時間でも居ないという事は、きっと用事か何かで今日は来ないんだろう。

別に約束をしていた訳でもないし仕方ないのだが、アリアはガッカリして肩を落とした。


「今日は居ないんだ…。はぁ〜…続きやろっと」


物寂しさを感じつつも頭を切り替える。

岩に腰掛けながら、マジックバッグから何色かのリボンを取り出した。


アリアが今作っているのは、身に付けられるチョーカー型の魔道具だ。

首に巻くレザー部分の色を決める為、カラー見本としてリボンを用意したのである。


「んー…やっぱり黒が1番良さそうね」


一応候補を何色か揃えたものの、第一候補だった黒が最もしっくりくる。

確定した黒いリボンを膝の上に置き、他のリボンをマジックバッグへと戻した。

と、その時だ。


――ヒュオッ


「あ!」


突然強い風が吹き、リボンが飛ばされてしまった。

そのまま舞い上がり、魔物避けの木の枝に引っ掛かってしまう。


「あー…あれは落ちてこなそうね」


ちょうど枝の分かれ目に挟まるような形で垂れ下がっているリボンを見て苦笑いする。

仕方なく、アリアは木に登って取ることにした。

それなりに高い位置に引っ掛かっていたが、身軽なアリアはヒョイヒョイと登ってしまう。

再び風に飛ばされるような事も無く、直ぐにリボンを掴めた。


「よしっと」


無事に回収でき安堵するアリア。

すると、そんなアリアの耳に人の足音が届いた。

もしやと思い期待して目を向ける。


(! やっぱり…!)


案の定、足音の主は青年だった。

どうやら青年の方も来るのが遅くなっただけのようだ。

嬉しくなったアリアは声を掛けようか迷う。


すると、一度周囲をキョロと見回した青年がポツリと小さく呟いた。


「…今日は、居ないのか…」


「えっ」


自分と同じような反応をした青年の言葉に、思わず声を漏らしてしまう。

ハッとして口を手で押さえたが既に遅く、聞こえた青年がバッと顔を上げた。

アリアと目が合った瞬間、独り言を聞かれたのを確信してカッと顔を赤くする。

その反応にアリアも慌てふためいた。


「あのっ、ごめんなさい!盗み聞こうとした訳じゃ…きゃあっ!」


が、動揺してしまったが故に足を滑らせてしまう。

咄嗟に枝を掴む事も出来ず、木から落下してしまった。


「!」


即座に、下にいた青年が手を伸ばす。

アリアを地面に落とす事なく、横抱きで綺麗にキャッチした。


「大丈夫ですか!?」


「はっ、はい!重ね重ねすみま…痛っ」


慌てて青年の腕から飛び降りた瞬間、右腕に走った痛み。

見ると、15センチくらいの切り傷があり血が流れてきていた。

落下した拍子に枝が引っかかり切れてしまったようだ。


「わわ、思いっきりやっちゃった」


割と深い傷のようで、血が止めどなく流れてくる。

取り敢えず何かで止血しなければと慌ててマジックバッグを漁ろうとしたが、それを青年が止めた。


「待った。動かないでください」


「え?あ、はい」


怪我をしたアリアの手を掴み、傷口を自分の方へ向ける青年。

そしてスッと手を翳した。


「蘇生術式 ヒール エモラギア」


そう青年が唱えると、温かな魔力が伸びてきて傷口がみるみる塞がれていった。

あっという間に治療され傷が無くなった腕を見て目を丸くするアリア。


「え!?治った!?」


「いえ、魔力治療で傷口を付着させただけで完全に治った訳じゃありません。あまり刺激を与えると傷が開くかもしれないので気を付けてください」


付着させただけとは言うものの、目を凝らしてみてもどこに怪我をしたか判らない程に綺麗に塞がっていて痛みもない。

医療品を使っての治療しか受けた事のないアリアは驚くばかりだ。

素人目に見ても、かなりの技術なのではと気付く。


「凄い…ですね。もしかして、お医者様ですか?」


「はい。街の病院に勤めております」


「わぁ、やっぱりそうなんですね。あ!治療代を…!」


「いえ、今回のは私が原因でもありますので気にしないでください」


青年の一人称を聞き、アリアはパチリと1つ瞬きをした。


「まだお若いのに『私』って使う男の人って初めて会ったかも。え、もしかしてやんごとなき身分の方だったりします?」


「あぁいや、それこそやんごとなき身分の方と仕事で接する内に染み付いたと言いますか」


「ああー…なるほど」


敢えてアリアの言葉を使って返した青年に、納得しながらも少し笑ってしまう。

それと同時に、貴族にまで懇意にされているとは相当な腕なのだろうと感服した。


改めて青年を見上げるアリア。

いつもは距離を取って座っているが、こうして近くで見ると背もかなり高い。

至近距離で顔を合わせたのが初めてなのと先程の事もあり、照れ臭いような感覚になる2人。

ここまで話しておいて名乗らないのもおかしいかと、アリアは漸くここで自己紹介した。


「えと、今更ではありますけど私はアリアって言います。お名前伺っても良いですか?」


「ああはい。私はシュルツと申します」


丁寧に返してくれたシュルツに、アリアはまた嬉しくなって笑顔を向ける。

空気が柔らかくなったところで今度はシュルツが質問を投げ掛けた。


「ところで…なぜ木の上に?」


木登りを楽しむような歳でもないし、疑問に思うのも当然だろう。

羞恥心を誤魔化すように「あはは…」と笑って答えるアリア。


「魔道具を作ってたんですけど、リボンが風に飛ばされて木に引っ掛かっちゃって」


「そういう事でしたか。確かにいつも何か製作してますね。もしかして魔道具師なんですか?」


「いえいえ!ただの趣味ですよ!来月弟の誕生日があるので、プレゼント用の魔道具を作ってるんです」


「成る程、弟さんの為に。それにしても、魔道具を作れるなんて凄いですね」


「いや、絶対あなたの方が凄いですよ」


これまで全く言葉を交わしてこなかったが、いざ会話してみると案外話しやすい。

今までは下心が透けて見える相手が多かった為、こんな風に男の人と純粋に会話を楽しむのは初めてのようにアリアは感じていた。

ただ一緒に居るだけの時間も良かったが、こうして話すのも気持ちが良い。

結局その日は魔道具作りを進めずに、ついつい話し込んでしまったくらいだ。


この日を境に、アリアとシュルツはよく話すようになった。




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