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ぐっど喪ぉにんぐ!! 〜土葬少女のセカンドライフ〜  作者: わた氏
12章 きらめく、大切な思い出
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楽勝? 人間わなげ!

 ——輪投げ。

 読んで字のごとく、輪っかを投げる単純で簡単なお遊び。

 子ども向けの代表格みたいな催し物で、大人からすれば手応えがない。


「ふふふ、いきますよぉ!」


 輪っかを握ったザラメが、俺に狙いを定めて腕を引くザラメ。そのまま輪っかが飛んでくるのを待ち構えつつ。


 正直、この“人間わなげ”も、字面はさておき何とでもなるだろうと思っていた。


「せーのっ!!」

「あ゙い゙っっだっ?!」


 ——ザラメの放った輪っかが、豪速で直撃するまでは。


「っつぅ……!」


 床に落ちた輪からは、シュウウゥと輪投げにあるまじき音が聞こえる。

 俺は動けないまま、銃弾で撃たれたかのように仰け反って悶えていた。


 知ってた。そんな気はした。

 だってザラメだし。手加減なんてするわけねぇじゃん、アイツが。


「ってぇなお前っ! ……つかなんか焦げた匂いがするんだが?!」

「びっくりだヨ、郡さんのおでこが焦げてるヨ」

「ふぁ?!」


 すかさず手鏡を俺に向けるミドウ。

 鏡に映る俺の額は局所的に黒く焦げ、煙が立ち昇っていた。


「おいゴラザラメ……」


 どう問い詰めてやろうか。

 睨みつける俺に対し、ザラメは落ちた輪っかを拾い上げて口を尖らせていやがる。


「むむむ、“ザラメちゃん☆ファイア! 〜疾風を添えて〜”が失敗してしまいました……」


 洋風レストランの料理名みたいな名前付けてんじゃねーよ!?


「加減しろやクソキョンシー!!」

「すみません郡さん。輪投げって初めてなので、力加減が分からないんですぅ」


 はっ、今時のキョンシーは輪投げもやったことねぇのか。


「でも安心してください! 次はもっと弱めに投げるので!! 郡さんも避けたらメッですよ?」


 言いながら、素振りをするザラメ。

 約束された波乱に、俺は眉をひそめた。


「どうやら、とんでもねぇ催しに首を突っ込んじまったみてぇだ……」

「突っ込んでるのは身体ですよ?」

「うるせっ。てか早く投げろよ」

「分かってますぅ」


 素振りを中断し、輪っかを構え直す。


「せーいっ!」

「よぉっと」


 今度は輪っかが、すっぽりと身体をくぐってくれた。


「やりましたぁ!! 1ポイントですよ郡さん!」

「お前にしては学習したな! この調子で、この勢いのまま頼むぞ」

「……余計な一言が癪に障るので、1回燃やしていいですか?」


 その後、3本目の輪で2ポイント目も獲得した俺たち。


 今俺の胴体には、2本の輪っかがある。

 つまるところ、あと1ポイント取れば勝ち。

 あと2回投げられるし、ザラメもコツを掴んできた。

 これなら楽勝と思っていた俺だったが……。


「“これなら楽勝”と思ったアナタに、試練の時間だヨ!」


 教室の中央で舞いながら、ミドウが甲高い声をあげたのだった。

 陽の光を吸った包帯が、風も無いのに元気に靡いている。


「試練、ですか?」

「そうだヨ!」


 答えて、ミドウがザラメの背後に回り込む。

 そのまま、ザラメの目に包帯を巻きつけた。


「ザラメには、目隠しをした状態でやってもらうヨ!」


 唐突に難易度を上げやがった。

 周りの生徒どもも、「ミドウちゃんったらまたサプライズしてぇ~」と和やかに笑いあっているし。

 包帯を巻かれたザラメは、「おおっ、何も見えないですぅ!」と燥いでいる。


「でも見えなきゃ、郡さんのところに輪っかを投げられませんよ」

「それはザラメの愛次第だヨ! 郡さんへのトキメキたっぷりの思いが、アナタをグッドエンドへと導いてくれるヨ」


 ザラメの手を取り、輪を託してミドウは語った。

 柔らかな声が、うっとりするほど純粋な綺麗事を運ぶ。


「愛、ですか?」

「愛だヨ」


 根拠の無いミドウの助言に、ザラメは輪を握り返して応えた。


「分かりました、やってみます!!」


 包帯で見えないが、ザラメのことだ。

 宝石……いや、砂糖菓子みたいに、瞳をキラキラと輝かせていることだろうよ。


 やる気に満ちるザラメの横で、ミドウは続けて言った。


「ちなみに、失敗したら郡さんにコチョコチョの罰ゲームだヨ」

「待てや!!」


 おいそんなの聞いてないって。

 ……さては素足にさせたのって、そういうことだったのかよ?!?!

 冷や汗が額に滲む俺に対し、


「郡さん、コチョコチョに弱いんですか?!」


 別の意味で、ザラメが目を輝かせていた……ような気がして、思わず唾液を飲み下す。

 ……日頃の鬱憤や不満を晴らされそうなんだが。




 





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