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THE WORLD  作者: 深海
11/17

11話

かなり遅れました。

始まります。

″繋いで″、″流す″。

言われたイメージの強い所を内心で呟いてみる。

一体、何を″繋いで流す″のか?

光の粒子みたいなモノよ?

しれっとしたアーシェの声が頭の中でした様な気がした。

何だよ、光の粒子みたいなモノ?そんなモン見た事ないんだから分かる訳ないだろ?

分かる訳・・・?

頭の中に″何か″がきらめく。

光の粒子?違う。これは?いつかの・・・。




オレにはお袋の記憶が殆どない。

オレが物心付く前に病気で亡くなったらしい。

あるのは親父が持っていた数枚の写真が残っているだけだった。

だから辛うじて顔は知っているといった程度で、後は全くと言っていいほど何も知らないのだった。

だから、多分先代の『現実の子』がお袋だったのだと言われた時も何と言えばいいのか分からなかった。

オレの中のお袋のイメージは・・・。

「まとわりつく光の粒子・・・?」

オレの一番古い記憶だったか?





「あら、やれば出来るじゃない?」

私が初めて『アーチ』の解放をしたのは母に連れられて訪れた遺跡の奥深くで眠っていた。

七歳になって間もなくだったはず。

事前に指導されてはいたけど、ものの数秒で解放出来たわ。


それは仕方のない事だとも思ったわ。

彼は今日、初めての解放作業だもの。

まあ、それでも時間がかかった方だと思うけどね?やっぱり。

本当に″やれば出来る″だわ。

まあいいわ。問題はここからだし。




レリーフの結晶が砕け散ったと思ったさら、空に光の粒子で出来た柱が輝いていた。

しばらくすると大気に消えていく。

「綺麗なモノだな?」

感慨深く思いながら呟く。

「そんな事言ってる場合じゃないわよ!走って!」

振り向く間もなくアーシェの声とともに引っ張られ走り出す。

「お、おい!?」

危うくひっくり返るかという所を踏みとどまりながら走り出す。

「一体どうしたんだ!?」

「周り見てから言って!」

「周り!?」

何の事だと考えたが、その思いは一瞬で消し飛んだ。

「お、おいこれ!」

壁から、床から這い出てくる異形の存在達。

「あれは!」

「あれも『夢』よ!」

むしろこれが一般的な方よ!と肘で打たれた。

「嘘だろ!?」

「本当よ!」

目の前を『異形』の腕が掠め、ギリギリで避けるバルド。

「絶対に何か違うだろ!これ!」

人間が相手をするものではない。

「でも私達の相手てきなのよ!」

「これ、毎回かよ!」

残念ながら毎回現れる方が多いわね?

シレッと言いベルトに挟んだ銃を引き抜くアーシェ。

その様に「まじかよ・・・。」と内心唸るバルドだが周りには”夢”が至る所から湧き出てくる。

ガウウンッ

横で耳をつんざくような衝撃音が響き目をむくと、前方に異形の『夢』が青い光の粒子になりながら倒れ込んでいくのが見えた。

その旨の辺りには赤い球体が割れているのが見える。

確かあれが化け物の心臓部だと言っていたが、と横を走るアーシェに視線をやると細い灰煙を上げる銃口を下ろすところであった。

「撃ったのか・・・!」

「覆いかぶさろうとしていたのよ。」

気付かなかった・・・。

「ボケッとしてないでよね?」

言いながら鉛色の塊を放り投げて来たので慌てて受け止める。

大型の銃が鈍い色の光を反射している様はスローモーションの様で変な感じだななどと思いながら・・・。

いや待て。

この銃は俺のか?

「何ぼさっとしているのよ!バイクまで走ればなんとかなるんだから、前にいるやつぶっ飛ばしてくのよ!」

ぶっ飛ばすとかどういう事だ!?俺たちは『アーチ』の開放が仕事じゃなかったのか!?

胸中でわめき飛ばしながら2m先の廊下から現れた『夢』の振り上げた腕に見えた赤い塊に銃口を向けて引き金を引くと、こちらに触れることもなく光の粒子となって崩れ落ちていくのが視界の外へ流れていく。

「あら、出来るじゃない?チキンじゃないのね?」

「チキンじゃなくても化け物なんかと戦うか!」

言っているそばから進行方向を覆うように左右上下ありとあらゆる方向から数体の『夢』が現れて腕を伸ばしてくるのが見えて、息が詰まる感覚とともに黙るとやけくそとばかりに引き金を絞る。

ツーリングの遠出の際に何があるかわからないという名目で友人に誘われた射撃場を思い出しながらだが、それなりに当たり、退路を開いていく。

とにかく進め!後ろは多分色々いる!

ブーツのかかとが劣化した軽い音を響かせて進む。

こんなに俺は早く走れただろうか?

風のように過ぎる風景に疑問を感じながらも、速度はそのままでただひたすらに疾走する。

やがて視界が薄暗い埃の中から一気にまぶしい風にさらされたと思った瞬間に足がもつれて前のめりに地面に突っ込んだ。

「・・・やっべ!」

慌てて起き上がろうとするが、うまくいかず屋敷の方に体の向きを変えるだけで精いっぱいだった。

振り向き見上げると屋敷の玄関の天井が見えておりかぶり気味に『夢』が手を広げて覆いかぶさってきているところだった!

息が止まる!声も出ない!

こんなところで終わりかと、ただ身を固くした。

だが・・・。

「何してんのよ?」

「・・・?」

少し先で灰色の細い煙を揺らす銃を下ろしながら歩み寄ってくるアーシアが、あきれたような顔をしているのが見える。

いや、何って俺の前に『夢』が・・・!

声にならず再び屋敷に視線を向けると、覆いかぶさろうとしていた『夢』は光の粒となって消えるところだった。

どこが境なのかわからないが、玄関から少し外に出たあたり以上は『夢』が出てきていないのを見て、助かったのと、仕事が終わったのを感じてようやく大きく息をしたのだった。

バルド、初めての『アーチ』解放でした。

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