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第3話:黄金の支配、鉄の規律

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回はついにREAの監視官・金森利一が本格登場

……なのですが、その前に隼人が魚を炭に変えていたりします(笑)


作者としては「川魚を焼くシーンを書こう」と思っていたはずなのですが、気が付いたら料理が死亡していました。


そして初登場から盛大に秘密組織の名前を自分でバラす金森。


監視役なのに途中から戦闘を楽しみ始める希。


この世界のエリートは色々と大丈夫なのでしょうか?


それでは本編をお楽しみください。

【素材という名の暴挙】


「……隼人さん、本当にこれを『夕食』と呼ぶつもりですか?」


多摩川の河川敷。昼は教師、夜は特務機関REAのスパイでありハッカー。


今回は金森から隼人を監視する依頼を受けている大空希おおぞら・のぞみは絶望した。


隼人が捕獲してきた川魚は、焚き火で真っ黒に炭化した“何か”。


味付けなし。

内臓処理も怪しい。


「野生にメニュー表なんてねえ。

食えば血になり、肉になる。それで十分だ」


隼人は平然と口に運ぼうとする。


『……ハヤトよ。お前の味覚受容体は独房生活で狂ったのか?』


ハクの呆れ声が響く。


「うるせえ。……ほら、食え」

「私は遠慮します!コンビニのスイーツの方がいいです!」


希は確信した。

この男は放っておけば死ぬと。


【静寂の侵略】


その瞬間、周囲の音がすべて消えた。


川のせせらぎも、虫の声も、夜風も。


“自然の波長”が上書きされるように消失した。


隼人が立ち上がる。


瞳の奥にサファイアブルーの予兆。


(……空気が重いな。敵が近づいてるか?)


向こうから、真っ白な高級セダンが音もなく滑り込んできた。


車体は電子音を放ち、空間にグリッド線を投影している。


【完璧な家畜の降臨】


車から降りたのは、完璧なスリーピースの男。金森利一かなもり・りいち


整った髪、冷徹な眼差し。


隼人と希を一瞥し、実験サンプルを見るような目で眼鏡を押し上げた。


「……阿仁馬隼人。

登録番号から逸脱した興味深い『バグ』だ」


周囲には監視ドローンが浮遊し、鉄の規律を描いている。


『誰だテメエ?喧嘩でも売りに来たのか?』


「私は金森利一、極秘特務機関REAの監視官だ。」


「極秘特務機関だと…?

その割にはいきなりバラしてんじゃねえか。」


すると希が呆れたような顔でため息をつく。


(ハァ…どうして偉いさんってこんなバカばっかなの)


「むむ…私としたことが秘密を知られてしまうとは…!」


「だからテメエから……

まあいい、上級国民様が何の用だ?」


隼人の言葉に、利一は憐れむように微笑む。


「君たちには“ゴミ捨て場”に見えるのか。

私には、この世界は修復が必要な『壊れた回路』に見える。


人々は不確かな自由に怯え、本能というエラーに振り回されている。


私は、彼らを救いたいだけだ」


その言葉に隼人が怒りの表情で金森を睨みつける。


【黄金の檻の誘惑】


「大空君、報告ご苦労だった。

確かに彼は複数の前科を持つ社会不適合者。

この”世界のヒビ”の実験体として相応しい。」


希は少し得意げに


「でしょ?私の観察力ならこんなもんですよぉ♡」


金森は隼人を見下しながら再び口を開く。


「さあ、その実験体を捉えるのだ。

飢えも争いも迷いもない。


永遠に保証された安寧のために。

「君の言う『野生』は野蛮な生存競争だ。


だが私の『楽園』に入れば、幸福という名のプログラムを享受できる。


……希君、君の“契約者"としての実力を見せてやれ!」


希の肩が揺れた。


(…不思議とゾクゾクするわね、この感じ♡)


それは、彼女が求め続けた“闘争本能”だった。


【本能の拒絶】


「ハッ、笑わせんなよ」


隼人の低い笑いが利一の論理を切り裂く。


「役割? 効率?テメエの魂までシステムの一部にするのか?


お前が作ろうとしてるのは“天国”じゃねえ。


ただの巨大な“家畜の檻”だ」


隼人が踏み出すと、金森がニヤリと笑う。


「野蛮だな、阿仁馬。

だが規律に従わない個体にも活用法というものがある。」


「やってみろよ。

……ハク!」


隼人の右手に青い奔流。


ハクが実体化し、金森に牙を剥く。

だが利一は動かない。


希が手を掲げると巨大な翼を広げた様子のおかしい鳥が天から舞い降りる。


「なんだと…こいつは!? 」


隼人は希が霊獣を呼び出す姿を見て驚愕する。


実体化したそれは全てを飲み込まんとする狂鳥・ペリカンだ。


「これが私の霊獣です♡

そしてこの河川敷は…私の”アビリティ”が生きる場所♪」


ハクの足場が水に浸され足を取られる。


【見えない逃げ道】


動きの鈍ったハクの頭をペリカンの嘴が捉える。


「これであなたの”アビリティ”は封じました。

正面勝負だけが戦いじゃないんですよ♪」


頭を抑えられ攻撃も眷属召喚も封じられたハクの体にペリカンの蹴りが加えられ、ダメージが蓄積していく。


ぐったりと倒れ込むハクを見て隼人は笑った。


「……ハク、まさかこれで終わりじゃねえよな?」


希のペリカンが止めの一撃のために嘴を放す。


『……無論。勝利を確信した瞬間こそ敗北を呼ぶ。……今だ!』


クチバシから解放されると同時にハクの牙がペリカンの喉元に喰らいつく。


そのダメージは希にも伝わり、首に激痛が走る。


「……何ッ!?」


【迷子の始まり】


金森のセダンを巻き込んで破壊しながらハクと喰らいつき合うペリカン…


そしてついに希の精神力が付き、実体化が解かれる。


「…!私のセダンがあぁぁあ!!」


金森は取り乱しながらで希に言葉をかける。


「…キミのIQは重要なところで役に立たないようだな。


だが亜仁馬、貴様に逃げ道などない。

この世界は我々の手の内だ!」


金森はそう吐き捨てるとその場を去っていく。


一方、激しい戦いが繰り広げられた河川敷では


「はぁ、はぁ……やってくれましたね…

おかげで”いいバイト”をクビになっちゃいました!」


希は息を切らしながら隼人を睨む。


「うるせぇよ、喧嘩を売ってきたのはテメエだ。」


隼人はフードを深く被り、


「……で、REAってのは何なんだ?

話してもらうぞ。もう奴らに従う義理もねえだろ。」


「ええ…お陰様で。」


希は特務機関REAについて洗いざらいを隼人に話す。


難しいことはよくわからんが、

どうやら生命エネルギーの研究機関らしい。


「……それじゃ、案内してもらおうか。」


「は?あなた、正気ですか?」


「お礼参りってやつだ。

因縁つけられたまま終われるかよ。

それに、奴らの考え方が気に入らねえ。」


「あなた…今、国家を敵に回しましたよ?」


(しかしあのエリート目鏡、最後にまた”やらかし”ましたねぇ♡)


管理社会からの脱獄は、予想以上に険しく、そして迷走に満ちていた。

今回もここまで読んでいただきありがとうございました!


今回の話は、隼人の「野生」と金森の「管理社会」という価値観の衝突がメインでした。


自由と秩序。

本能と効率。


どちらにも理屈はありますが、隼人は「生きることそのもの」を重視し、金森は「安定した幸福」を重視しています。


……そんな真面目なテーマをやっている裏で、


・魚を炭にする主人公

・極秘組織を自分でバラす監視官

・戦闘中にハイテンションになる監視役

・ペリカンと狼が車ごと大乱闘


という大惨事が発生していました。


特に金森の高級セダンは犠牲になったのです(笑)


次回からは、いよいよREAの本拠地へ…!


国家規模の組織にケンカを売った隼人たちの明日はどっちだ。


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