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第2話:迷い猫と見えない翼

いつも読んでいただきありがとうございます!


前回、白狼ハクと契約を交わした隼人。


しかし世界の異変は収まるどころか、さらに深刻なものへと変貌していきます。


そして今回から新たな仲間候補も登場。


一見すると従順な「猫」

けれど、その奥には別の本能が眠っているようで……?


家畜脱獄第2話、どうぞお楽しみください!

【暴走するバグの残滓】


シラガミ…


もとい、ハクとの出会いから3日後…


世界の「ヒビ」は修復されるどころか、その裂け目から漏れ出した漆黒の霧が、街のあちこちに「異形」を形成し始めていた。


中央公園の入り口。 逃げ惑う人々を、身の丈3メートルを超える「黒い猛牛」が追い詰めていた。


だが、その姿は異質だった。


角の先端からはデジタルノイズが飛び散り、咆哮のたびに空間が歪む。


「あ……あ……」


地面にへたり込んだ大空希おおぞら・のぞみは震える手で顔を覆った。


猛牛の瞳は真っ赤に充血し、そこには動物の意思ではなく「破壊」というエラーコードが刻まれていた。


【優等生という名の檻】


希は、生まれてから一度も「柵」の外に出たことがなかった。


親が望む「おしとやかな娘」。


学校では「和を乱さない優等生」。


今は「安定した公務員」としての、退屈な毎日。


(思えば随分猫を被ってきましたねぇ…でも、これで♡)


首元には、彼女にしか見えない「デジタルの首輪」。


『cat-02:愛される猫(飼い主の意向に従うこと)』自由の象徴である猫でありながら、 実際は「最も不自由な家畜」のラベルだった。


猛牛が前脚でアスファルトを削り、突進の構えを見せる。


希は瞳を閉じ、計画の実行に移した。


【プロファイラーの介入】


「おい、女。目を開けろ。

死にたいなら止めねえが、そこにいられると邪魔だ。」聞き覚えのない声。


恐る恐る目を開けると、だらしないパーカー姿の男・亜仁馬隼人が立っていた。


「……隼人、さん?」


「なんで俺の名を知っている?

話は後だ。そいつの『性質』を読み違えるなよ」


隼人は猛牛を指差した。


「バッファローか…しかも暴走してやがる。

この匂い…左後ろ、45度。そこが『空白地帯』だ」


【狼のプロファイリング


隼人の視界には、猛牛のデータが透けて見えていた。


『TYPE: BUFFALO (WILD STRENGTH) / BUGGED』


『脆弱性:旋回半径の欠如、熱量への過剰反応』


ハク(シラガミという神格の名ではめんどくさいから普段はこう名乗るらしい)の嗅覚とリンクすることで見えるようになった情報…


敵の正体を知ることで支配から脱却するための武器。


「ハク、力を貸せ。こいつを”霊界”に送り返す!」


影から白い狼・ハクが現れる。


『……ハヤトよ。

あの小娘の内に眠る“鳥”の因子に気づいたか?

彼女はただの猫ではないぞ?』


恐怖に震える希の背後に、

一瞬だけ純白の「翼」の幻影が重なった。


野生解放リベレーション


猛牛が突進を開始。


だが隼人は動かない。


角が鼻先に触れる直前、右手を掲げるとハクが実体化する。


ハクは猛牛の突進を躱し翻弄する。


『この巨体…このままでは少々手こずるな』


ハクが遠吠えをあげると隼人の周囲に世界のヒビが集まり、7頭のオオカミが姿を現す。


ハクを含め8頭のオオカミは連携で猛牛を追い込み、世界の壁の向こう…


”霊界”へと追いやっていく。


【見えない翼の片鱗】


静寂が戻る。


「……助かった、のかしら?」


「さあな。首輪が少し緩んだだけだ。

……お前、さっき“飛ぼう”としてたぞ」


「えっ……?」


希が背中を振り返るが翼はない。


だが隼人と視線が合った瞬間、瞳の奥で何かが羽ばたいた。


(……やっぱりね♡

監視カメラをハッキングしてて正解でした)


【究極のギャップ】


「隼人さん、ありがとうございます!」


「…?なぜ俺の名を知っている?」


「そのうちわかりますよ♡

それより、これからどうするんですか?」


「俺はこれからこのふざけた世界で生きるための『拠点』を探す。」


格好良く歩き出す隼人。


……が、30メートルほどで急停止。


「……おい、女」


「はいっ?」


「……新宿駅はどっちだ。

さっきから同じビルを3回見てる」


真面目な顔で明後日の方向を指差していた。


【同行の契約】


希は吹き出した。


「アハハッ!逆ですよ、隼人さん!

完全な逆!」


「……チッ。この街の座標系がおかしいんだ」


「ふふ、じゃあ私が案内します♡

その代わり、私も連れて行ってください。

私もこの世界のヒビの正体が知りたいんです。」


隼人は頭を掻きながらも、瞳には希を受け入れる温かさが宿っていた。


「勝手にしろ。

ただし飯は自分で用意しろよ。

俺の作るもんは素材のままだ」


こうして方向音痴の「狼」と、翼を隠した「猫」は、不協和音を奏でながらも、真実の野生へと踏み出した。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


今回は新キャラクター「大空希」の登場回。


表向きは従順で穏やかな優等生ですが、実際にはかなり癖の強い人物です。


彼女が自分を「猫」だと思い込んでいる理由や、隼人が見た「翼」の正体については今後少しずつ明かされていきます。


また、今回初めて「BUGGED」と呼ばれる暴走個体との本格的な戦闘も描がきました。


これは通常の動物とは異なり、世界のヒビから漏れ出した異常データによって生まれた存在となります。


実は隼人、プロファイリング能力は高いのですが、地理感覚だけは壊滅的です。


敵の弱点は分かるのに駅への行き方は分からない。 そんな残念な主人公ですが、今後も温かく見守って下さい!


面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価、感想などいただけると励みになります!


それでは次回もよろしくお願いします!

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