3-2.なぜヘ短調なのか
さて、ここから楽曲解説していきます。
(※ 交響組曲『戦犯の孫』は実在しません。)
まず手始めに、なぜヘ短調(F moll)なのか。
偉そうに調性の理論について語る気はありません。ここまで語っといてなんですが、私はあんまり理論的なことは得意じゃないんです。
それなのになぜヘ短調なのか。
先に音階の話をします。
◆ドレミファソラシ
この7音階は皆さんもご存知かと思います。『サウンドオブミュージック』のドレミの歌みたいな。
このドレミファの呼称、イタリア語なんです。
クラシックは色んな呼称があるので、先にそこを整理しときますね。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ イタリア語
ハ ニ ホ ヘ ト イ ロ 日本語
C D E F G A H ドイツ語
要するに「ヘ短調」の「へ」は、ファ(F)のことを指します。
◆タイトルに「ヘ短調」とか付く意味
クラシックの曲(に限らず何でもなんですが)は、基準となる音の調を一個決めます。
何が分かりやすいかなぁ。
モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』が分かりやすいですかね。
あれはト長調なんですが、ソを基本にしています。
それから長調と短調の話。
音楽の授業では、こう習うと思います。
長調:明るい
短調:暗い
うーむ。
人の感情は二種類しかないのか、とツッコミを入れたくなります。
実際のところは長調でも不気味な曲もあるし、短調でも優しい曲もある。
でもとりあえず明るいか暗いかにしときましょうか。
これらを踏まえると、確かにモーツァルトのアイネクは明るいソを基本にした曲なので、ト長調になります。
そして交響組曲『戦犯の孫』の場合は、ファ(F)を基準にした暗い曲、ということです。
まあ、明るくはないわな。
ちなみに、タイトルにト長調とかヘ短調とかついているからって、一曲まるまる全部ト長調とかヘ短調とかってわけではないです。
調性はどういう感情にしたいか、が密接に関係しているので、曲の中で移り変わります。
でもタイトルの調が基本ですよ、という感じ。例えるなら本社が東京、支社が全国にある、みたいな。
◆交響組曲『戦犯の孫』がヘ(ファ F)を基準に置く理由
ドレミファソラシの音階には性格がある。
というのがクラシックのみならず、音楽やってる人には共通しているかなと思います。
私的には、
ドは、全てを支えるイメージ
レは、女性的
ソは、素朴な男性
ラは、解放的
ちなみに、ドソレラを例に挙げていますが、この4音はチェロ的には楽器を鳴らす上での基準音になります。
ソレラミ、とかもバイオリンの基準音ですね。
弦楽器的には、ドソレラミ、は羅針盤みたいなものです。
ではファ(F)は何か。
私的にファって安定しにくいイメージがあります。
個人的な技量の問題かもしれませんが、私の中でファの音は取りづらい。よく上ずりがちなのが私のファなんですが、思ったより低かったり。
でもオケで弾いてみても、チェロパートのファがやっぱり不安定なこと結構あるんですよね。みんな何も言わないけど、絶対ファへの苦手意識ありますよ、知らんけど。
でも、ファってなんか、息づかいというか空気というか、人が無防備のときに出る気の抜けた音というか、そんな印象があるんです。
ファだから、ふぁ〜ぁ、とか言ってるんじゃないですよ?
且つ、何かを切望しているような息遣いもある。
一番人間の弱い部分がファの音に近いんじゃないかと思うんです。
この不安定で弱く呼吸しながら、安定か他の何かを切望してやまない感じ。
これがブランカに近いんじゃないかなと思います。
『戦犯の孫』はブランカの話です。
つまりヘ短調。
なお、音階と調の話をしましたが、登場人物によってはそれぞれこういう音調かな、というのはまた別にあります。
次回その話をしましょう。




