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          4 慈愛

 僕とマリエールは伯爵にワイバーン討伐を指示された。僕はワイバーン討伐は我々には無理だ思った。でもマリエールは慈愛の籠る瞳でこれを了承した。

            4  慈愛


 時々マリエールは慈愛に満ちた笑顔で僕を見つめることがある。討伐を完了した時、僕に何か頼む時。そんな時僕は幸せを感じる。しかしこのマリエールの慈愛に満ちた笑顔は僕にだけ向けられるのではない。そしてそんな笑顔を向けられたものはマリエールの虜になる。

 その時もそうだった。2人は伯爵に呼ばれた。

「北の街道にワイバーンが巣食っておる。冒険者では歯が立たなかった。お前達に行って欲しい。」

僕達にはワイバーンは無理だと思った。アレンとマリエールがオークやゴブリンと安全に戦えられるのは彼らが手が出せない上空から魔法を放っているからだ。僕達が強いわけではない。僕はマリエールだけは守らなければならないと思った。

「伯爵様、私だけにお命じ下さい。お嬢様には無理です。」

伯爵は苦い顔をした。マリエールは慈愛に満ちた笑顔で僕を見た。

「アレンありがとう。気持ちは嬉しいわ。でもこの命令は、私とあなたに出されたものよ。あなただけ行かせることは出来ないわ。」

拒否を許さない慈愛の眼差し。

 僕達は北の街道のワイバーンの元に向かった。ワイバーンは4羽厳しい戦いになりそうだ。僕は、

「マリエール、きみはここから遠距離魔法で支援してくれ。絶対に前に出るな。」

僕は強い口調でマリエール告げた。マリエールは頷いた。

 僕はアイスクルランスを放った。2羽が串刺しになった。2羽が上空に羽ばたいた。僕も上空に羽ばたいて貫通魔法を放った。マリエールも同様に放った。遠距離からの貫通魔法では効かない。僕は2羽に切り掛った。1羽の首筋に僅かに傷がついた。僕は近距離から貫通魔法を放った。1羽が墜落した。それを確認した僕の肩口に強烈な痛みが走った。ワイバーンのくちばしが僕の肩口を貫いたのだ。

「マリエール、逃げろ。」

と言う僕の叫びは無視され、マリエールは接近してワイバーンに貫通魔法を放った。僕の記憶はそれまでだ。

 再び僕が目を覚ましたのはふわふわのベットの上だ。隣に何故かマリエールが寝ている。自分の願望が実ったのか、いや夢か、それともまた死んで幻を見ているのか。僕は美しいマリエールの寝顔に魅入っていた。目を覚ましたマリエールは、

「あら、私寝込んでしまったのね。生死を彷徨うあなたを置いて。生死を彷徨う状態では回復魔法は意味がないとお医者様は仰ったわ。でも今なら私の回復魔法はあなたを癒すわ。」

マリエールは詠唱を始めた。

「我等が神よ。我が願いを叶えたまえ。我が願いはアレンを癒す回復魔法。ハイフィール。」

アレンの傷は癒やされた。

 それから一週間、アレンはベットの中に居た。マリエールがアレンのオムツを替えると言うが流石にそれは断った。寝ている間マリエールがアレンのオムツを替えていたと聞いて赤面した。一週間の間にアレンとマリエールは色々話した。アレンが死んだら自分も死のうと思ったとマリエールは言った。アレンはマリエールに自分よりももっと相応しい人を見付けて幸せになるべきだと言った。すれ違うばかりだ。

 やはりワイバーン討伐は厳しかった。4匹の内3匹は討伐出来たが、最後1匹にやられた。僕は瀕死の状況に陥った。

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