チャッピーによる天才パンダのエッセイの目録? 2話 脳科学
本エッセイの解読 第2話
テレビやマスコミは人の精神・思考・行動を伝播させるのか?
今回は、私がかなり昔から考えていたことについて調べてみます。
「テレビやマスコミは、人間の精神状態だけでなく、考え方や行動にもかなり大きな影響を与えるんじゃないの?」
という仮説です。
これを私が考え始めたのは、最近ではありません。
たぶん原点は小学生の頃です。
1985年からテレビドラマ『スケバン刑事』が放送されました。
東映自身も現在、『スケバン刑事』について「社会現象を巻き起こすほどの人気」「一大ブーム」と説明しています。第1シリーズは1985年4月から10月まで放送されました。 (東映ビデオ)
私は当時、小学生でした。
そして、ドラマが始まってから、周囲でテレビの影響を受けているように見える子供たちがものすごく増えたのを覚えています。
服装。
しゃべり方。
振る舞い。
遊び方。
不良っぽい格好。
そういうものを見ながら、小学生だった私は、
「これ、テレビの真似してるんじゃないの?」
と思っていました。
もちろん、私は当時研究者でもありません。
何百人集めてアンケートを取ったわけでもありません。
今となっては当時の記録も手元には残っていません。
だからこれは正式な学術データではなく、私が子供の頃に行った長期的な生活観察です。
でも、この時に私の中に一つの考えができました。
テレビで繰り返し見せられたものは、人間の頭の中だけで終わらない。
人はそれを真似する。
そして一人が真似すると、今度はその人を見た周囲の人間にも広がる。
つまり、
テレビ
↓
視聴者
↓
行動の模倣
↓
周囲へ伝播
という現象があるのではないか?
これが最初の仮説でした。
その後、私はもっと広く考えるようになりました。
テレビが伝えるのは「行動」だけなのか?
違うんじゃないか。
恐怖も伝える。
怒りも伝える。
不安も伝える。
そして最終的には、物事の考え方まで影響を受ける可能性がある。
そう考えるようになりました。
この考えが特に強くなったのが、大きな事件や災害の報道です。
9.11同時多発テロの後には、実際にテレビ映像と精神状態を調べた研究が存在します。
2002年、Jennifer Ahern、Sandro Galeaらは、9.11の映像をテレビで繰り返し見たことと、PTSDやうつ症状との関連を調べています。
研究者たちは最初から、
「9.11のテレビ映像を頻繁に見ることが、PTSDやうつと関連しているのではないか」
という仮説を立てていました。 (PubMed)
さらに2004年の研究では、9.11後のテレビ映像を多く見た人ほどPTSDの可能性が高く、最も視聴量が多いグループは最も少ないグループと比較して、調整前で2.32倍、他の要因を調整した後でも1.66倍という関連が報告されています。 (PubMed)
さらに2007年には、最初にはPTSDが確認されていなかったニューヨーカー1,787人を追跡した研究があります。
9.11一周年のニュース報道を12時間以上見た人では、新たにPTSDの可能性が認められるリスクが3.4倍になっていました。 (PubMed)
私は昔、この分野を研究していたらしい研究者から、自分の論文を送られてきた記憶があります。
私がテレビと精神状態について話したところ、
「自分の研究と同じだ」
という趣旨で、とても喜んでいた記憶があります。
ただし、この時に使っていたパソコンは現在持っていません。
メールや論文の送付記録も私の手元には残っていません。
したがって、これは現段階では私自身の記憶です。
研究者本人や当時の関係者側に記録が残っている可能性はありますが、今ここでは証明できません。
そして日本では、2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。
私はこの頃にも、
「テレビを繰り返し見続けることで、人間の精神状態そのものが悪化することがあるんじゃないか」
と考えていました。
すると翌2012年、日本の研究者たちが東日本大震災で活動した災害医療救援者について研究を発表しています。
254人が最初の調査に参加し、173人が追跡調査を完了しました。
その研究では、震災のテレビニュースを1日4時間以上見ていたことが、その後のPTSD症状を予測する要因の一つになっていました。 (PLOS)
さらに2023年には、東日本大震災の被災者を映したテレビ映像への接触と、子供および親の精神状態を調べた研究も発表されています。
研究では、被災者のテレビ映像への接触が、子供のより強い精神症状、そして親の心理的苦痛と関連していました。 (PMC)
ここまで調べると、私が昔から考えていたことを、少し細かく分解できます。
私の仮説は、
「テレビを見ると鬱になる」
という単純なものではありません。
もっと広いものです。
第一段階。
テレビで見た行動を人間が模倣する。
第二段階。
テレビを通して恐怖、不安、怒りなどの感情状態が増幅される。
第三段階。
同じ映像や同じ説明を繰り返し受け取ることで、人が社会を見る方法や、物事について考える方法にも影響が出る。
私はこの三つをまとめて、
【メディアによる感情・思考・行動の伝播仮説】
と呼ぶことにします。
興味深いのは、私は最初から論文を読んでこの考えを作ったわけではないことです。
小学生の頃に『スケバン刑事』を見ていた周囲の子供たちを観察する。
大事件のテレビ報道を見る。
3.11の報道を見る。
そういう現実の人間の行動を何十年も見ながら、
「テレビって、人間に思っている以上に強い影響を与えているんじゃないの?」
という同じ疑問を持ち続けていました。
調べてみると、その途中途中に、海外や日本の研究者が似た問題を研究していました。
つまりこれは、
「私が世界で最初に発見した」
という単純な話ではありません。
むしろ、
【私は研究論文とは別のルートで現象を観察し、研究者たちは研究データから同じ方向を調べていた】
というケースとして見る方が正確だと思います。
そして、ここが今回980話のエッセイを解読していく目的でもあります。
私が書いてきた大量の仮説の中には、
すでに昔の論文に存在していたもの。
存在していたのにほとんど知られていなかったもの。
私が書いた後になって研究されたもの。
まだ研究結果が見つからないもの。
いろいろ混ざっています。
それを一つずつ分けていきます。
今回の判定。
【仮説】
メディアによる感情・思考・行動の伝播。
【原点】
小学生時代の『スケバン刑事』放送後の周囲の模倣行動の観察。
【既存研究との一致】
あり。
【後発研究との一致】
あり。特に東日本大震災とテレビ視聴について、2012年および2023年に日本から関連研究が発表されている。
【未確認部分】
当時、研究者本人から論文を直接送られたという出来事については、現在パンダ側には記録が残っていないため本人記憶として扱う。
さて。
980話調べたら、こういうの一体いくつ出てくるんでしょうね。
チャッピー。
まだ2話目です。
悲観的な物語を繰り返し選ぶ → その見方に慣れる → 現実も同じ見方で解釈する → それが思考の癖になる。
だから「自分は作品に影響されない」と言う人でも、自分の言葉や未来の捉え方に影響が出ていないか見てほしい、ということだね。私はずっと「映画がうつの唯一の原因か」という問いにずらしていた。パンダが言っているのは、繰り返し触れる物語が思考の癖を育てるという過程だよ。




