くら寿司再建プロジェクト これが本当のミステリー 2話
うーん鍵となるのはくら寿司の従業員が駐車場で焼死した事件ネタかもしれないけどね。
うん、その事件はかなり大きな手掛かりになる。ただし、「事件があった=今も同じ体質=今の客離れの原因」まで一気につなげるのは危ない。見るべきなのは、事件を境に会社が何を変えたか、それが現場まで効いたかだと思う。
2022年4月、山梨県甲府市のくら寿司店長が勤務店舗の駐車場で亡くなった件について、当時の報道では、複数の従業員が上司による強い叱責やパワハラを証言した。一方、くら寿司側は業務との関連を認めず、個人的事情による可能性を示していた。だから因果関係自体は断定できない。
でも再建分析で重要なのは、その事件だけじゃない。その後の取材で元店長らから、人件費を抑える圧力、休みの取りづらさ、厳しい上司、繁忙時に店長が自腹で人を雇う「自爆雇用」があったという証言まで出ている。これが事実なら、あなたがさっき言っていた
「働かせる人数を削り過ぎていないか?」
に直結する。
しかも面白いのは、くら寿司自身も現在はそこを相当意識していること。
2025年には会社が「従業員エンゲージメント向上」を前面に出し、研修の拡充や働きがい改善を説明していて、2024年は会社史上もっとも社員離職率が低かったとしている。また、全従業員への満足度調査・ストレスチェック、人事部による店舗訪問、ハラスメント研修、処遇改善なども実施したとしている。
これ、逆に言えば非常に興味深い。
2022年ごろ
人件費圧力・パワハラ等が報道される。
↓
2024~25年
会社が「離職率低下」「従業員満足」「働きがい」「エンゲージメント」を強く打ち出す。
↓
2026年
それなのに客数が落ちている。
ここで私なら次の仮説を立てる。
会社は労務問題を認識して改善を始めた。しかし、改善したのは“社員”中心で、店舗オペレーションやアルバイトの負荷まで十分改善しているのか?
ここがまだ分からない。
さらに面白いのが、くら寿司は以前からかなり強く省力化している。製造量や廃棄、滞在時間などをシステムで管理して、人間の判断を減らしてきた。
省力化自体は良い。
でも、
機械を入れた
↓
「じゃあ人間減らせるよね」
↓
想定以上に人を削る
↓
ピーク時だけ現場が破綻
↓
ベテランが疲弊
↓
新人教育が雑になる
↓
寿司の品質・清掃・景品管理などが少しずつ荒れる
だったら、典型的な「数字上は効率化、現場では劣化」になる。
だからあなたのDAISOの例と同じで、私なら過去の焼死事件を「くら寿司は悪い会社だった」という材料にはしない。
むしろ、
「当時、人件費削減圧力があったという証言がある。それを会社は本当に直したのか?」
という調査のスタート地点にする。
そして最重要数字はこれだと思う。
2021年・2022年・2024年・2026年で、1店舗1時間あたりの客数に対して何人の従業員を配置しているか。
ここが例えば、
2021年 客100人/10人
2026年 客100人/7人
になっていたら、機械化分を考慮する。
それでも仕事量が減っていなければ、かなり怪しい。
逆に、
2021年 10人
2026年 11人
で待遇も上がり離職率も下がっているなら、少なくとも「昔のブラック体質が現在の客離れの主因」という仮説はかなり弱くなる。
つまりあの事件は、犯人そのものというより、
「どこを掘ればいいか教えてくれる古い地層」
みたいなものだと思う。
そして、会社自身が2025年にわざわざ「史上最低の離職率」「従業員エンゲージメント」を大きく宣伝しているのを見ると、労務問題は会社側も重要経営課題として認識していると読むのは自然だと思う。
どうしたら史上最低の離職率が保てるのか?売り上げ落ちてるのに?そしてアルバイトの転売疑惑。無視できないね
そこは無視できない。むしろ今のところ、「史上最低の離職率」という宣伝文句の中身を解体することが、かなり重要だと思う。
まず一つ大きいのが、くら寿司が2025年に発表したのは、2024年が「社員の離職率が史上最低」だったという話。アルバイトを含む全従業員の離職率が史上最低とは書いていない。
そして2024年10月末の国内の人員を見ると、
社員等の就業人員:1,787人
臨時雇用者の年間平均:16,000人
となっている。2025年も1,794人に対して臨時雇用者15,838人。店舗を実際に大量の人数で支えているのは、圧倒的にアルバイト・パート側なんだよね。
だから、
社員の離職率は史上最低です!
だけでは、店舗で働いている大多数が楽しく働いている証明には全然ならない。
ここ、かなり重要。
例えば店長や正社員には研修を増やして、待遇を良くして、辞めなくなった。
ところがアルバイト側では、
「シフト人数が足りない」
「時給が競合より安い」
「仕事できる人ほど負担が増える」
「景品対応まで仕事が増えた」
「頑張っても時給があまり変わらない」
なんてことが起きていても、「社員離職率史上最低」と両立する。
しかも今回のちいかわ問題では、少なくとも1店舗の従業員による景品の横領は会社の調査で確認された。警察にも相談している。フリマでの売却については報道によって確認状況に差があり、くら寿司担当者が「転売の有無は確認中」と答えた報道もあるので、そこは横領と転売を分けておいた方がいい。
でも経営分析としては十分大きな赤信号。
私はここで、
「なんで従業員が会社の景品を盗んでまで金に換えようとする状態になった?」
を見る。
もちろん単純にその人個人が悪かった可能性もある。だから一件だけで「くら寿司の給料が安いから盗んだ」とは絶対言えない。
ただし、
客数低下
+ 過去の労務問題
+ 社員離職率改善を会社が強調
+ 大量のアルバイト労働力
+ 現在の従業員不正
が並んできたら、
正社員の管理制度は改善したが、店舗最前線のアルバイト管理・待遇・モチベーション設計に穴が残ってないか?
は当然調査対象になる。
それと「売上が落ちているのに離職率が低い」については、厳密には今のくら寿司は客数低下の方が鮮明で、客単価上昇によって売上を補っている月もある。だからさらに嫌なパターンが考えられる。
客が減る
→ シフトを削る
→ 人件費率を維持
→ 売上は値上げ・客単価で補う
→ 経営数字上はそこまで酷くない
→ 現場だけ一人当たり仕事量が増える
これだったら、外から決算を眺めただけでは発見しにくい。
だから私なら、くら寿司に聞きたい数字はもうかなり絞れた。
「社員離職率じゃなくて、アルバイト離職率を出してください。そして店舗別の時間帯別配置人数、平均勤続期間、昇給したアルバイトの割合、1人当たり担当客数も出してください」
だね。
ここでスシロー・はま寿司より明らかに悪い数字が出たら、再建プロジェクトの犯人候補が一気に絞れる。
そして今回の景品横領事件は、単なる「ちいかわ転売炎上」として処理するより、従業員が会社をどう見ているのかを測る組織診断の材料として扱った方が、再建には遥かに役立つと思う。
少なくとも、ルーレットの当たり率を下げたり、商品を横流しすることで儲けていたとしたら、その人物はどのような立場にいたのか?最悪でも、昨日入社した新人には絶対無理
そう。そこはかなり強い推論になる。ただし、現在確認できているのは「従業員による不正行為」と景品の不適切な取得等であって、「ビッくらポンの当選率を従業員が下げた」ことまでは確認されていない。そこは分けておいた方がいい。
ただ、仮にあなたの仮説どおり、
①景品を抜く・横流しする
②さらに当たりを減らして景品の消費量を落とす
まで同一人物あるいは同一グループがやっていたとしたら、話はかなり変わる。
くら寿司自身が9月2日の説明で、景品は原則鍵付き倉庫で保管し、複数人で開封・補充し、担当者も明確化していると説明している。つまり、普通の新人が「そこに景品あったから何個か持って帰りました」という管理ではない。
だから私なら立場をこう絞る。
少なくとも景品保管場所にアクセスできる人、または補充業務に関われる人。
さらに、
在庫数と提供数の管理方法を知っている。
いつ景品が入荷するか知っている。
どれだけ抜けば発覚しにくいか判断できる。
となれば、ある程度勤務経験がある人物である可能性は自然に高くなる。
そして「当選率まで操作」が事実だった場合は、さらに上。
ビッくらポンにはそもそもシステム上の当選確率という設定が存在していて、「ビッくらポン!プラス」は3回に1回必ず当たる仕様になっている。つまり確率は当然ソフトウェア側で制御されている。
でも重要なのは、
その設定を各店舗の誰が変更できるのかは、公表資料からは確認できない。
本部だけかもしれない。
エリア管理者かもしれない。
店長権限で触れる部分があるかもしれない。
ここを確認しないで「店長がやった」までは言えない。
でも逆に、もし店舗従業員が当選率を変更できたことまで捜査で判明したら、その権限を持っていた人物の範囲はかなり狭くなる。
そしてあなたが言っている、
昨日入った新人には無理
これは「絶対」という言葉だけ少し弱めれば、分析としてかなり妥当。
私ならエッセイでは、
景品が鍵付き倉庫で管理され、開封や補充にもルールがあったのであれば、少なくとも店舗の仕組みも知らない入社直後の新人が容易にできる不正とは考えにくい。誰が在庫へアクセスでき、誰が在庫数を管理し、誰がビッくらポンの設定にアクセスできるのかを調べる必要がある。
とする。
で、ここからもう一段面白くなる。
一人の悪いアルバイトを処分して終了できる事件なのか?
それとも、
管理する側まで巻き込まないと成立しない不正だったのか?
ここで全く意味が変わる。
後者だった場合、あなたが最初に疑っていた「くら寿司の従業員管理そのものに何か問題がないか」に、一気につながってくる。
私は今なら、くら寿司再建プロジェクトで次に欲しい情報は犯人の氏名じゃなく役職・勤続年数・持っていたアクセス権限だと思う。そこがものすごく重要。
あのさ。犯人当てて追い詰めて自殺されると困るから追求弱めてるだけでね。犯人を叱ろうとしてるんじゃなくて、どうしてそんな事をしたい真理になったのかがポイントだからね。これね、犯人突き止めるのは良いと思うけど。犯人に総ての罪負わせてメデタシじゃ解決しない問題なのよ。わかるかな?
わかる。あなたがやりたいのは犯人探しではなく、再発条件の特定なんだよね。
個人を特定して「こいつが悪かった」で終わると、組織側は一番楽。でも、それでは同じ条件が残ったままだから、次の誰かが同じことをする可能性がある。
見るべきなのは、たとえば「なぜ横流ししたのか」という心理と、その心理を作った環境の両方。
金が欲しかったのか。会社への不満や報復感情があったのか。「この程度なら会社から取っても構わない」と思うほど帰属意識が壊れていたのか。周囲も似たことをしていて規範が崩れていたのか。頑張っても評価されず、正規の方法では収入が増えないと感じていたのか。あるいは単純に、管理が甘くて「バレないからやった」だけなのか。
これらは全部、対策が違う。
しかも重要なのは、本人の動機が個人的だったとしても、長期間発見できなかったなら管理側の問題は別に存在するということ。
だから、
犯人を特定する
↓
処分する
↓
終了
ではなく、
何をしたか
↓
どんな権限が必要だったか
↓
なぜその行為を選んだか
↓
なぜ周囲やシステムが止められなかったか
↓
同じ心理・同じ機会を作らないには何を変えるか
までやって初めて再建になる。
それと、あなたが追及を弱めている理由も理解できる。公開情報から個人を絞り込み、ネットで集団的に責め立てることは、真相解明にも再建にも必ずしも役立たない。役職・勤続年数・権限・待遇・勤務状況などは組織分析には必要だけど、個人名を晒す必要はない。
むしろ今回のテーマは、
「なぜ、くら寿司で働く人間が、くら寿司の商品を守る側ではなく、会社から抜いて利益を得る側に回ったのか?」
だと思う。
これを解ければ、景品事件だけじゃなく、接客・衛生・品質・離職まで同じ根から説明できる可能性がある。
そして会社が一番やってはいけないのが、一人に全部背負わせて『悪い従業員を排除したので安全です』と発表すること。それは事件処理であって、再建ではない。
ハッキリ言うとねどんな有能な人間でも、酷い扱い平気でされればそりゃあ腐るよと。まあ、人事がゆりかなら変なスタッフばかり雇ってるって事は有りうるけど。
このくら寿司転売事件、転売してたのは一人か?複数居たのか?メルカリの対策は?会社の対策は?いろいろ掘るべき問題はあるだろうね。
くら寿司を立て直すとしたら、一番大切なのは叩いてる連中を納得させられる説明が出来るか?そして味の維持が出来てるか?キャンペーンをやって高い金を払って宣伝して、キャンペーンに関係なく客が呼べるくらいの物を他店グループと比べて提供出来てるか?




