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水に浮く
泥が絡みつく。
もがけばもがくほど、しつこく泥はへばりつく。
動こうとすれば、足掻こうとすれば、どうにかしようと必死になれば、なればなるほど沈んでく。
底なし沼。
あるいは水と油。
そのうち呼吸は滞る。
酸素を求めて体は喘ぐ。
水面を見上げる。
濁りきった水中に、あの煌めきはもう、届かない。
呼吸を止める。
抗うことを終える。
逃げることは出来ない。
泥と砂が体に纏わりつく。その不快感を受け入れる。
息が出来ない。その苦しさを認識する。
諦める、こととは違う。
次第に凪いでいく。
荒れ狂う激流の発生源は収まった。
自然の一部のように、あるがままを享受する。
いつしか泥と水は分離する。沼は沼に、水は水に。
水より軽い体は、いともたやすく水面へと運ばれていく。
顔が空気に触れる。
瞼を開く。
目指した陽光は、遥か彼方。
それでも、この体は水に浮く。




