これって萌えてもいいですか?
「……レオルフだ」
律儀に答えてくれた。
レオン《獅子》かウルフ《狼》、どっちなんだ。
「レオルフさん」
「なんだ」
「さっきの何でしょうね」
「……知らん」
「レオルフさん」
「なんだ」
「私、これからどうしましょうかね」
「…………知らん」
体はこっちを向いてるのに、そのつぶらな瞳はどこを見ているのかな、レオルフさん。
「と、とりあえず、行くか」
「どこにですか」
「国王様のところ、に」
「……」
まじですか。
無言でじっと見つめていたら、見つめ返された。
「……」
「……行けばいいんでしょう、行けば。 どこへでも行きますよ」
あんまり良い予感はしないけど。
「恩に着る」
「なら守ってくださいね」
何からとは言わず。
誰からとも言わず。
漠然と、守れと口にする私。
これからのことで、何がどうなるかなんて予想のつかない事態に、少しでもいいから保証がほしくて。
「もちろんだとも」
感じている不安を全て、目の前のレオルフさんにぶつけてしまったのに。
笑って任せろという。
「安心しておけ」
強いから、と。
何も知らない世界に呼ばれてしまった私は、ずるく縋るしかないと、理解してくれて。
「大丈夫だから」
手を差し伸べてくれる。
「任せろ」
だから私は、
「萌え」
萌えた。
これは、異世界トリップした女性の物語なのか。
それとも、異世界トリップした先で出会った獣人に萌える女性の物語なのか……。
皆さんの判断に任せたいと思います。
短い間でしたが、ご覧いただきありがとうございましたm(__)m