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side暗殺者 危うい結婚

 うちバレンシア家は表向き名門貴族だけど、裏の顔と言うか本業は暗殺家業。

 それも、王家公認のね。

 先祖代々親しい付き合いのある王家だけはうちの真実を知っていて、うちもうちで王家から密かに暗殺依頼を受ける見返りとして度々便宜を図ってもらっている。勿論うちの家業は王家も秘密にしてくれているわ。世間にバレたらうちの一族から報復に暗殺されるか共倒れだから、そりゃあ口も堅くなるわよね。ホホホ。


 あたしは今回王家から受けた仕事の一環として、とある男との政略結婚なるものをすることになった。


 男は世間に広く名の知れた大貴族で、家格はうちよりも上。

 侯爵位のうちだって決して侮られる家じゃないけど、男は何てったって若き大公様なんだもの。


 ブラッドリー大公家は王家の家臣ではあるものの、その領地の独立性は他の貴族の比じゃない。広大な上に軍事力も強大で、見方によっては大公領だけで一国と捉えることもできるのよね。


 まっ、王家はそれを認めてないんだけど。だって国だなんて認めたら面目丸潰れだもの。大公家はこの国最強と言われる軍隊を有している以前に統治者としても優秀なようだから。歴代の大公が野心家じゃなかったのはこの国にとってはホント救いよね。そんなわけで王家にとって大公家は昔から目の上のたんこぶみたいなものらしいわ。


 それで、あたしの結婚の目的はその結婚相手つまりは現ブラッドリー大公の暗殺。


 そうなの、政略結婚の利点は確かにあるんだけど、そんなものは端から求めていないのよ。

 任務完了した暁にはあたしが大公領を牛耳って、王家に有利なように統治するって流れみたい。


 …………。


 はああ~~? ざっけんな! 大人しく未亡人なんてやってられるか。大公家とはさっさと離縁して一旦実家に帰るに決まってるでしょ。それから暗殺者は引退して家から独立してどこかの誰かと大恋愛するわ。

 あたしは小さなおんボロ家に住もうとも、最愛の旦那様となら幸せよ。一度きりの人生なんだもの、小さい頃からの夢でもあるロマンチックな恋がしたい。


 そんなわけで、結婚式当日まで写真でしか顔を知らなかった新郎大公と並んで式に臨んだわけなんだけど、超絶予想外なことが起きた。


 生大公様は、えっっっらい男前だった。


 あの少しピントの合ってないぼけた写真はわざと冴えない男風に加工したのってくらいに天と地よ。


 全身の色気半端な~っ。服を着ていてもセクシーさが隠せてないっっ。あともう顔が好き過ぎるっっっ。好みど真ん中っっっっ。


 ええーん勿体ないっ。こんなイケメンを殺さないとならないなんてーっ! こんな巡り合わせにした神様が憎い~っ!


 好き過ぎるこの顔っっ! ああもうどうしよう~……と、まあ人生最大のトラブルが起きたってわけなのよ。


 生まれてこの方二十と一年、暗殺者として生きてきて初めての任務失敗になるかもしれないわ。

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