四話 スパダリヒロインを目指します
意識を失った私は、不思議な夢を見ていた。
____いえ、夢というには妙にリアリティがある……そんな不思議な記憶が、頭の中を駆け巡っていたのだ。
まるで、他の誰かの人生を追体験しているような……そんな感覚。
____いいえ、誰かなんかじゃない。きっと、これは私の前世だ。
どうしてかわからないけど、そんな自信があった。
『今日も仕事疲れたな〜』
『よし、今日も寝落ちするまでプレイしてやるぞ〜!』
夢の中の「私」がそう言って取り出したのは、【イケメンだって愛されたい♡】という……女攻めの乙女ゲームだった。
前世の「私」がそのゲームを進めていくうちに、どんどん「私」とフィオレリアが同化していくのがわかる。
そういえば、前世の「私」はとにかくイケメンを溺愛するのが好きで……。
女攻めのゲームや漫画を読んでは、『いつかは私もこんな風になるんだ!』と意気込んでいたんだっけ。
懐かしい気持ちが湧き上がるのと同時に、私はハッとした。
____そうよ、前世の私は、白馬の王子様を待っているような淑女じゃなかった。
小説の中のような奇跡を大人しく待ってなんかいられない、そんな女性だった。
愛も幸せも、自分自身で掴みに行くのよ。
「だから……今世では私が、スパダリヒロインになってやるわ!」
…………私が夢の中でそう叫んだ瞬間、前世の私が『やればできるじゃないの』と笑ったような気がした。




