第9話 魔法薬剤師
母さまの見舞いを終えた僕は部屋に戻り、気になることがあったのでエリナさん達に聞いてみる事にした。
「エリナさん、ナエリさん」
「はい、ここに」「はい、ここに~」
う~ん、相変わらず気配は感じなかった。僕は色々未熟者なんだな。
「あのさ、母さまの症状って治療薬とかあるのかな?」
「えぇ、ありますよ。先日中央に住んでいる魔法薬剤師の方に治療薬を処方して頂いてますから、定期的に飲めば回復されます」
「そっか、それじゃ心配は無いんだ」
安心した。魔力薬剤師なんて人がこの世界には居るんだ…
魔法のある世界なんだからよく考えてみたら当たり前の事なのかもしれないな。
「それでさ、治療薬ってどうやって作るか知ってる?」
「えぇ、一応…ですけれども。まずはウィンディア様自身から血を分けて頂きます」
「血を?」
「はい。血は生命の泉。血液の中にも魔力は宿っています。まずはウィンディア様自身の魔力を知らなければいけませんから」
そっか、だから怪我をすると魔力も減るし、魔力を持っている生物、即ち魔物の血は色んな魔法の触媒にもなったりする…だったかな?
「そして、予め調合しておいた高濃度の魔力を宿した液体をウィンディア様の魔力と同質になるように変換させて薬として飲んで頂くのです」
あぁ、個人個人で魔力の資質が違うから態々一人一人に合わせて魔力を変換させないといけないのか。
「そっかぁ、結構手間がかかるんだね」
「えぇ、魔力液の調合も専門の知識が必要な上、魔力の変換も魔法の行使よりもさらに厳密に行う必要がありますし、魔法薬の調合が出来る方は貴重な人材ですね」
「因みにですけど~、同一の魔力資質の人間同士ならお薬に頼らなくても補給できるんですよ~?」
「同一の?あっ、ナエリさんとエリナさんみたいな関係かな?」
「はい~正解です~。私もこの素敵に残念な姉でしたら魔力を変換せずとも、直接相手に魔力を送ることで補給することが出来るんですよ~。
恐らくですけど血を飲んでも回復出来るかもしれませんね~。特に必要無いですからやったことは無いですけど~」
素敵に残念…。
う~ん、魔力の回復は同一資質だけかぁ
などと考えながらふと自分の魔力に思いを馳せる
僕の魔力は他人の魔力を吸収して回復する。
て事はもしかしたら逆に僕の魔力をどうにかすれば他の人間の魔力を回復出来るんじゃないかな…?
でも直接魔力を送っても相手の魔力を吸い取っちゃうだけだし、血を飲むなんてもっての他だよね。
「う~ん」
「どうかなさいましたか?」
「僕の血を使って回復薬を作れないかな~って」
「坊ちゃまの血を!?飲めるのですか!?」
なんでそんな事に反応するの!?
「いや、直接飲んだら危ないかもしれないから、ちゃんと薬剤師に研究してもらおうかな~って」
「坊ちゃまの血をどこの馬の骨ともしれない女に触らせるのですか!?」
「どこの馬の骨って…。一応母さまを助けてくれた薬剤師さんに頼んでもらおうかなって思ってるけど…」
エリナさんはどうやら反対みたいだ。
確かに僕の魔力を知らない人に濫りに触らせるのも危険かもな~。
「薬剤師ならこの屋敷にもいらっしゃいますよ~。でもどうしていきなり血を回復薬になんておっしゃるんですか~?」
「うぇ!?ホント?」
「はい~。と言ってもウィンディア様のことですけど~。ディア様ってホント多才ですね~」
母さまは魔法式や魔方陣の研究をしてる人らしい。
魔法薬の調合も出来るのかぁ。
「う~ん。じゃあ母さまが元気になられてから頼んでみるよ。
でね、僕の魔力ってどんな人の魔力でも吸って自分の物に出来るじゃない?だから何とかすれば逆に僕の魔力を他人に与える事もできるんじゃないかな~って…」
「なるほど~。坊ちゃまの魔力は特別製ですからね~。やってみないと解らない事がいっぱいありますよねぇ。」
「で、では、まずは試しにわたくしが坊ちゃまの血を飲むということでっ!」
エリナさんの目が少し怖い…
「いや、だから僕の魔力資質から言ってそれは危ないと思うんだよね」
「というと?」
「ほら、もしかすると僕の血を飲んだら、体中を僕の魔力が駆け巡って」
「ぼ、坊ちゃまのがわたくしの中を駆け巡って!?」
「どんどんエリナさんの体内の魔力をどんどん食い破って」
「坊ちゃまのがわたくしの胎内を食い破る!?」
「もしかするとエリナさんまで魔力欠乏症になったり、最悪“黒”に飲み込まれるかもしれないんだよ?」
「わたくしが坊ちゃまに飲み込まれる!?」
…これで僕の恐れている事が解ったと思うんだけど。
エリナさんは顔を赤くして恐れ戦いている…赤くして??
「わたくし、わたくしに坊ちゃまはまだ早いと解りましたわ」
「そっか、ちょっと言ってる意味が解らないけどとにかく解ってくれてありがとう」
「こちらこそありがとう御座いました」
どうやらエリナさんにも僕の心配が伝わったようだ
ただ、
「いや~、天然って恐ろしいですね~」
「うん?そうだね恐ろしいね」
隣のナエリさんの遠くを見るような目が印象的だった。
「この作品をお気に入りに登録したのはだれだぁ!?」
と、作者脳内に住んでいる海原雄山(うみはら Uさん)が申しておりますが、彼はツンデレなので、実は踊り狂うほど喜んでいます。
本体の作者も踊り狂って机の角に小指をぶつけました
ともかく、1人でもいらっしゃるのは正直ビックリしました。お付き合い下さり本当にありがとうございます!!
しかし、本編のストックは無いので明日(7/26)は更新出来そうにありません
申し訳ないです。




