第11話【森崎千紗_破れない契約を交わす魔法(低級)】⑦
「流石にこのままだと恥ずかしいですよね」
僕は、スマホを取り出しYouTubeで環境音を流す。
「これで音は聞こえませんよ」
こんな状況でおしっこをするのだから今更音なんて気にしてもしょうがないとは思うが、森崎先輩は少しだけホッとしたような表情で頷く。
「お、お願いします」
両手でうちわを持って股を隠した森崎先輩が、僕の目を見て言う。
僕も同じく、森崎先輩の目を見つめ返す。
「それじゃあ森崎先輩、おしっこ許可します」
僕がそう告げた瞬間、森崎先輩の持つうちわの淵から勢いよくおしっこが噴き出てきた。
噴き出したおしっこは勢いよくバケツの底を叩き、狭い図書準備室の中を響く。
僕がYouTubeで流した環境音なんて、何の役にも立っていない。
「あ、あぁ」
森崎先輩は、口から吐息を漏らしながら、凄い勢いでおしっこを噴射する。
時折体がビクッと震えて放物線がズレるが、何とか全てバケツが受け止めている。
僕は少し離れた位置から森崎先輩の姿を見る。
頭の先からつま先まで全てが視野に収まるように。
物が雑多に置かれた図書準備室の隅で、ブラウスにリボン、靴下と上履きだけを身につけた森崎先輩が、バケツにおしっこをしている。
大事な部分は両手に持ったうちわで隠しているが、そこだけを必死に隠そうとしている滑稽さがむしろエロさを上げている。
うちわの下の端とバケツの縁の間には数センチの隙間が空いていて、そこからおしっこの軌道が見える。
僕のよりも数倍太い。
蛇口から出ているのではないかと疑うほどの勢いのおしっこが、バケツに溜まっていく。
そして長い。
普段のおしっこの時間なんて測ったことはないが、多分10秒もかかっていないはずだ。
だが森崎先輩のおしっこは、10秒経ち、20秒経ち、30秒経っても、わずかに勢いが弱まっただけで噴き出し続ける。
「う、うう……」
はじめのうちは、溜まったおしっこが解き放たれた開放感に浸っていた森崎先輩だったが、時間が経つにつれて止まらないおしっこと、おしっこがバケツを叩く音(途中から溜まったおしっこにおしっこが注がれる音に変わった)、それに今の自分の格好について改めて恥ずかしくなったのか、顔を赤くしたまま泣き出しそうになってきた。
「頑張って!後少しですよ」
僕はそんな森崎先輩にエールを送る。
「バケツにおしっこしてるってことは、森崎先輩は今日はお漏らししてないってことです!
目標達成に向けて一歩前進したんですから、胸を張って下さい」
僕のエールに背中を押されたのか、森崎先輩は目に涙を浮かべながらもぎこちない笑顔で胸を張る。
うちわの「輝く青春」の文字に似合う、青春の一ページがここにあった。
チョロ……チョロ……ピチャ
おしっこの勢いが完全に止まり、最後の数滴を絞り出したところで、森崎先輩の体が大きく揺れた。
おしっこを始めてから、約1分が過ぎていた。
2人だけの図書準備室に、僕のスマホから流れる環境音の鳥の囀りが響く。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます。
お見苦しい姿をお見せしました……」
「そんなことないです。
美しかったですよ」
森崎先輩はかなり疲弊しているようだが、おしっこを全て出し切った事で少しすっきりとした顔をしている。
僕はカバンからウェットティッシュを取り出して、森崎先輩の前に突き出す。
「これ使って下さい。
って、ああ、両手が塞がってましたか」
もちろんそんな事は分かっていたが、今気がついたように両手のうちわを見る。
森崎先輩も僕の視線に釣られて自分の下半身に目を向ける。
「僕が拭きましょうか?それとも片手で拭きますか?」
「じ、自分で拭きます」
これも、僕が後ろを向くとか部屋を出ていくとか、色々とやりようはあったはずなのに、僕が提示した二つしか選択肢が無いかのように誤解してくれたのか、森崎先輩は慌てて後者を選び、右手のうちわを置くと僕の手からウェットティッシュを3枚抜き取った。
ウェットティッシュを持った手を、うちわの内側に持っていく。
丁寧に、体できるだけ早く、と言った様子で、森崎先輩が自分の股を拭く。
はじめに中心部を、そこが終わるとウェットティッシュを綺麗な面にしてうち太ももを拭く。
拭き終わった後は、これまた左手のうちわ一枚で大事な部分を隠しながらスカートを持ち上げる。
足元にはおしっこがたっぷり入ったバケツがあるので、倒さないように慎重に動く必要があり、森崎先輩はかなりの時間をかけてスカートを腰まで持ち上げた。
スカートを履き、うちわで隠す必要がなくなった先輩は、ようやくバケツの上から移動して一呼吸つく。
だがまだスカートの下はノーパンだ。
「パンツは持ってきているんですか?」
僕が尋ねると、森崎先輩は恥ずかしそうに首を振る。
「パンツを履いても汚すだけだから」
そういうと、さっき脱いだ紙オムツを手に取って足に通す。
女子高生が高校でオムツを履いていると言うのは、なかなか異質な光景のはずなのに、直前に見た森崎先輩の姿があまりにも衝撃的過ぎたせいで、あまり違和感を感じなかった。




