第38話 「これで最後にしよう」
これが、最後だ。
「は、ぁ……」
「っ、イオリ。イオリ……」
エルは泣き出しそうな声で俺の名前を何度も呼ぶ。
泣きたいなら泣けばいいのに。我慢なんかしなくていいのに。
俺はエルの体を押し倒し、その上に馬乗りになった。
「……イ、オリ?」
「いつも俺がやられっぱなしだと思うなよ」
なんて強気なこと言ってみたけど、俺の経験値はコイツとの一回だけ。どうやればいいのか正直分からないけど、今回だけは譲れない。俺がリードするんだ。
これで、終わりだし。最後くらい、俺がコイツを満足させたい。
「う、動くなよ」
「……ふふ。うん、いいよ」
笑いやがったな。さっきまで余裕ない顔してたくせに。
俺だって思春期の男子高校生だったんだ。経験はなくても知識はある。
見様見真似だけど、俺はエルにしてもらったみたいに首筋に唇を這わせた。こいつ、パッと見は細いけど、しっかり鍛えてるよな。さすが勇者。
肌に吸い付いてみたけど、うっすらとした痕にならなかった。難しいな。漫画とかで見るキスマークってどうやってるんだよ。
「……大丈夫?」
「うっせー……いいから黙ってろ」
体の奥が熱い。疼いて仕方ない。
欲しい。
もう一度、この熱を体の奥で感じたい。
一生忘れられないくらい、この体に残してくれ。
全身が焼け爛れるほどの、熱を。
「……っは、ぁ。だらしない顔だな、勇者様」
「イオリこそ……凄い顔だよ」
ああ。終わりだ。これが、最後だ。
最後。
それから何度も、俺たちは熱を貪り合った。
このまま、この時間が永遠に続けばいいと願いながら。
体中の欲をすべて吐き出すほどに、何度も、何度も。
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「……絶倫か、お前は……」
「だって君が誘ってきたんだよ」
「……うっせぇ」
カッコ悪いな。今回は俺がしっかりリードするつもりだったのに。
でも、いいか。コイツを満足させるって目的は達成したんだ。
もうこれで、終わりに出来る。
「……エル」
「なに?」
「約束通り、これで最後だ」




