百三ニャン ブラッシング
「ハイ こんにちわ! 配信ニャンの黒子、かつおでーす!
いやー・・・暑いですねー! 夏ですねー!
自分ねー、基本的に汗っかきなんで、この時期はクーラー必須なんですよね。
皆さんも水分補給を忘れず、屋外での生活には気をつけてください!
年々ね、暑さが凄くなりすぎて、人間の感覚が追いつかないですよね。数年前の真夏日が涼し
いくらいですよ、本当に。
水分補給はね、人間も大事ですけど、猫ちゃんにとっても大事なんですよ。」
かつおがカメラに向かって話している間、ヤマブキ達5匹は、またクーラーの下で微睡んでいた。
夏が近くなると、ニュースでは熱中症で運ばれる人の話題がお決まりの如く報道される。
そして、毎年毎年、『最高気温を更新』『熱中症による搬送車最多』という言葉を耳にする。
テレビ越しでも、全国各地の暑さは息苦しくなる程伝わってくる。
映像を見ているだけで、汗が出そうなくらい。
やはり地方より、都心の方が暑く感じるのは、コンクリートジャングルのせいなのかもしれない。
あちこちのビルから日光が反射されて、レーザーの如く強い光が都内を包み込む。
かつおはそんな報道を見て、自分が都内に合わない事を改めて実感させられる。
暑がりのかつおが都内で数分だけ立っているだけで、全身の水分が蒸発しそう。
「・・・で、ですね。ちょっと遅れたんですけど、そろそろね、我が家の猫ちゃん達の毛が、あ
ちこちに散乱するようになったんですよねー・・・
随分前から気づいてはいたんですけど、最近あれこれとグッズを頂いて、その紹介動画を作成
するのに時間かかっちゃったんですよ。
この前のカウンターも可愛かったんですけど、『釣り竿式・猫じゃらし』だったり、『小型掃
除機』だったり。
もう本当に・・・『ありがたい』の一言に尽きます。
あ、その動画は動画概要欄にリンク載せてあるんで、是非見てみてください!
本当におすすめです!」
ちなみに、かつおが紹介した小型掃除機は、確かに性能は良かったものの、掃除機に全然親しみのない猫達はバチバチに警戒していた。
かつお家の掃除全般を任せられているルンバになら、乗っても全然平気。
掃除機の『形』や『電源ランプ』が嫌なのか、電源オンされていない状態でも、動画裏で猫パンチを炸裂されてしまった。
使いやすい道具であっても、やはり『同居』する猫達の反応で、今後も使うのかを検討する必要がある。
掃除機の場合、猫達の目が届かない場所に隠し、使いたい時に使う事に。
ベッドやソファの上は、特に猫の毛が気になるから。
そんな場所まで、ルンバは出張しない。ルンバに足が生えるわけでもない。
それでも、掃除機の音が家の中から聞こえるだけで、猫達があちこちで唸り声を上げてしまうのだが・・・
もう一つ、釣り竿式の猫じゃらしは、猫だけではなく、かつおにとっても大好評だった。
実はその猫じゃらし、『釣具店』とのコラボ商品。
釣りをしている最中、魚と格闘している時にしなる釣り竿の感覚を見事に再現した商品。
猫の飼い主にはもちろん、釣り師にも注目されている。
かつお自身、釣りはやった事がないのだが、ヤマブキ達が猫じゃらしを掴んで離さなかった時の力加減や、湾曲に曲がる竿部分の再現度はかなり忠実。
釣り経験がないかつおでも、朝早くに放送されている『釣り番組』なら何度も見ている。
だが、実際にやってみる気はないかつお。何故なら、魚と格闘する以前に、『船の揺れ』に負けそうだから。
「最近はね、『商品紹介動画』が続いちゃったので、今回はまったりした動画にしようと思いま
す!
そろそろね・・・猫達の毛をどうにかしないと本気でヤバいんで・・・
このままだと自分の鼻腔とかが毛玉で塞がれちゃいそうで・・・あははっ」
かつおは、まず試しにヤマブキの体をブラシで撫でる。
ヤマブキは、ブラシがそれほど好きではない。
だが、かつおに免じてブラシ中は動かない・・・が、大抵不機嫌顔になる。
そんなヤマブキの不機嫌顔も、猫好きにとってはたまらない光景。
かつおもヤマブキが嫌々なのは分かりつつも、その顔を拝む為に、ついブラッシングに集中してしまう。
季節の変わり目は、人間にとっても動物にとっても、色々とやらなくちゃいけない事が多くて面倒な時期である。
「最近はねー、『春』とか『秋』の感覚がなくなってきて、『夏』と『冬』が交互に来てるよう
な感覚ですよね、本当に。
春物とか・・・出しても全然着ませんでした。」
・・・とは言いつつ。かつおの持っている春物の服は、上・下合わせても、せいぜい10着程度しかない。
なかには、もう何十年も使いまわしている物も。ただ、視聴者達は案外それに気づかない。
動画にはかつお自身も何度か映っているのだが、「その服、お気に入りなんですか?」というコメントがある程度。
お気に入り・・・というよりは、それしか持っていない・・・の間違いなのだが。
そうこうしていると、ヤマブキにも限界がきたのか、かつおの元から逃げてしまう。だが、収穫は大きかった。
「おわぁー・・・やっぱ凄いわ・・・」
ブラシ部分が見えなくなるくらい溜まっている、クリーム色の毛玉。
話している間にも、何度かブラシの先端から毛玉を引っ張ったのだが、それらを合わせると、ヤマブキの体の三分の一にもなるほどの『毛の塊』が完成する。




