裏切り者はこの中に
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太陽世界を悪魔の手によって滅ぼさせようと企てる犯罪組織〈コープス〉。
その名を知る者はあまりいないが太陽世界で最も警戒されている集団である。
そのコープスのメンバーが聖魔学園生徒の中に一人紛れ込み聖魔学園の情報をコープスに垂れ流している。
素性はまだ誰にも掴まれてはいない。
つまりは裏切り者。
裏切り者が聖魔学園生徒の中に潜んでいると言う事だ。
裏切り者は自室でベッドに寝転がり窓から見える空を眺めていた。先程まで雨が降っていたせいか空はまだ鼠色の雲に覆われている。もう一雨来るかもしれない。
夜も更け眠りにつこうとすると部屋にピロピロ♪という電子音が鳴り響いた。音の発生源はテーブルに置いてあった黒の携帯端末。
聖魔学園生徒だけに支給されるタブレット型の情報端末機器「SMP」通称、スマポの特別制。
写真を取ったり通話をしたりメールをしたり普通のスマポと変わりないが普通のスマポには搭載されていない機能があるのだ。中々使い勝手が良いのでとても重宝している。
夜遅くに誰だと思いながらベッドから手を伸ばし携帯を手に取り開いた。
一軒のメールが受信されていた。宛先はコープスのリーダー、ツクモから。メールにはこう書かれていた。
件名:夜遅くにすまないね。
【起きているかい?メールを見ているって事は起きているって事だよね。まぁそんなことはどうでもいいさ。
さて、本題に入ろうか。
《異端者》は見つかったかい?
君を聖魔学園に密偵させたのは《異端者》を見つけて欲しいからだ。それくらい分かっているだろ?情報通の僕でさえも《異端者》が誰なのか分かっていないんだ。
唯一分かっている事は《異端者》は聖魔学園にいるくらいだ。
君の事だからどうせ見つかってないだろう?まっ、頑張ってくれよ。期待してるぜ。】
返信はせずそのままスマポの電源を落とし、テーブルに置こうとするがもう一度受信音が鳴った。またツクモからだ。
件名:もし君のバレそうになったら
【その時は容赦なく殺してくれ】
先程の長々とした文面とは違い非常に短い文でとても簡潔にと書かれていた。平気で殺せと言えるツクモの残忍さに裏切り者は恐怖を覚えた。
自分はまだコープスに入ってから日が浅い。いわば見習いみたいなものだ。その為、ツクモが時折見せる子供のような残忍さには未だ慣れない。
電源を切る間も無くまたツクモからのメールを受信した。
件名:あ、そうそう。
【これも分かっていると思うけど心配だから一応言っておくよ。
《異端者》を見つけたら速攻殺せ。僕としては原型をとどめないほどぐちゃぐちゃにしてくれれば嬉しいんだけどね。
おっと、僕はそういう猟奇的な趣味がある訳じゃないぞ? 誤解しないでくれ。
《異端者》はいてはいけないんだ】
裏切り者に人殺しの経験は無い。犯罪組織であるコープスに入ったのはツクモに脅されたからだ。好きでこんなとこにいる訳では無い。
自分に人を殺すなど出来るわけがない。かといってこのまま何もしないでいれば近いうちにツクモの消されてしまう。「要らないものは切り捨てる」ツクモとはそういう男だ。
殺らなければ殺られる。八方塞がりの状況に裏切り者は手に持っていたスマポを壁に投げた。
壁に投げられたスマポはパキンという音をたて床に落ちた。画面にはヒビが入ってしまったが電源は落ちていないようだ。
裏切り者は舌打ちをし窓を見上げた。天気は先程より悪化し、雨が降っていた。
――こんな日くらい、澄んだ空が見たかったな……。
裏切り者は自分の心情を映し出したかのような鼠色の雲に向かって深く嘆いた。
さて、今回は聖魔学園の中にいる裏切り者視点からお送りいたしました。
裏切り者は《異端者》ではありません。
裏切り者は《異端者》を探しています。どちらも聖魔学園にとっては仇なす存在です。
さて、先に消されるのはどちらでしょう?
《異端者》? 裏切り者? それとも生徒達?
……どちらにせよ現時点では解りませんね。
裏切り者の存在は……この物語はもうしばらく読み続ければその存在が明るみになるかもしれません。
次から新章です。




