第149話 踊る商工会議所
この村において、 農工具を作っているのは鍛冶屋なんですけど、輸出を担当している組織は二つありました。
流通を担当しているのが商工会議所。それを村の名産品として認可を出しているのが役所です。
都市部であれば厳格に分離して管理される組織ですが、ここ田舎ですから、二つとも建物に入っていました。
ありふれた木造の二階建てで、小学校っぽい雰囲気の形ですね。
商工会議所が建物の左半分を使っていて、右半分が役所です。
右半分である役所は正常に稼働しています。
しかし左半分である商工会議所は、職員全員がタコ踊りしていました。
「たこたこ」「たこっ!」「たったこ、たこっこ、たったこ、たこっこ」
えぇ、なら呪いの法則性から考えて、商工会議所の人たち、みんなサボってたんですか?
だから農工具の輸出が停滞したってことですか?
納得っちゃ納得ですが……なんか妙な空気なんですよねぇ……なんか見落としているような?
「なんか変じゃないですか?」
私が疑問を口にすれば、僧侶のレーニャさんも半目になって商工会議所を観察しました。
「たしかにヘンなのよ。呪いの発動条件って多少は曖昧なところがあるにせよ、基本条件を逸脱することはないわ。それなのに特定の組織全員に発動するかしら?」
そうなんですよねぇ。
まぁ我々まだ呪いを確実に見切ったわけじゃないですから、なにか見落としている可能性はあります。
「タコ踊りの歴史を調べるのってどうです? だって人間ってグループを作ると必ずサボる人が出てくるじゃないですか。なら過去にも呪いが発動したことがあったはずですし、逆にサボっている人がいたのに呪いが発動しなかったことだってあったでしょうし」
戦士のアカトムさんは、渋い顔で石碑を指さしました。
「石碑に祀られてる神様が、たまたま怒ったときだけ呪いが発動してるとか?」
実をいうとありえない話でもないんですよね。
実際専門家である僧侶のレーニャさんも「珍しくない話よ。神様って気まぐれだから、人間の意図したとおりに動いてくれないこともあるし」と語っています。
武道家のシーダさんは、ふんっと力こぶを作りました。
「鍛え方が足りないやつは呪いを跳ね返せなかった説」
そんな脳筋な理由があってたまるものですか。
……いやでも体調が悪化したときだけ発症する病原菌みたいな呪いってありそうですね。
ふーむ、なんかまた振り出しに戻った気分ですねぇ。
呪いの発動条件で、なにか見落としているんでしょうか?
「やっぱこれ、この村で発生したタコ踊りの歴史を調べたほうがよさそうですね。一度村長さんのところに戻りましょう」
*CMです*
呪いをパワーで跳ね返せ!
戦士や武道家のみなさんに朗報です。
戦士ギルドと錬金術師ギルドの共同開発した便利アイテム、気合ハチマキが誕生しました。
これを巻くだけであら不思議、攻撃力のステータスがそのまま呪い耐性に加算されます。
ただしデメリットもあって、とってもお腹が空きやすくなるので、長時間の冒険でこれを使うとリアルに餓死します。
対アンデッドの強い味方、気合ハチマキ、用法要領を守って正しくお使いください。




