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⑤易化されている

娘がいる。


娘といっても、血は繋がっていない。


でも正真正銘、僕の娘だ。


結婚した女性の、娘だ。


妻は、10コ下の40歳。


娘は、30コ下の20歳だ。




娘と会ったのは、まだ数えられるくらいだ。


結婚してすぐ、娘は上京してしまったから。


日本で一番、頭がいいと言われている学校。


そこに行くために。



住む世界が違う。


脳の仕組みが違う。


そんな義理の娘だ。



僕は、中卒だ。


それなりに頑張って、まあまあいい給料を貰っている。


だから、進学しなかったことは、後悔していない。


勉強はできないが、アイデアを褒められる。


それでいい。


勉強が嫌いだけど、それでいい。




一週間に、一通のメールが届く。


娘からの、長文のメール。


色んな出来事を、報告してくれるメール。


それが、嬉しくて嬉しくて。


金曜日が、楽しみで仕方ない。




でも、苦労している。


スラスラと読めない。


なぜなら、難読漢字と、馴染みのない言葉のオンパレードだからだ。


【膃肭臍を見に行ったよ】とか。


【僭越ながら、お願いがあって】とか。


【明鏡止水の心境だからね】とか。


よく分からない。




娘の頭がいいのは、うれしい。


でも、頭が良すぎるのも大変だ。




【読めない漢字が多くてね】とか。


【辞書で調べていたから、返事が遅くなったよ】とか。


【中卒には、ハードルが高いな】とか。


そのようなことを、メールに書いて、送ったりしていた。




ある金曜日、いつも通りメールが届いた。


それを開くと、スッキリしていた。


膃肭臍はもちろん。


魑魅魍魎とかも、使われていない。


漢字は、小学生で習う漢字を中心に、構成されていた。


しかし、最後の一文に、引っ掛かってしまった。



【易化したからね。またね】


いい感じに読めていたのに、最後の最後につまずいた。


なんか、モンスターみたいな漢字が出てきた。


【易】という漢字は、見たことある気がする。


でも今は、モンスターにしかみえない。




メールの文章を、簡単にしてほしい。


そう思っていた。


でも、簡単ではないものが混ざっていた。


難しいと、頭が痛くなる。


だけど、勉強になるからいいか。



それに、どんな内容だって、娘とやりとりが出来ていることに、感謝しないといけない。

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