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④逝かされている

なんで、こうなったのか。


なんで、逝かなくてはならなかったのか。


今も、よく分かっていない。


今でも、生きたいと思っている。


三桁まで行けたらなと、ずっと思っていた。


なのに、今は天国手前の手続き会場にいる。




友達に呼ばれてから、おかしくなった。


水面を操作できる、人工の池。


そこに呼ばれてから、おかしくなった。


その池は、友達の家の庭にあった。


近所のショッピングモールよりも、敷地は広い。




あれは、きっと催眠の池だ。


波紋を操作して、何かをインプットさせようとしたのだろう。




池を見てすぐは、何ともなかった。


普通に、過ごせていた。


唐揚げをごちそうになった。


煮物をごちそうになった。


色々と、ごちそうになった。




帰りの刻。


友達と、サヨナラを交わした。


ひきつった笑いを、受けながら。


「帰り道、気を付けてよ」


「うん」


それが、心からの注意だとは、その時はまったく思わなかった。




カラダがよろけた。


まるで、強風が吹いているかのように。


アスファルトから、どんどん芝に逸れてゆく。


そこから、岩が連なる場所に逸れた。


その時、気が付いた。


不自然な作り笑いと、気を付けての意味に。


独特な波紋の違和感も、パッと重なった。


たぶん、そうだ。




気が付いたら、目の前に水面があった。


引っ張られるように、水面に突っ込んでゆく。




このまま沈んでいった場合、他殺にはならない。


殺されたことには、ならない。


きっと、自殺で処理される。


逝くというより、逝かされている感覚だったから。




心の整理をした。


必死で、息をしようとした。






そして、今に至る。




天国手前の会場。


手続きをしようと、書類に目を通していると、人が目に入った。


あれは、友達だ。


あの池の持ち主の友達。


体育座りで顔は見えない。


だが、ピンクのメッシュで確信した。




お気の毒。


でもこれで、心置きなく天国に向かえる。


そう思った。

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