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③行かされている

「あれっ、弟さんは?」


「ちょっと、親に指示されて」


「買い物?」


「うん。そんな感じ」



本当に豪華だ。


こんな会に、私を呼んでくれて、感謝している。


大好きな先輩。


憧れの先輩。


美しい先輩。


そんな先輩のお誕生日会だ。


緊張しているが、ワクワクの方が強い。



何畳あるのだろう。


突き当たりの壁に掛けてある、時計が読めない。


それくらい広い。


その場で見上げれば、シャンデリア。


透明な大きい扉の向こうには、プール。


下を見れば、つるっつるの床。


お金持ちの世界だ。


一度は、みんな憧れる。


そんな世界だ。



今だって、少しは思っている。


玉の輿にのれたら、どれだけ幸せだろうかと。



琥珀色の液体。


それがちょこっと入った、小さな小さなグラスを持ちながら歩く。


フライドチキンがある。


大きなホールケーキもある。


カナッペ的なものもある。


目を閉じても開いても、夢のようだ。





「ごめんごめん。遅れて」


「姉の誕生日なのに、どこ行っていたの?」


「花を買ってきたんだよ。忘れていたから」


「そう。嬉しい」


赤いバラが、数えきれないくらい、束ねられていた。


仲が良さそうな姉弟だ。




私は、プールサイドに向かった。


そこの、ベンチに腰かける。


そこに、弟さんが来た。


手には、白い花の束が握られていた。


私の誕生日は一ヶ月後。


それに、弟さんとはそんなに話したことがない。


だから、ハテナがしばらく消えなかった。



「僕と、付き合ってくれませんか?」


弟さんからの求愛だった。


嬉しかった。


でも、整理がつかなかった。


「返事は、今日じゃなくていいですか?」


「もちろん」


白い花束を持つ、弟さんの後ろのガラスの向こうには、両親がいた。


やや遠くにいる。


話しながら、ケーキを頬張っている。


でも、こちらをかなり気にしているのは、まるわかりだった。

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