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空を見上げて  作者: 白波
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夕暮れの公園

 町はずれの丘にある公園。

 夕暮れで赤く染まり始めた道を肩まである黒髪で顔はそれなりに整っていてかわいい部類に入る少女が歩いていた。彼女が身に着けている半袖の白いブラウスにサマーセーター、茶色のスカートと言った服装は彼女が通う私立高校の制服だ。


 愛敬(あいけい)愛海(まなみ)という名前の少女は、この場所が好きでよく通っていた。

 帰り道に寄ると少し遠回りになってしまうのだが、天気がいい日はもちろん、雨の日にも通っていた。


 そして、今日は雲一つなく気持ちがいいほどの快晴である。夕日がきれいに見えるのだから、明日も晴れるはずだ。


「よっ愛海。今日も来たのか?」


 後ろから声をかけられて振り向けば近所の公立高校の紺を基調とした典型的なセーラー服に身を包んだ歌原(うたはら)歌奈子(かなこ)が腰に手を当てて立っていた。


「いやーきれいな夕日だよね……歌いたくなるぐらいにさ」

「んー歌はやめてほしいかな」

「えーいいじゃないか! ちょっと、歌うぐらいさー!」

「出来ればやめてほしい。お願いだから」


 愛海がやんわりと断るが、歌奈子は納得できないとばかりに口をとがらせる。

 なぜと聞いてくるが、そんなことは口に出さなくともわかるはずだ。


 夏の終わりを告げるようにカナカナカナともの悲しげなヒグラシの鳴き声が聞こえ、昼間の熱さがウソのように涼しい風が吹き抜ける……


 ここは、そんな場所だ。


 芝生に寝転がって空に手を伸ばしてみれば、空に手が届くのではと錯覚してしまう。


「まぁいいや。今、歌う必要があるわけでもないし」


 歌奈子もまた、愛海の横に寝転がった。

 夏休みももうすぐ終わりだ。夏休みも半分以上が過ぎていて、もうすぐ新学期かという今日この頃。帰り道にこの公園によるという習慣は、高校に入学してからずっと続いている。


「何だかさぁ……あっという間だったな。夏休み」

「そうね」

「……ところでなんで制服着てるんだ?」

「そっちこそ」


 そう。今はお互いに夏休み中なのだ。

 なのに今日は、二人そろって制服を着ていた。


「私は部活の集まりがあってのよ。それでちょっと学校に」


 先に質問に答えたのは愛海だった。愛海が所属している部活は文化部で基本的には、夏休み中には活動しないのだが、部長がどうしても皆に集まってほしいと声をかけたのだ。

 結果、みんなの都合があった今日、学校で集まったのだ。


「で? 帰宅部のあなたはどうして学校へ?」

「あー私はあれだよ。補習」


 歌奈子の声と表情はどこか暗かった。

 おそらく、昼間こってりと先生方に絞られてきたのだろう。


「まぁ元気だしなよ」

「うん。まぁがんばるけどね」


 愛海は立ち上がってスカートについた芝を払うと歌奈子に手を振って歩き出す。


 今日も一日が終わろうとしていた。

 読んでいただきありがとうございます。

 今のところ登場人物は愛海と歌奈子だけですが、そのうちだんだん増えていく予定です。

 これからもよろしくお願いします。

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