第21話 小学生達
今日は楽しい楽しい休日だ。飯を食ったし家で一日中ゴロゴロして過ごすぞ~。
そう思ったところで母に起こされる。
「アンタてぇへんだ!」
「どうしたんだよ時代劇みたいな言い方しやがって」
「お友達が来てるわよ?」
「友達?俺に友達はいねぇ」
すると俺の部屋がある二階の窓が叩かれる。
何でここを叩くんだよと思っていると、低い声がした。
「隼人。いるかぁ?」
「コング!何でここにいるんだよ!」
俺は一階に飛び降りて、すぐに扉を開く。
すぐに視界が埋まった。
三メートル近い巨体が家の前に立っているせいで、道路の圧迫感がすごい。
しかも……
「わーい!」
「キングコングデケェ!」
「高ーい」
低学年の小学生たちがしがみついている。
まるでジャングルジムだな。
「なんだこの地獄絵図」
肩に二人。腕に三人。背中に四人。男子女子問わずにくっついていた。
「これからこいつらの宿題であそこの山に自然を見に行くんだが」
「あぁ。保護者?意外に優しいんだな」
「断れなかった……」
あの図体で断れないとか……
「丁度お前の家の前を通りかかってな。せっかくだから呼ぼうと思って」
そんなついでで呼ぶな!
「あぁ悪い俺は今忙しくて……」
「週末は宿題出てないだろ?」
「他の用事が……」
「舞香もいるぞ」
「それを早く言わんか!行くからな!」
「即答!?」
自分でもびっくりするくらい早かった。
数分後学園の裏山にいた。
「学園の近くにこんな所があったのか」
「ガキの頃は良く行ったが最近じゃ来ねぇな」
コングの話は別に良い。問題は隣にいる舞香だ。
「……隼人くん」
舞香。
「本当に来てたんだね」
「……来るって思ったから。後委員長として断ることができないし」
「読まれてる!?」
舞香は少しだけ目を細める。
「……来てくれて、嬉しい」
「…………」
(よし頑張るか)
俺はアホほど単純だった。
十人の小学生たちは走り回っている。メンツは男子九人に女子一人だ。
「おいこの木登ろうぜ!」
「この池浅いよ!」
「虫がいるぞ!取りに行こう!」
みんな元気だなぁ……
「よしメガネウラ捕まえた!」
「池の中に三葉虫がいた!」
「木の上からアーケオプテリクスの巣がある!
「それにゃ近づかない方が良いぞ!」
「はーいキングコング!」
え?メガネウラ?
「いやメガネウラって何だよ」
「え?知らないのか~。メガネウラってポ〇モンに出てくるメガ〇ンマのモデルだぞ?」
「あそっかぁ。あれメガネウラだったのか。そりゃげんしのちからで……ってえぇ?!」
男子に突っ込まれて俺は妙に納得した。
ズシィィンと言う音が響く。思わず振り返るとそこにいたのはティラノサウルス……
なんで恐竜がいるんだよ!
「ここは中生代か!?」
俺は思わず叫ぶ。
すると後ろの小学生が即ツッコミ。
「アノマロカリスはカンブリア紀だよ」
「メガネウラは石炭紀だぞー!」
「つまり古生代って訳だな」
「どっちでもいいわ!何で古代生物がいるんだよ!」
ツッコむとコングはこう分析する。
「動物園から逃げたんじゃねぇかな」
「動物園にいる訳無いだろ!いたら見てみたいわ。いやここにいるけど」
俺が吠えるのと同時に恐竜が吠える。
「グォオオオ!!」
隣にいた黒髪の女児が呟く。
「機嫌良いみたいですね」
「これのどこが?」
俺はそう返事をしたけど、コングたちは変な顔をするだけだ。
その時小さな声がする
「……隼人くん」
「なに!?」
「……写真撮ろ。この恐竜機嫌がいいみたいだから」
「えぇ……」
でも。
舞香が少し楽しそうだったので。
「……はいチーズ」
カシャ。きれいな写真が取れた。
「じゃあ俺たちも撮るか」
コングや小学生たちも一緒に撮る。
見てみると俺の両側にコングと舞香がいて小学生が9人仲良く並んでいた。
「何の記念写真だよこれ!!」
帰り道。仲良く帰って行った。
「何であそこに恐竜がいるんだよ」
「動物園に行けば色々いるぜ?」
男子が言う。
「そっかぁ……一度でいいから見てみてぇな」
舞香が写真を見る。
「……楽しかった?」
「…………」
その横顔はちょっとだけ笑っていた。
「……まあ」
疲れたけど。
「……舞香が楽しかったなら、いいか」
「バイバイお兄さんお姉さん!」
「写真見せる時はちゃんと先輩に連れてってもらったって言えよ~」
「分かった~!」
小学生たちは帰って行った。
「よしこれで九人全員送り終えたな」
「そうだね」
「そうだな……」
あれ九人?でもあそこには小学生が十人いただろ。
「本当に九人だったか?ほらいただろ黒髪で古い格好している女児が」
「何を言ってんだよ俺らはずっと小学生の男児の面倒を見てたんだぜ?」
「見間違えたか、別のグループと混じったんじゃないかな。あそこ人気あるピクニック場所だし」
「あぁそうか……見間違えか」
って恐竜とピクニックって何だよ!




