表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神、死する時  作者: わんパチ
串刺し編
5/83

4話

「たっけえな」

そういいながらグリーンは見上げる。

「いや、いつも上っているだろう」

「あれ、サクラ知ってたの?」

「私だけじゃなくてほとんど全員知っているが」

サクラが少しグリーンを睨む。

「傷などつけていないだろうな。この樹は百年に一度行われる祭りのシンボル。そして、この天国においてもシンボルなのだから気を付けてくれ」

「傷なんてつけないって、たぶん」

「うぁ~、たぶんって言った。怪しい~」

サンダーがグリーンに聞こえるか聞こえないかで話す。

「聞こえてるぞー。ま、いいけど。上ろうぜ!」

と、グリーンが天空樹に向き直る。

「あ、グリーンさんは一回戦ったので、今回は参加できないですよ?」

フブキがそういった時、グリーンは停止した。

「そうなのか? フブキ?」

「ええ、シロさんが言ってました。あとから来られても厄介ですし、念のため、凍らせておきましょうか」

フブキが満面の笑みでグリーンの首下を凍らせる。完全な追い打ちだ。

「さて、グリーンさんという強敵もいなくなったことですし、上りますよ!」

「じゃあ、私もおっ先ー」

フブキとロックが地面から氷の壁、岩の壁をそれぞれせり出し、上へと上がっていく。

「フブキには負けないよ」

ロックとフブキが競り合っている。

「私達には上に行くすべが樹を上る以外はないからな」

サクラがそう言いながら氷の壁を切ろうとする。

「切れない・・・。私は今回、あきらめようかな」

「切れない。なら、砕くまで」

ボルトが回し蹴りで氷の壁を砕く。

「俺も~」

サンダーも真似して岩の壁を砕く。

巨大な岩と氷の塔がバラバラと落ちてくる。

「おいおい。樹に傷がつかないようにしてくれ」

「大丈夫だって」

岩と氷が落ちきる。すると、フブキは落ちて来ず、ロックだけが落ちてきた。

「いったいな~! あたしは地面がないと作り出せないの!」

 かなりの高さから落ちたようだが、なぜかぴんぴんしている。

「岩の壁が倒れたから滑り台みたいにして下りてきたの。フブキはもう旗取ったんじゃない?」

「まだひもが垂れ下がっているからな。今頑張れば何とかなる————」

そうサクラが言いかけたその時。サクラの目の前に氷塊が落ちてきた。

「これ~、死ぬんでは?」

「サンダー! のんきに言ってる場合か!」

 サクラがグリーンの足元の氷を壊し、グリーンを抱えその場から離れる。他の仲間も大樹から距離を取った。

「フブキが氷を生み出して、壁キック方式で上っているのか」

「フブキも苦戦しているな」

 その時、全員の目の前に巨大な氷の滑り台が出来上がった。そして数秒もしないうちにフブキが降りてきた。

「何度も作っていたら疲れてしまいまして。ハハハ。・・・あれ? なぜみなさんそんなに離れているのですか?」

「・・・・・・」

少し間が空き、サクラがフブキにつかみかかる。

「危ないところだったぞ! 馬鹿か貴様は!」

「ああ、氷の塊ですか? みなさんなら軽くよけてくれると思っていまして」

それは嫌味ではなく、本当にそう思っていたようだ。

「まあ、そうだが。グリーンは貴様に凍らされていたんだぞ? よけれるわけがないだろう」

サクラが頭に手を置く。

「って、グリーンさんまだ凍っていたんですか」

首と足元以外が凍っているグリーンをつんつんしている。

 フブキはグリーンを溶かした。

「僕はもう疲れて登れませんし、ロックさんも登れないですよね」

「もう疲れた」

「取らないわけにもいきませんからね。グリーンさんが上ってくれればと」

「この垂れ下がってるひもを引っ張ってもダメなの?」

スラッシュがひもをつかむ。

「頑張れば落ちてくるんじゃないですかね」

「なら」

「旗と共に樹の枝も」

「あ~。うんやめておこう」

 フブキはグリーンの肩に手を置く。

「あの、僕らもう樹を上る以外旗を取ることができないんですけど、ちょっと面倒なので、リタイアでもしようかと思っているんですよ」

そうフブキが言うと、グリーンはパッと明るい顔をした。

「つまり! 俺がここで取れれば!」

 グリーンが力を使う。地面から根がせり出し、グリーンは上まであっという間に行ってしまった。

 誰もが茫然とそれを見ていた。

「いいの? グリーンがとってもシロさんは戦ってはくれないんでしょ?」

「う~ん。スラッシュの言う通りなんだけど。まあ、仕方ないですよ。流石に歩いて登るのも億劫ですよね」

 数秒たち、グリーンが旗を取って戻ってきた。

「これで、リーダーとの模擬戦の権利は俺のもんだぜ!」


グリーンが旗を持ってきた。そして、僕の目の前に自信満々に突き出す。

「どやっ! 俺の勝ちだぜ!」

「無効だ」

旗をグリーンから取る。

 グリーンが動かない・・・。

「本当に面倒な奴だな。僕は模擬戦にわざわざ付き合っているんだ。またやってほしかったら、素直に従うことだな」

「はい」

グリーンが背筋を伸ばし、啓礼のポーズをとる。

 ちょろい。

「すみません。グリーンさんは止めれたんですけど、僕らが上まで行けなかったんですよ」

「別に足で上れば、数時間でつくぞ?」

「え~」

全員があからさまに嫌なそうな顔をした。

 こいつら。

「悪いが簡単にはしないぞ? これでも、簡単な方だと思っているしな」

「まあ、取りに行くだけですもんね」

「まあ、今回は誰とも戦わないってことで」

本来ならば、フブキかロックあたりが取れていただろう。仲間同士で潰し合いでもしたか。

「そう何度もチャンスを与えると思うなよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ